「もっとセリオが人間っぽい方がいい!」 私は、ウマみたいな顔をした、白衣の中年男に指を突きつけた。 「そ、そう言われましても・・・セリオは、ああいった仕様なワケで」 「嫌!」 「は、はあ」 「開発主任だったら、何とかしなさい!」 「しかし、綾香お嬢様・・・」 「命令です!」 私は、きっぱりとそう言ってから、メイドロボ研究開発室を後にした・・・ 「どうします主任」 「人間っぽく、なんて、今更無理ですよう」 「セリオの筐体に、マルチのプログラム走らせるとか・・・」 「そりゃ、いくらなんでもダメだろう・・・」 「主任、ご決断を!」 「主任!」 「よし・・・」 長瀬主任は立ち上がった。 「ファジー機能でも付けてみるか!!」 一週間ぐらいして、セリオが帰ってきたわ。 「ただいま戻りました・・・・と、思います。」 「はあ?」 首をかしげる私を無視し、セリオは通常業務に復帰した。 お茶を入れたり、宿題手伝ったり、掃除したり、洗濯したり・・・ だが! 「お嬢さま、お茶をおいれしました・・・・と、思われます」 「な、なによそれは・・・」 とはいえ、久しぶりに飲むセリオの入れた紅茶は・・・・ 「ぬるいっ!!」 宿題。 「セリオ、宿題手伝ってくれる?」 「はい、なんとなく、それとなく、手伝います」 「・・・・」 それでも、答えがあっていれば・・・ 「セリオ、ここの答えは・・・・?」 「たぶんB・・・いえ、限りなくBに近いAだと思われます・・・おそらく」 「は、はっきりしてよ」 「きっとC」 ・・・・・・ 「なんじゃそりゃあっ!!」 掃除。 「セリオ、お掃除ご苦労様」 「いいえ、適当に手を抜いているので、たいしたことはありません・・・・」 隅っこには埃の山ができていた・・・ 「セリオ・・・」 「はい?」 「掃除だけはちゃんとしてほしいわ・・・」 「そのうちに」 「今やれよ!今っ!」 「はあ、では気が向いたら・・・」 「おんどりゃ、ケンカ売ってんのかコラ!」 洗濯。 「セリオ、シーツの洗濯は・・・」 「できてます・・・たぶん」 見ると、汚れがさっぱり落ちてキレイになっていた・・・ なるほど、ファジー機能は、洗濯には有効なのね! べちゃ 「乾いてなーーーいっ!!」 「干してませんから」 「非常識なことを真顔で言うなっ!!だいたい、なんで洗濯はするのに干さないの!?中途半端なのよ!」 「ファジーですから」 う・・・ 「い、いいから干しなさい!」 「では、曇りの日を見計らって・・・」 「晴れの日っ!!」 そんなこんなで夜・・・ 「お嬢さま、お夜食を作りました・・・」 「ああ、ありがとう・・・」 ぱく・・・ 「どうですか?」 「甘くて、辛くて、苦くて、すっぱくて、しぶくて・・・」 「どっちですか?」 「中途半端なのよっ!!」 セリオは、当然だと真顔でうなずいた。 「なにせ・・・・」 「ファジーだからって言いたいんでしょ!!」 「たぶん、おそらく、きっと、なにげに・・・そうだと思われます」 あああああああああああああああああああああああああっ!!! 次の日・・・ 浩之の家に遊びに行った帰り、公園を歩いていると、長瀬主任に呼び止められた。 「綾香お嬢さま、奇遇ですね」 「そーね・・・」 私は半眼で睨むが、長瀬主任はてんで気づかない。 それどころか、にこにこ笑って聞いてきた。 「お嬢さま、セリオのファジー機能、どうですか?」 「なんとな〜く、嫌っ!!」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 半端も〜ん! 最近、ちょこっと忙しいです。頭、テンパってます。 だから、しばらくお休みするかも・・・