前回までのあらすじ。 『雫』の中でも、いまいち目立たない泣き虫少女の藍原瑞穂は、ピカピカの社会人一年生。 ピチピチの白魚のような若々しさを、お局様に、これでもかっ! と見せつける素敵で嫌みな女子社員なの。 ある日瑞穂は、『雫商事』でも一二を争うパリパリちりちりのキャリアウーマンで、瑞穂の憧れの女性でもある、月島 瑠璃子部長から、ビックな仕事を任されちゃうの! 頑張れみずピー! いつかでっかくなって、お天道様に体当たりだ〜い! ひそひそひそひそ・・・・ ひそひそひそひそ・・・・ 別に、カレーに何かを混入してやろうとか、そういう事じゃなくて・・・ 私、藍原瑞穂は、月島部長にビックな仕事を任されて以来、周囲の嫉妬と羨望の眼差しに耐えているの。 私が歩くたびに、おトモダチだと思っていた女子社員達が、噂話をするの! いいわっ! もういいのっ! 私のおトモダチは、香奈子ちゃんだけよチャンだけ! ふんだ! ぶうぅぅぅん・・・ 「み・ず・ピーッ」 「あっ、月島部長!」 今の今まで、電源が切れっぱなしだった月島部長が、やっと起きてくれました。 月島部長は、軽い駆動音とともに、にっこり微笑みます。 彼女は月島瑠璃子部長、美人で、仕事が出来て、宇宙人と交信までしちゃう、私の憧れの人です。 「NASA」 「あっ、ええっと、ガガーリン!」 私と月島部長だけの秘密の暗号です。ごめんね香奈子ちゃん! ソーリー! 「みずピー・・・お仕事、出来てる?」 「あっ、はいっ!」 そうでした、私は、月島部長に重大なお仕事を任されていたんです! 「大丈夫です、出来てます!」 「ぬりえ」 「一生懸命塗りました!」 コンビニでクレヨンを買って、店員に、しゃかいじんになってもぬりえかよ、はぁやれやれ・・・って顔をされても負けま せんでした。これも試練のうちです。みずピー、ガンバッ! 「・・・」 ところが、月島部長の顔がどんどん曇っていきました・・・ いえ、表情は変わらないんですが、トラン○フォ○マーのサイ○トロンとデス○ロンのシールのごとく、ゆっくりと色が 変わっていったのです。 電波もガンガン放出されて、会社のパソコンのディスプレーに、クリントン大統領の顔が念写されました。 月島部長が怒ってる!? 「みずピー・・・」 「は、はい!」 「色塗りまちがい・・・」 塗りまちがい!? そ、そんな・・・ 私は、同窓会で、キレイになった同級生の女の子と楽しくトークしてたはずなのに、気づいたら、男ばかりで カラオケBOXにいた・・・という気分になりました。 なんだか、ものすごくイヤ〜な、惨めな、悲しい気分です。 私は月島部長に散々叱られてしまいました。 今だって、ギザギザの石の上に正座して、足の上に重りを乗せられています。 くすん・・・ 「おほほほっ! いい気味ね、みずピー!」 「あっ、あなたは新城沙織さん!」 同僚の、新城沙織さん(デカパイ)が、私を見下ろして、高笑いをしていました。 新城さん(デカパイ)は、私のことをライバルだと思っているんです。 私は、アウトオブ眼中なのに。 「あなたの惨めなその姿、デジカメで激写して、インターネットに流してあげる!」 「ひどいっ!」 「おほほほほほほほっ!」 その日は、ひどい一日でした・・・・ 「はぁ・・・」 私は、アパートの一室で、ため息を吐きました。 「あんな失敗しちゃって・・・私、もう会社に行けないよ・・・」 塗り絵の塗りミスだなんて・・・ キカ○ダー、メタ○ダーまでは、完璧だったのに・・・ 「なんで超竜神を間違えちゃうのかなぁ・・・青と赤・・・逆に塗っちゃった・・・」 腰のメルティング・ライフルでわかるのに・・・ 「だって、この絵、イレイザーヘッドで腰が隠れてるんだよ?」 言い訳。 私、最低だ・・・ 「ねぇ・・・」 私は、ペットのクサガメに話し掛けました。 「私、会社、辞めちゃおうかなぁ」 まだ若いし、やり直しもきくし・・・ 「ねぇ、聞いてるの? ポルナレフってば」 私が深刻な話をしているのに、クサガメのポルナレフは、緩慢にエサを食べるばかり・・・ 「あ〜あ・・・」 ホントに辞めよっかなぁ・・・・ 「みずピーのこと、ホントに放っておいていいんですか? 瑠璃・・・月島部長」 「・・・」 「ま、まだ怒ってるんですか?」 「おすし食べたい」 「そ、そうですか・・・って、また僕のおごりっ!?」 「おすし、おすし、おすし、おすし、おすし・・・」 「・・・・わ、わかりましたよ。しょうがないなぁ・・・」 みずピーは本当に会社を辞めてしまうのか!? どうなる次回! 気になる次回! 書くのかどうかが、まず怪しい! 次回「決戦は、月曜日から、金曜日にかけて・・・」に、 レッツ、就職活動!!