覆面アイドル 投稿者: MIO
 俺はその日、英二さんに呼び出された。
「よ、来たか青年」
 相変わらず軽薄そうな人だ。
「で、何なんですか?僕に話って・・・」
「それなんだがな・・・・」
 英二さんは急に真剣な顔になり
「森川由綺を覆面アイドルとして売りだそうと思う!」
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふ、ふく・・・・」
「覆面アイドル!つまり、顔を隠したアイドルだ!」
「な、なんですかそりゃ!」
「由綺ちゃんが顔を隠せば、君も公に彼女と付き合えるぞ?」
「そ、それは嬉しいですが・・・・」
「だろ?だろ?」
 覆面アイドル
 俺の頭の中に、ライガーのマスクをかぶった由綺が、ステージで歌うヴィジュアルが・・・・・
「やっぱダメです!」
「えーーーっ!!」
「どう考えてもおかしいですよ!だいたい由綺だって・・・・」
 俺が言いかけたとき
 ばたん!!

「冬弥君!私やってみる!!」

 現れたのは、真っ白な覆面をかぶった由綺だ。
 目と鼻と口の部分だけ、赤い縁取りで穴があいていた。
 額には『ゆき』とマジックで書いてある。
「ゆ、由綺・・・・それは・・・」
「見たまえ青年!かっこいいだろ!?」
「・・・・・・・・・・」
 俺は絶句していた、由綺の覆面もそうだが、由綺の隣に立っている・・・・
「や、弥生さん!!」
「今は、覆面マネージャーです」
「な、な、な・・・・・・」
「どうだ青年!!」
 ど、どうだ・・・って言われても。
 そのときだ

 ばたんっ!!

「兄さん!」
「げっ!理奈!?」
 扉を開けて現れたのは、トップアイドル緒方理奈。
 英二さんの妹でもある。
「また由綺に変なことさせようとしてるわね!!」
「ち、違うんだって!これは・・・」
「問答無用!折檻するからちょっと来い!!」
「いててててててっ!」
 理奈ちゃんは、英二さんの耳をつかみ、ズルズルと引っ張っていった。
「あ、あの〜、理奈ちゃん?」
「冬弥くん!それに由綺!こんなアホな男の言うこと二度と聞いちゃダメよ!じゃねっ!」
「あ、兄に向かってアホはないだろ」
「うるさいっ!」
 ばたん!

「由綺・・・とりあえず覆面とれ」
「いや!私は覆面アイドルとして生きるの!!」
 すっかり洗脳されている。
「弥生さん・・・・」
「由綺さんが取らないのなら、私も取りません」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」


 そのとし、覆面アイドルはブレイクした。
「・・・・・」