神岸あかりは、浩之に食べさせようと、お節を作っていた。 出来に納得がいかず、試行錯誤をかさね、結局完成したのは一月三日だった。 納得がいかなかった最大の原因は、黒豆だったそうである。 来栖川芹香は家にいた。 セバスチャンが珍しく休みをとっていたた。 その、小さな開放感も手伝って、いつも以上にぼうっとしていた。 だから、あやかのカルタ取りに付き合って、ずうっと札を読んでいた。 来栖川綾香は、カルタ取りに熱中していた。 向き合う相手はただ一人。 セリオである。 なかなか勝てず、意地になった綾香は、結局三日連続でカルタをする羽目になった。 セリオは、カルタをしていた。 札の位置を完璧に把握していた。 だから、綾香が勝てるはずがなかった。 セバスチャンは、暇をもらって比叡山の山中に来ていた。 久々の山篭もりで、実に気分がよかった。 実は、セバスチャンに同行を願い出た若い娘がいたのだが・・・ 山篭もり初日にギブアップしてしまった。 最近の若いもんは根性がない。 そう、思った。 松原葵は、セバスチャンの山篭もりに同行して、比叡山へ向かった。 しかし、山篭もり初日に下山をする羽目になった。 どうやら、セバスチャンが作った、きのこリゾットがいけなかったらしい。 食中毒である。 香坂好恵は、葵の見舞いに来ていた。 来栖川綾香との連絡がつかず、結局一人で葵の話相手をした。 格闘技についての話題は白熱し、結局正月の間中、葵の見舞いにいった。 暇なことである。 そうそう、彼女は看護婦に男と間違えられるという屈辱的な体験をしたらしい。 佐藤雅史は、家族とハワイにいた。 ハワイから、浩之やあかりに年賀状を書いた。 浩之たちが年賀状を読んだのは、一月三日のことである。 藤田浩之は、街を走りまわっていた。 マルチが行方不明なのである。 途中、神社でひどい目に会い、満身創痍だったが、走りつづけた。 途中で倒れて病院に担ぎ込まれ、そこで葵と好恵に会った。 委員長がいたことは、後で知った。 保科智子は病院にいた。 父が胃潰瘍で入院したのである。 正月中家にいるのもつまらなかったので、寂しがる父の話し相手を買って出た。 隣の病室が騒がしいのが気になった。 隣の病室から出てきた男の子が気になった。 結局、松が取れるまで、妙に騒がしい病院に通っていた。 浩之がいたことを後で知って、何か申し訳ない気分になった。 姫川琴音は、初詣先の神社でレミィに会った。 「ワタシはダディにもマミィにも自分にも隠し事をしません」という、レミィの言葉にひどく感銘を受けた。 お礼に、コンビニで買った缶ジュースを二本渡し、家に帰った。 家に帰った彼女は、両親と腹を割って話し合った。 気の重い三日間であった。 しかし、素晴らしい新年を迎えることができたと、本人は述懐した。 結局彼女は、レミィに渡した缶ジュースが、実はカクテルであったことに気づかなかった。 雛山理緒は、神社に初詣にいった。 神社は妙に騒がしく、人だかりができていた。 野次馬しようと、人だかりに近づいて、知った顔をいくつか見つけた。 みんな晴れ着を着ている、理緒は晴れ着を持っていなかった。 恥ずかしくなって、結局松が取れるまで家にいた。 宮内レミィは、初詣に来て、琴音に会った。 もらった缶ジュースをさっそく飲んだ。 それから後の記憶がない。 気がつくと家にいて、父親が恐い顔で立っていた。 父親は、散々意味不明なことを言って、最後に「そんなに狩がしたかったのか」と言った。 「藤田君に礼をせねば」と言ったのは、聞こえなかった。 結局、正月の間は自宅謹慎だった。 私、長岡志保は、知り合いの情報を調べ上げるため、東奔西走していた。 何故そんなことをしたかというと。 暇だったのである。 私の情報収集に幕を下ろしたのは、ひどく屈辱的な出来事であった。 神社をぶらついていた私のお尻に、どこからか飛んできた破魔矢が刺さったのである。 私は、すぐ傍の病院に担ぎ込まれた。 破魔矢の正体は、一月三日に知ることになった。 そうそう、マルチは一月三日に見つかった。 マルチは鍋の中にいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− あー、調子ワリィ。 どうもダメっぽいなあ。 家に帰って京極読もう、じょろーぐも。 宴とオンモラキもあとにひかえてるし、急がなきゃ。 あー、超ダメダメだ、これを世間ではスランプと言うのかな? あー うー・・・・・・ そだ、マルチがなんで鍋の中にいたか、わかる人いる? いるよね あんたは偉い、賢い・・・・ あー うー・・・・