いるよ・・・そこに、ホラー 投稿者: MIO
 バイトから帰り、一息ついていると、電話が鳴った。
 ウサギ小屋のようなアパートの一室に、その電子音は、やけに響く。

 プルルルルッ・・・

 大学の友達なら、携帯の方にかけてくる。 
 たぶん・・・
「千鶴さんかな?」
 俺は、綺麗な従姉妹のお姉さんに思いをはせる。
 千鶴さんだったらいいな・・・とか思いつつ、俺は受話器を取った。

 千鶴さんなら・・・聞きたい事がある。

「もしもし、柏木です」
『あ、もしもし耕一さん? 私です、千鶴です』
 やっぱり千鶴さんか・・・
 ちょうど良かった、あの事を・・・聞いておかなければ。
「こんばんわ千鶴さん。それで、あの・・・」

『どうしたました?』

 どうしました? じゃないだろう・・・と、思う。
 なんなんだろうね、もしかして気づいてないのかな?
「あの・・・なんで楓ちゃんが、俺の部屋にいるんですか?」
 そう、いるのだ!
 今、俺の部屋には、楓ちゃんがいた!
 
 楓ちゃんが、俺の部屋に・・・・いるっ!!!

『ああ、やっぱり耕一さんの所に行っていたんですね』
 やっぱり、だって!?
 予測していたというのか!?
『いつごろ、そちらに着きました?』
「あのさ、問題はそうじゃないんだよ千鶴さん!!!」
『はぁ』
「どうして・・・」
 そう、どうして・・・

「楓ちゃんは、白装束を着てるのさっ!」

 受話器を持ったまま振り替えると、白装束に身を包んだ楓ちゃんが、部屋の隅に
座っていた。
 ひざを抱えて座り、こっちをじっと見ている。
『着てますか? 白装束』
「着てるよっ! だから、コレ、なんなんだよぉ!」
『もう少しですね』
「だから何がっ!」
『羽化』
「うかぁ!?」
 羽化ってあれか? さなぎから蝶になるのか? 違うのか? サナギマンが
不細工だからって、あんまりいじめるなよ! 中はドロドロなんだぞっ!
 外側が破けたら、漏れるじゃないかっ!
「楓ちゃん、話し掛けても何にも答えないんだ! 時々畳の目を数えだすんだ! 
夜中にくすくす笑うんだよっ! なんとかしてくれぇっ!」 
『もう少しの辛抱です』
「もう少し? いつまでだよっ! こちとらノイローゼになりそうなんだっ!」
『電話・・・楓と代わって下さい』
「は? あ、ああ・・・うん」
 何をするのか知らないが、俺は恐る恐る、受話器を楓ちゃんに渡した。
 これで事態が解決するなら、俺は一生を、千鶴さんの銅像を作るために費やす
ね!
 これ、絶対だね!
「・・・うん・・・うん・・・千鶴姉さん・・・そう・・・テナガザル」
 楓ちゃんは、受話器から聞こえる千鶴さんの声に、いちいちうなずいていたが、
 突然・・・

「げげげげげげげげげげげげげげげげげげ」

 笑った。
 あれは・・・笑ったのだ、これは間違いない。
 なんだアレ。
 なんだよ・・・なんなんだよぉっ!
「貸してっ!」
 俺は、楓ちゃんから受話器をひったくった。
 とたん、楓ちゃんはおとなしくなる。
「もしもしっ!! 聞こえてるんだろ、千鶴さん!?」
『い〜しは〜らゆうじろうっ! ソレ、い〜しは〜ら・・・あら? 耕一さん?』
 あら? じゃねーだろっ! 
 なんなんだよ、その呪文はよぉっ!!!!
「なぁ、楓ちゃんを何とかしてくれよっ! たのむよっ! このままじゃ、俺・・・」
『銀の三角に暮れなずむ金八の丘と、恐竜戦隊コセイドン・・・』
「はぁ!? なにそれ!? なんかのヒントかっ!?」
『また・・・電話しますね』
「あ、ちょっと、オイ! コラ! てめぇっ!」
『バイバイキ〜ン』
 プツ・・・・ツーツーツー
 切れた・・・
 俺は考える。
 振り向きたい・・・
 謎の答えは、ソコに、確かに存在する。
「・・・」
 それは、恐いモノ見たさ・・・かもしれない。
「か、楓ちゃん・・・?」
 俺は、もう一度、ゆっくりと振り向いた・・・

「げげげげげげげげげげ・・・」

 楓ちゃんが笑った。 

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>久々野彰様
 ええっと、冷やし中華の真ん中がやすきよを誉める、って、どういう意味スか?
 ・・・あっ、トンチっスね! OKっス!
 トンチ比べなら、負けないっスよ!
 えーーーーっと、おぉっ!!
 『冷やし中華』をドイツ語に訳そうとした学者?
 なに、彼の名前がヤスキーヨ!?
 なるほど、とすると・・・・?
 ・・・・

 あぁっ!? そうなの!? そうなんですか!? そうだったんだ!?

 あちゃ〜、ごめんなさい・・・トホホ