鉄壁!雅史バリヤーここにあり!! 投稿者: MIO
「わははははははははははははははっ!仮面高校生ヤジマ参上!」
 チッ、また矢島か・・・
「毎度毎度しつこいぞ矢島!大体察しはつくが・・・・、何の用だ!言ってみろ!」
 半ば投げやりな俺の言葉に、矢島は『俺は仮面高校生ヤジマだ、矢島君は関係ない』と前置きすると
「勝負だ藤田!!」
 と雄叫んだ。
「またか・・・、いいか矢島、そんなにあかりと付き合いたかったら俺に絡む前に、やることがあるだろ!」
「何をだ!」
 わかっとらんのか・・・
「こういうのはアレだ、おれたちの気持ちより、あかりの気持ちが優先じゃないのか!」
 俺の言葉に、矢島はしばし考え込んだ・・・、が
「よくわからんから却下だ!」
 なんじゃそりゃ。
 お前はそういうキャラじゃないだろうに。
「勝った方が、あかりさんとエンゲージだぞ!いいな」
「オイコラ!あかりの人権は無視か!?」
「問答無用!勝負だ藤田!」
 ぺっ!
「うわっ!?」
 矢島は、いきなり俺に唾を吐きかけてきた。
「どうだ!これが新開発の『ヤジマ式シューティング・ウォーター』だ!」
「てめえは動物園のサルか!いまどき小学生だってやらねえぞ!」
「サルではない!鉄砲魚にヒントを得た!」
「んなこと知るか!ばっちいからやめ・・・」
 ぺっ!
「おわっ!」
 ぺっぺっぺっ!!
「うわあっ!」
「わははははははっ!手も足も出まい!」
「手も足も出したくねえんだよ!」
 ぺっ!
「おわっ!」
「ふふ、後がないぞ藤田」
 俺は知らぬ間に追いつめられていた。
 くそ、よく考えたら、何で俺がこんなバカの相手をしなきゃいかん!
 俺はあたりを見回して、解決策を模索した
「む、あそこにいるのは・・・・・」
 よし、俺もあの技で応戦するか!

「死ぬがいい藤田!ヤジマ・ウォーーーーーーーターーーーーーーーーーーーッ!」

 ふっ・・・
「雅史バリヤーーーー!」
「えっ?」
 ぺちゃ・・・・
「なにぃ!俺の必殺技が通じない!?」
 ふふふ、この技はまさに鉄壁、今のヤジマには破れまい!

「あ、あの・・・・、浩之?」
「おう雅史、今日は部活は休みか?」
「い、いや、その、そんなことより・・・・」
「うむ、矢島の馬鹿に絡まれて困ってたんだ」

「馬鹿とは何だ!それに俺はミラクルカッコイイ矢島君とは何の関係もない!俺は・・・」
「うるさいな、わかってるよ、仮面高校生ヤジマだろ!わかったから家に帰れ、しっしっしっ!」
「おのれ藤田!ウォーター!」
 ぺっ!
「雅史バリヤーーーッ!」
 ぺちょ
「うわあ」
「ウォーター!」
 ぺっ!
「雅史バリヤーーーッ!」
 ぺちょ
「ううう・・・」
 そんなことを俺たちは小一時間ほど続けた・・・

「ぐう・・・、口の中がカラカラだ」
「ふん、雅史バリヤーはいまだに有効だぞ、どうする矢島!」
 俺の言葉に、矢島は、ぐう、と唸って
「覚えてやがれ!」
 と叫んで去っていった・・・・
 ふっ、小悪党め。

「浩之・・・・」
 べちょべちょの雅史が何か言いたそうな顔をしている。
 が、俺は無視した。
「矢島って、なんでああなったのかね?」
「あのさ、僕にもさ、人権とかさ・・・」
「むっ!これは矢島の落としたメモか!?」
 携帯の電話番号?
「前からさ、言おうとは思ってたんだけどさ・・・」
 しかし、この電話番号はどこかで・・・・
「雅史バリヤーもそうだけど、雅史ブリッジとか、雅史濡れ衣の術とかさ・・・」
 これは・・・、そうだ!これは志保の携帯の番号だ!
「そういうのはさ、なんていうかさ・・・」
 どうしてだ?どうして矢島の後ろには志保の影が?
「・・・うん、僕、このさいだから、思い切って言うよ!」
 矢島と志保の関係は!?
「いいかい浩之!僕は・・・」
 そうか!

「僕は浩之のオモチャじゃない!!!!」

「うはあっ!!そうだったのかぁっ!!」
「わかってくれたんだね!」
「ああ、わかったぞ雅史!矢島を裏で操ってるのは志保だ!」
「・・・・・・え?」
「くそお、志保め!何を考えてる!」
「あ、あの・・・」
「雅史!」
「な、なに?」
「今から志保の家に乗り込むぞ!ついてこい」
「ぼ、僕も?」
「ああ、どんな罠が待ち受けているかわからん!そんなときこそ、雅史!お前の能力が必要なんだ!」
「能力・・・・」
「雅史バリヤーとか、雅史ラダーとか・・・、その他だ!」
「・・・・・」
「よし行くぞ雅史!!」
「うう・・・」
 雅史は泣いていた・・・、当然だ、死地へ赴くのだから、恐怖を感じないほうがおかしい。
 そこまでして俺についてきてくれる雅史・・・・、こいつこそ本当の親友だ!!
 今は存分に泣くがいい!そして戦ってくれ、俺のために!

 ありがとう、本当にありがとう雅史!君こそ明日のヒーローだ!!

つづく