朝、浩之ちゃんは出会い頭に、私にこう言った。 「おまえのチョコはもう飽きたっ!」 「は?」 「だからさ、お前からは毎年もらってるワケだし・・・」 毎年、工夫してるんだけどな・・・ 「チョコがダメなわけじゃないんだ、もっとこう・・・変化が欲しい!」 ホワイトデーにお返しすらくれないのに、どうしてこう、ポンポンとワガママ言え るのかなぁ・・・ だいたい、世の中にはチョコを肉親にしかもらったことが無い・・・なんて人、ざ らにいるんだよ? 女の子からもらえるってだけ、はるかにマシなんじゃないかなぁ・・・ とか思いつつも、 「ええっと、じゃあなにがいい? クッキーとか?」 なんて、浩之ちゃんのワガママに振り回されちゃう私。 「クッキーとか、そーいうんじゃなくてだなっ! ええっと・・・」 「?」 「そうだ!」 浩之ちゃんは、悪戯を思いついた子供のような顔をして、ポンと手をたたいたの。 こういう時の浩之ちゃんは、ロクなことを言わない・・・ 「俺にささげる歌を作れ!」 ホラね。 「歌!? 私が歌うの? 」 「そうっ! しかも、あかりが作詞作曲した、イカすやつだ!」 「そ、そんなこといわれても・・・」 「んじゃ、頼んだぜ。 楽しみにしてるからな?」 「ええっ!?」 ど、どうしよう・・・ その日の夜、私は散々頭を悩ませて、一生懸命作詞したんだけど・・・ 「あなたは優しい・・・・」 あぁ〜っ! 恥かしいよぉっ! 「浩之ちゃん、浩之ちゃん、あなたのお名前なんて〜の? ・・・・」 なんだかバカみたい・・・ 「愛する〜あなたへ・・・」 ダメダメッ! これじゃラブレターになっちゃうよ! 「・・・」 ラブレター・・・ 「・・・ヤダ、浩之ちゃんったら」 はっ!? い、今、変なこと考えちゃった。 ダメダメ! まじめに作詞しなきゃ・・・・ 2月14日・・・ チュンチュン・・・・ 窓から朝日。 耳をくすぐるようなすずめの声。 朝・・・ 「やっと出来たっ!!」 さっそく浩之ちゃんに聞かせよう! 「浩之ちゃ〜ん!!」 その日の浩之ちゃんは、いつもより早く起きてきた。 「おぅ、朝から元気だな」 「うん、おはよう浩之ちゃん」 「その『浩之ちゃん』ってのは、やめろよ。 いーかげん」 いつもの朝。 でも、今日はバレンタインデーだから・・・ 「浩之ちゃん、さっそく歌うね」 「歌う? なにを?」 「だから、浩之ちゃんにささげる歌! 題して『輝け、男のシンボル』!!」 「・・・・」 「・・・・」 「・・・・」 「・・・・」 「まさか・・・・お前、あれを本気にしてたわけ?」 次回予告! 失意に沈むあかりは、暮れなずむ公園で、『輝け、男のシンボル』を口ずさむ。 「はりきり、はりきり、はりきりロック〜 素敵なキッスで、オウ、モーレツ〜♪」 それを聞く、一人の男! 「これは・・・由綺ちゃんに匹敵する逸材だ!」 そして、ついにあかりは、陰謀渦巻く芸能界へといばらの道を歩き出す! 次回「あかり大ピンチ!? 芸能界は危険がいっぱい!!」 浩之「あかり・・・なんだか、お前が遠くなった気がするよ」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− なぁんてな、書かないっスよ。 いや、マジでマジで・・・ あぁ・・・やっと、就職決まった。 卒業研究も終わった。 しばらく暇だぁ・・・