季節は秋、散歩するにはちょうどいい季節だ・・・ 俺は空を眺めて、ぼんやりと歩いていた。 ふと、見知った背中を見つける。 「はるかだ」 逃げよう。 あいつといると、最近ろくな事がない気がする。 俺はくるりとUターンして・・・ 「ん」 「わあっ!」 目の前にはるかがいた!? なんで?どうして? 「い、いまさっきお前、むこうに・・・」 「ん、あれ、双子の妹・・・」 「嘘吐け!」 「じゃ、死んだ兄」 「うっ・・・」 そういう嫌なことを、平気で・・・ 「今日は・・・私、犬の散歩」 「別に聞いてないぞ」 「私の犬の名前、知ってる?」 「あ?」 「冬弥」 「犬につけるな!」 「猫ならいい?」 「動物につけるなと言ってる!」 「どうして?」 「お前だって『はるか、お手!』とかいわれたら嫌だろ!」 「あははははは」 「なんで笑う!」 「想像した」 「するな!」 「冬弥は、犬っていうより・・・」 「話をすりかえるなよ!」 「猿」 「お前なぁ!」 「えっ、いや?どうして?」 「真顔で聞くな!」 「何が気に食わないのか・・・」 「犬の名前が『冬弥』だって事だ!!」 「じゃ、彰にする」 「あ、あのなぁ・・・」 「ちなみに、彼が人間の彰」 「やあ、冬弥」 いたのか・・・・ 「お前も何とか言ってくれよ!はるかが犬にお前の名前をつけたんだぞ!」 「はるか、そうなの?」 「ん」 「あはははははは」 「ええい、彰まで笑うな!」 「私、やっぱり冬弥がいい」 「僕もそう思う」 「なんでだよ!」 「「面白いから」」 「あああああああっ!」 二人とも俺で遊んでやがる・・・・ ちくしょう。 「お前ら、あんまり俺をなめ・・・」 「冬弥、最近、発情期」 「そうなの、冬弥?」 「何で俺に聞く!!」 犬のほうに決まってるじゃないか! 「人間のほうも発情期」 「お前なぁ!」 「冬弥、発情期なんだ」 「彰もあっさり信用するな!」 「犬の話だよ」 ・・・・・・ 「ん、メスなら誰でもいいみたい」 「冬弥、そうなの?」 「犬だぞ!」 「冬弥が?」 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ 「お前らぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 「キレた」 「どうしてだろ?」 「大っ嫌いだぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」 数日後、由綺とはるか 「ええっ!冬弥君が発情期で、その上、子供を孕ませてまわってる!?」 「ん」