電波の匣 投稿者: MIO
 ジリジリと照りつける日差しにうんざりしながら、僕は下校していた。
 長い道程をフラフラと歩ききり、やっと家に着いた僕は、汗だくの手で玄関を開けた。
「ただいま〜」
 言ってみただけだ。
 誰もいないのはわかっている。
「喉・・・乾いたな」
 僕は、冷蔵庫に麦茶があったのを思い出して、真っ直ぐ台所へ向かった。
 僕は、さっそくコップを用意して、冷蔵庫の扉を
 開けた。

「お帰り、長瀬ちゃん」

 バタン
 な、なんだ、今のは!?
 僕は恐る恐る、もう一度冷蔵庫に手を掛ける。

「おかえり、長瀬ちゃ・・・」
 
 バタン
 台所はひどく暑い。
 僕が帰るまで、誰もいなかったものだから、家全体が蒸し風呂のようになっている。
 セミの声が、ひどく頭に響いた。
 とりあえず、僕はもう一度冷蔵庫の扉を開いた。

「おかえり、長瀬ちゃん」
「あー、えっと・・・・、ただいま」
 にこっ
「・・・る、瑠璃子さん、麦茶とってくれる?」
「はい」
「ありがと・・・」

 バタン
 ・・・・
 瑠璃子さん、寒くないのかなあ・・・・