最近、琴音が思うこと・・・ 投稿者:MIO
 姫川琴音が、藤田浩之と付き合い始めたのはつい最近のことだ。
 とはいえ、色恋沙汰に関しての話題というのは、女子高生の話題の五割以上のシェアを誇っているわけだし、だい
たい、女子高生という生き物は、恋愛したくて学校行ってるような印象を受ける。
 もちろん、独断と偏見ではあるが・・・
 そんなわけだから、琴音と浩之の仲は、あっという間に公のものとなった。
 噂が広がるのスピードは、二人の予想以上に速かった。
 
 んで、琴音と浩之は一緒に登校している。
 どちらかが一緒に登校したいと思ったわけではなかった。
『付き合ってるなら、一緒に登校したりするんじゃない』
 と・・・、誰かが言ったからだ。
 どうにも、琴音は客観に左右されやすい性質であった。

 琴音は、浩之の横をトコトコ歩く。
 会話の内容は、口から出た時点で忘れていく。
 どうせ、内容が何もない。
 天気の話題をしていたような気がする。

 琴音は浩之の、ちょっとだけ後ろを歩く。
 意識してやっているが、あんまり意味はない。
 同級生に話したら、感性が少し古いのだと言われた。
 違うと思う。
 強いて言うなら、『立ち位置』の問題だ。
 ボケたらやはり、ツッコまれたい。
 ・・・・・冗談だ。
 
 とにかく

 琴音が思うに
 言葉というのは、感情の半分も表現できない(単に、琴音のボキャブラリーの問題かもしれないが)。
 さらに、いくら饒舌に喋って語彙を駆使しても、伝わるのは言いたいことの上澄み部分だけだ。
 言葉は意味を成さない。
 それでも人が言葉を話すのは、きっとまやかしの関係にすがるためだ。
 意志の疎通という、幻想を見るためだ。
 琴音は、人が理解し合うには口ではダメなのだと思う。
 強く思う。

 だから

 藤田浩之の、ズボンのチャックが開いている・・・・、という事実を伝えるには、言葉ではダメなのだ。
 琴音がいくら喋っても、それが伝わるわけがないのだ。
 単純に
『ズボンのチャックが開いています』
 と言うと。
 琴音の真意が曲解される可能性がある。
 琴音は当然、純粋に浩之のためを思って忠告する。
 だがしかし 
 浩之がそう受け取るとは限らないではないか。
 世の中には、バスの席を勧められて怒りだす人達が、ごまんといるのである。
 だから、琴音は喋らない。
 黙って歩く。
 でも・・・・・、教えなければならないだろう。
 長岡志保が現れる前に・・・・、せめて学校に到着する前には。

 だが・・・言葉は無意味だ。
 だから
 
 ささっ
「俺の?」

 ささささささっ、ささっ、さささささっ
「ズボン?」

 さささささっ、ささっ
「山ネズミ ロッキーチャックの・・・」

 ささささささささっ

「山ネズミは・・・・置いといて?」

 しゅしゅしゅっ
「ボクサー?」

 ふるふる
「ロッキー?」

 こくこく・・・・さささっ
「ロッキーも置いとくのか?」

 うんうん・・・・ささささささっ、ささ、さささー

「窓?ウインドウズ?違う?・・・・解った!!」

 ささささささっ
「俺の、ズボンの、チャックが、開いている・・・だろ?」
 
 こくこく
「よっしゃあ!」

 琴音は嬉しい。
 通じた。
 それは、琴音にとって重要な意味を持っていた。
 琴音と浩之は、心と心で通じ合っているのだという証拠なのではないか。
 なんと素晴らしいことだろう、なんと感動的なんだろう。

 さささささささっ、ささっ、さっ
「うんうん、良かったな琴音ちゃん」

 琴音は喜びを体全体で表現し、ヒロユキも嬉しそうに頷いた。
 どうでもいいが浩之


 とっとと、チャックを閉じろ。


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 >M10さん
  はじめまして!
  なんだか嬉しいッスよ。
  んだから頑張ってくださいね。

  最近、MIOが思うこと・・・
  CHOCO氏のイラストにうっとりだ・・・
  そういや、INO−Rさんのイラストにもうっとりし覚えがある・・・
  天才谷明氏のマシンメサイアにも、山口氏の星ガオにもうっとりしたが・・・
  なんか、うっとりしてばかりである。
  とにかく
  ありゃあ、いいもんだなあ・・・ピクシーガーデン・・・どーっすかなあ・・・・