今日も今日とて、由綺から電話だ。 『でね、隠し芸大会に出演するの』 今はまだ秋だ。 「気の早い話だなあ」 『でもね、練習とかあるから』 そういやそうだな。 しかし・・・・、由綺に隠し芸なんてあったっけ? 「で?由綺は何をやるんだい?」 『何って?』 「隠し芸だよ」 『あ、うん。あのね、理奈ちゃんと書き初め。私は人間筆をやるんだよ』 「ふうん・・・・」 なに? 『だから理奈ちゃんと毎日練習を・・・』 「ちょ、ちょっと待てい!!」 『?』 「今!今なんて言った!?」 『え?だから・・・・』 『人間筆』 あ、頭が痛い・・・・ 『理奈ちゃんが、筒の中に入った私をかついでね、私の髪の毛を筆代わりに・・・・』 なに考えてんだ、あの変態プロデューサーは!? 「・・・・で?」 『うん?』 「なんて書くんだよ!由綺を筆にまでして、天才緒方英二が書きたい字ってのはなんだ!?」 『寿退社』 「な・・・・」 なんでじゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?