はるかが、ふらりと部屋にやってきた。 怠惰なまま、ぼんやりとすごす。 かと思われたが、静寂を破ったのは俺。 「はるか、俺、腹減った」 「ん、私も」 ううん、どうするかな・・・ そだ 「はるかさぁ・・・、料理できる?」 「うん」 あれ?意外な答え。 「ど、どんなの?」 「卵料理かな?」 「へえ」 「ゆで卵とか」 ゆで・・・・ 「それは料理じゃないぞ」 「あ、冬弥、差別した」 何のだよ・・・ 「あれは、ゆでるだけだろうが」 「でも私、半熟と固ゆでを作り分けられる・・・」 「俺だって出来る」 「すごい!」 「すごかない!」 「何年かかった?」 「なに?」 「私、出来るまで5年かかった」 な、なんじゃそりゃあ・・・・ 「お前さ、他にはなんかできないの?」 「ん、出来るよ、スクランブルエッグ」 混ぜて焼くだけではないか・・・・ 「黒いの」 「失敗しとるじゃないか!」 「違うよ、焦げたんじゃないよ」 「よけいに気色悪いわ!!」 「醤油をたっぷり入れて・・・」 「うげぇ・・・」 「作ろうか?」 「お断りだ!!」 しょうがない、俺が作るか・・・ 俺は、ミート・スパゲティを作った。 せんべいにはならなかった。 「ほれ、食え」 「ん」 二人、しばらく黙って食う。 突然はるかが 「ん、おいしい」 「黒いスクランブルエッグ作るやつに言われても、うれしくないぞ」 「おそらく、冬弥はスパゲッティを食べさせる天才と思われる」 聞いてねーし。 「あのなあ・・・・」 「お店開けるね。店名は『冬弥がスパゲッティを作って、私に食べさせる店』がいい」 「お前、ちょっと黙れ」 「ん」 二人は黙々と食べつづけた。 んで、気づいたら一日が終わってた。