やあ、みんな!俺のことはもう知ってるよな!俺が矢島だ! 寝ても覚めても、一人の女性のことを考えている、結構純な男さ! 俺が思いを寄せているのは、同じクラスの神岸あかりさん。女性の持つ柔らかさと言うか、母親的なものを、体現しているような、素敵な女性なのだ。 俺は、彼女が好きで好きでたまらないワケだが、彼女の魅力というのは、やはり万人に平等らしく、結構競争率が高い。 だが、俺は昨日今日あかりさんのファンになったような連中とは違う!そういうやつらはアウトオブ眼中だ! 俺がライバルとして認めているのはただ一人、あかりさんの幼なじみ 藤田浩之!! おお、なんと憎たらしい名前だ! 俺の恋のライバルは、幼なじみなのをいいことに、あかりさんを隷属させている悪い野郎だ。 だいたいあいつは・・・・・ おや?あそこにおわすは、あかりさんじゃないか! ラッキー! しかも、いつもはあかりさんにベッタリの藤田がいない! 空前絶後の大チャンス! これを機会に、あかりさんとの距離を縮めてやる! いままでの、『矢島君は友達』の段階から、『矢島君は・・・・』の段階へステップアップだ! 「神岸さ〜ん!!」 俺はあかりさんに向かって駆け出した。 ここで上手にやれば、『友達』から抜け出すことが出来るかもしれない!いや!出来る!! もう友達なんて言わせない! 「神岸さん、なにしてるんですか?荷物持ちましょうか?」 俺がまくしたてるように言うと、あかりさんは少し困ったような顔をした。 「遠慮しなくていいっス!友達じゃないですか!」 友達・・・・、ふっ、今はな! 荷物を持ってやろうと、手を出した俺を見て、あかりさんは漸く口を開いた。 花の蕾のような愛らしい唇から、可愛らしい声が漏れる。 「あの・・・・・」 「はい!なんでしょう!」 何でも言ってくれ!あかりさんさえ望めば、俺は、たとえ火の中だろうと水の中だろうと・・・・ 「怒らないでほしいんだけど、その・・・・」 「あなた誰?」