はるかが、近所に温水プールがあると教えてくれた。
知らなかった。
「なるほど、穴場だな・・・」
そこそこ広いが、人がぜんぜんいない・・・・
そのうちつぶれるな、こりゃ。
まあいいや。
はるかに誘われた俺は、時期外れの水泳も悪くないと温水プールへ来ていた。
「冬弥、見て」
「なにをだ?」
「私の水着」
「・・・・・・」
「興奮した?」
「水着だけ見て興奮するやつは変態だ」
「ん、冬弥変態だから」
「違う!」
「なにが?」
「俺がいいたいのはだな、水着だけ目の前にぶら下げられても興奮しないという・・・・」
「このへんの切れ込みが過激・・・・」
「聞け!」
「やだ」
実も蓋もない言い方を・・・
「とにかくさぁ・・・、泳ぐんなら水着に着替えろ!」
「冬弥、そんなに興奮したい?」
「違う!断じて違う!」
「じゃなに?」
「ここはプールだっ!!普通は水着に着替えるだろ!普通は!!!!!」
「泳がなくても?」
「泳がないのか!?」
「ん、泳ぐよ」
「何じゃそりゃぁ!!!」
「また怒る」
「いいから着替えろ!!」
「ん、着替える」
ぬぎっ
「うわっ!ここで着替えるやつがあるか!!」
「着替えろって・・・」
「更衣室があるだろ!」
「ん、水着、下に着てる」
「・・・・・あっそう」
「・・・・」
「・・・・」
「っておい!じゃあ、お前が持ってきたこの水着は何だよぉっ!!!」
「知らない」
「知らないって・・・」
「拾った」
「どこで」
「私ん家のタンスの中」
「それは拾ったとは言わない!!」
「おお」
「感心するな!っていうか、そのハイレグはお前のなのか!?」
「ん、母」
「うわぁ!」
「というのは冗談で・・・」
「お前なぁ!」
「きっと、死んだ兄・・・・」
「もっと嫌ぁっ!!!!!」
今日も一日そんな感じだった。
温水ぬるくて、嫌な気持ち・・・・
「きっと、大勢の子供たちがここで・・・・・・」
「頼む!それ以上は言うな!」