お風呂から上がった私が居間を覗くと、耕一さんと初音がテレビを見ていた。 この前りんごを剥いたら、ひどく怒られたので、今日は梨を剥こうと思う。 ? そう言えば、耕一さんは梨が苦手だとか言ってなかっただろうか? ?それは梓だったかしら? 仕方ないので、私は包丁を持ったまま居間へ向かった。 「!?」 そこでは、非常に恐ろしいことが起こっていた。 耕一さんの右隣にちょこんと座っている初音、その初音の寝癖が! 寝癖が動いている!? 初音の寝癖は、くねくねと身をよじると、にうと伸びて耕一さんの耳の中に潜り込もうとしている! 取り憑く気ね! そうはさせない! 「耕一さん危なーいっ!!」 私は手にした出刃包丁を一閃した! すぱっ! 初音の寝癖を根元から切り落とした! 切り落とされた寝癖は、畳の上でしばらく動いていたが、すぐに動かなくなった。 「ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・・」 「どうしたの千鶴さん?」 耕一さんが振り返ってそう言った、初音も振り返ったが、そのまま、コテンと倒れる。 「あれれ、バランスが取れないよ」 「自業自得よ初音!」 「?」 それにしても・・・ 「耕一さん!危機一髪でしたね!」 「は?なにが?」