「楓ちゃん・・・・それは?」 俺は呆然と聞いた。 いや、他のみんなも同じ気持ちだったはずだ。 千鶴さんも、梓も、初音ちゃんも。 俺たちを困惑させているのは・・・・ 日曜の朝、朝食を囲んだ一家団欒の時間、いつものように現れた楓ちゃんと、その頭に乗った・・・・・ う゛っぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっっっっ!!!!!!! 一匹のヒヒ。 「おはようございます、耕一さん」 う゛ぎいいいいいっっ!! 言っていいのかな? 『楓ちゃん、君の頭にヒヒが乗ってるよ』なんてことを。 いや!!ちょっとまて!! 最近、鬼の力に目覚めたせいでいろんな事があったけど・・・ いくら何でもヒヒはないだろ!? もしかしたら幻かも・・・、そうだ幻だ!! そういや、昨日は梓と遅くまでトランプやってたからな・・・・、きっと寝不足のせいさ。 「おはよう楓ちゃん!」 なにぃっ!! 耕一の言葉に、私は心の中で声をあげた。 見えてないのか!? そ、そんなはずは・・・・ はっ!私にしか見えてないのかも!? そ、そうか・・・・、もしかして新しい『力』か!? ・・・・そうだ、あれは楓の背後霊なんだ! 私は霊能力に目覚めたんだぁぁっっ!!! どうしたのかしら・・・・ みんな、何で何も言わないのかしら・・・・ ヒヒ どう見てもヒヒよねえ・・・・ はっ!もしかして私だけにしか見えてないのかなヤバイ!! ・・・・・ 私も知らないふりしよっ!! 沈黙が食卓を包む・・・・・ そのとき、初音ちゃんが初めて口を開いた。 「楓お姉ちゃん、頭にお猿さんが乗ってるよ」 なにっ!! 「やっぱり俺だけじゃなかったのか!!」 「霊能力じゃなかった!?」 「ああ、よかった!更年期障害かと思っちゃった」 う゛っぎーーーーーーーーっ!!! ヒヒは鳴いた。