アルデンテな俺 投稿者: MIO
 レミィが俺の家に来た。
 なぜかというと、俺の作った料理が食いたいんだそうだ。
 何でそんな展開になったかは割愛する、なんでって、俺にもよく分からないからだ。
 レミィとの会話ってのは、大抵そんなもんだからな、別にいいだろ?。

 さて、何を食べさせるかな。
 さすがに、カップ麺を食わせるわけにもいくまい。
 俺は台所を見回す・・・・
 おっ
「ヒロユキー、何食べさせてくれるの?」
「スパゲッティだ」
 ミートだぞ。
 これなら、それなりに上手く作れる。
 
「アルデンテでお願いシマース!!」
 俺が作り始めると、レミィがそんなことを言った。
「おいおい、お前、アルデンテが何か知ってるのかよ?」
「味でしょ」
「どんな味だっ!」
「甘酸っぱいのかなあ?」
「違うっ!」
「え?じゃあ、どんな味ナノ?」
「だから味じゃないっ!」
「味がないんですか!?」
「聞き間違えるな!『味がない』じゃなくて、『味じゃない』だ!」
「味がないスパゲッティなんて食べたくないデース」
「こら、人の話を聞け!」
「何の話でしたか?」
「だから、アルデンテ!」
「ああ、味の?」
「だから味じゃない!」
「じゃあ何ですか?」
「そりゃ・・・、ゆで加減のことだろ?」
 俺も、それ以外のことは知らない。
「ええっ!ゆでるんですかっ!?」
「それ以外にどうやって食うんだ」
「生でばりばりと・・・」
「お前、今までそうやって食ってたのか!?」
「NO、ちゃんとゆでて食べます」
「・・・・・・・・・・・お前、俺を馬鹿にしてるだろ」
「いいから、早く作って」
 こ、こいつぅ・・・・
 温和な俺も、いいかげんキレるぞ。
「レミィ、お前と話さなきゃいかんことが、たっくさんあるんだがなあ・・・・」
「ナニ?」
「お前の態度だ!まがりなりにも俺の家出ご馳走になるんだぞ、ちったあ遠慮しろ!」
「エンリョ?」
「遠慮だ!」
「わかった、じゃあ帰る」
「ここまで作らせておいて、そりゃないだろ!とりあえず居てくれよ!」
「んじゃあ、料理が出来てから帰るね」
「俺が間抜けなだけじゃないか!!」
「じゃあ、料理を食べるのを遠慮します」
「あのな・・・、俺はお前のために作ってるんだぞ・・・・」
「ワタシのためだったのですか!?」
「お前なあっ!!お前が、俺の料理を食いたいって言うから作ってるんだろっ!!」
「で?ナニを作ってるんですか?」
「だからスパゲッティだっ!!!!」
「じゃあ、アルデンテで・・・」
「うがあぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
 こいつはっ!!!!
「ヒロユキ」
「何だっ!!」
「コゲてます」
「うっわあーーーっ!!」
 もくもくと白い煙があがっている・・・・

 で

「センベーみたいデス」
 くぅ、まさかマルチと同じミスを冒すとはっ!!
 痛恨のミス!!
「ヒロユキ、これがアルデンテ?」
「・・・・・・」
「ねぇ、これがアルデンテですか?」
「ああ、そうだ・・・・」
「ナルホド!」
 ばりばりばり・・・・・
「アルデンテはヒジョーに美味です!」
「あっそう・・・・」

 がちゃ
「おじゃましまーす!」
 てくてくてく・・・・
 ぎい
「アルデンテというのは、芯を残すゆで方のことだよ。じゃあね、バイバーイ!」
 ぱたん
 てくてくてく・・・・
「おじゃましましたー!」
 ばたん


「あかりは・・・・なにしに来たんだ?」