「ごめんください」 「あれ?セリオじゃねーか」 それは梅雨でもないのに雨が降り続く、嫌な日のことだった。 突然俺の家にセリオがやってきたのである。 「しばらく、ごやっかいになります・・・・」 「なんで?お前は先輩の家で働いてるんじゃ・・・・・」 「じつは・・・」 セリオは、家出をしてきたといった。 「家出!?どうして!」 何でも、セリオがコレクションしていたビール瓶の王冠を、綾香が捨てたらしい。 「集めたのに・・・・・」 「わかったわかった、しばらく家に居ろよ、気が済むまでさ」 「ありがとうございます」 一人暮らしも同然の俺には、最新のメイドロボほどありがたいものはない。 「とりあえず料理を作ってくれよ」 「買い物に行ってきます」 「行ってらっしゃい」 帰ってきたセリオは、早速料理を作り始めた。 エプロンをしたセリオがもくもくと何かを調理している。 「何作るんだ?」 「秘密です」 「ふうん」 とりあえず材料は・・・・ 「どわっ!!」 「どうしました?」 「ヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘッッ!!!」 「何がおかしいのですか?」 「笑ってるんじゃない!!」 「泣いてるのですか?」 「俺が泣いてるように見えるかっ!?」 「・・・・ひどく驚いているように見えます」 「分かってるんじゃねーか!!」 それより・・・・ 「なんだよこれはっ!!」 「蛇です」 「見りゃわかる!」 「名前はありません」 「そーじゃない!どうして蛇が買い物袋に!?」 「食材だから」 「しょ、食材って!?何食わせる気だ!」 「中華料理」 「どこで買ってきた!?」 「捕まえました、庭で」 「と、とにかく蛇はだめだ!!」 「おいしいのに・・・・」 「だめ!!」 「細かく刻みますから」 「だから!蛇がだめなの!」 「何故?」 「蛇だから!」 「差別です」 「ちっがーーうっ!」 「じゃあ、熊の手を」 「うっがあああああっっっ!!」 セリオは、次の日帰らせた。 ちなみに、結局俺は蛇を食ったのだが・・・・・ うまかった。