由綺から電話がかかってきた。 しばらく世間話をしていたのだが、突然由綺は妙なことを言った。 『冬弥君のことを考えると、胸が痛いの』 ふうん・・・ 「どのくらい痛いの?」 もちろん冗談のつもりだった。 しかし由綺はおお真面目だ。 『右手の人差し指をコの字型に曲げて見て』 「泥棒を表すあれか?」 『そう。それでね、曲げた指の先と、曲げた指の第二関節を押さえるの』 「左手で?」 『うん、左手の人差し指と親指で・・・』 ・・・・こうかな? 「やったぞ由綺、次は?」 『それでね、左手で思いっきり摘まむの』 「左手の親指と人差し指で?」 『うん、思いっきりね』 ・・・・・・・・ きゅっ 「ぐあっ!」 『そのくらい胸が痛いの』 こ、こんなに・・・ 「な、なんか知らんが、ごめんよ由綺・・・・」 「ううん、冬弥君が悪いんじゃないから・・・・」 「お前・・・・変な女だよな」 「うん」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− バカップルめっ!