それは、移動教室で込み入った、廊下の真ん中で起こった出来事だ。 「ヒロユキ〜!」 「おお、どうしたレミィ」 向こうから,駆けて来たのは、パツキンでボインボインの宮内レミィだった。 レミィは、俺の顔を見てにっこり笑い 「歌を作りました!」 と言った。 「はぁ?」 大勢の生徒が見守る中、困惑する俺を尻目に、レミィは朗々と歌い始めた。 『すべてが警部になる』 作詞:宮内レミィ 岸からあがった爺様が、干菓子を摘まむ〜 「此れで、良いのじゃ〜」 「此れが、良いのじゃ〜」 吸う吸う、吐く吐く、吸う、吐く吐く 賢妻になれ〜 あ〜か、りんりん! 「・・・・・」 「どうか?」 「ど、どうかって言われても・・・・」 俺が返答に窮していると。 「浩之ちゃん」 「おお、あかり!助けてくれよ、レミィのやつが・・・・」 だが、あかりは最後まで聞かない。 「私、浩之ちゃんのために歌を作ったの!!」 『藁売る、イエモン』 作詞:神岸あかり 黄身の外側、白身の外側、殻割れてるぞ〜っ! 窓を開いて、また閉じろ!閉まる途中で諦めろ! 迎え撃て!大臣軍団! 飛び立て、飛び立て!パイレーツ (以下略) 周りの視線をものともせず歌い続けるあかり。 うう・・・ 俺、なんかしたか? 「浩之!」 「ま、雅史・・・」 「歌作ったんだ!タイトルは『紋次郎の旅篭』!!」 そして雅史も歌い始める。 「怒れ!博多のトマホーク〜♪」 今日は何の記念日だあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?