おれは、がっくりと膝を突いた。 「ううっ・・・、また神岸さんに振られてしまった」 通算30789回目・・・・一回ぐらいOKしてくれてもいいのに。 っていうか、一回OKもらえば、それでいいんだけどなぁ・・・ 「はぁ・・・やっぱり、神岸さんを諦めた方がいいのかなぁ・・・」 俺がため息を吐いたその時。 「ヤジマのバカ!」 俺を叱咤したのは、 「な、長岡さん!?」 長岡さんは、泣きそうな顔で俺に詰め寄った。 「振られたくらいで、何を弱気になってるの!」 「だ、だって30789回目だぜ!・・・・もう、ダメだよ」 諦めるしか・・・ないんだ。 「何弱気なこと言ってるの!? あかりが振り向くまでチャレンジしなさいよ!」 ・・・長岡さん? 「そんな、そんなヤジマなんて・・・・キライなんだから」 長岡さんは、頬を染めてうつむいた。 ああ、俺はなんて馬鹿なんだ・・・ いつも、俺のことを励ましてくれていた長岡さん・・・・、こんなに素敵な女性が、そばにいたというのに! ゴメンよ長岡さん!君の気持ち、しっかり受け取った! 俺も、俺も君のことが・・・ 「長岡さん!」 自分のキモチに気が付いた俺は、長岡さんの潤んだ瞳を見つめた。 もう何度も告白したが、今日ほどドキドキしたことはない・・・ 「長岡さん!俺は・・・俺は本当は君のことが―――」 俺は、新しい恋に生きる!! 「君のことが好きだ!」 「はぁ? アンタ、なんか勘違いしてるでしょ?」 ・・・・・・・・・・・・・ 「お、俺と付き合ってくれ!」 「やなこった」 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 「な、な、な・・・・・」 なんじゃそりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!! 俺は矢島、本当の愛を求めるナイスガイ 今日は、ちょっとした勘違いがあったけど・・・ それでも平気さ! だって俺は、こんなことには慣れてるぜ! わははははははははははははは・・・・・は・・・は・・・・・ 「よぉ!矢島じゃん、志保から全部聞いたぜ」 「・・・・」 「お前って、つくづくピエロだよな!よっ、日本一の道化師!」 元はといえば・・・ 元はといえばお前が悪い!! 「藤田ぁっ!お前を殺して俺も死ぬっ!!」 「わ〜いっ!ピエロが怒った〜!逃げるぞあかり!」 「うん!」 俺は泣きながら、藤田と神岸さんを追いかけた。 夕日の中、俺から逃げていく藤田と神岸さんは、笑っちゃうくらいお似合いで・・・ お兄様、涙が止まりません・・・・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− こういう話を半笑いで書く俺、外道だよなぁ・・・ ヤジマ、そのうちいいこと有るぞ! 俺がお前をいじめるのはな、俺がいじめることによって、他の人々がヤジマのことを愛するようになればと・・・ そういう深い思慮があってのことなのだ! 俺は、お前のために、あえて泥をかぶろう! さ〜て、つぎは、どういじめるかな〜♪