べとべとマルチ 投稿者: MIO
「セリオさん、これ、何ですかー?」
「スライムです」
「すらいむですか?」
「玩具の一種で、10年ほど前にはやりました」
「バケツいっぱいありますー」
「来栖川の新技術により、大幅なコストダウンに成功したのです、5リットルで200円です」
「なるほどー、ひじょーにりーずなぶるですねー」
「しかし、あまり売れてはいないようです・・・・」
「触っていいですか?」
「どうぞ」
 どきどき
 つんつん・・・・
 うにうに・・・・
「おおおおおおおお」
「どうですか?」
「とっても気持ち悪くて、面白いです」
「そうですか」
「あのあのあのあのあのあのあの!」
「何ですか?」
「もっと触っていいですか?」
 ぽっ・・・・
「触っていいですよね?」
「・・・どうぞご自由に」
「では」
 どきどき
 つんつん
 うにうに
「えいっ」
 ぶにゅう
 びちょ
「・・・・・楽しいですか?」
「はい!」
 うにゅうう
 くにゃあ
 スライムをいじり回し、二へ二へと笑うマルチ。
 それを見つめるセリオ。
 その光景は、約1時間続く。

 1時間後

「マルチさん、こちらにスライムの貯蔵タンクがあります」
「えっ?」
「そこには、約5トンの膨大なスライムが・・・」
「ほ、ほんとですかー!!」
 目をきらきらと輝かせるマルチを連れて、セリオは巨大なタンクの前へ。
「廃棄処分が決定されています、せっかくですから思う存分どうぞ」
「うふふふふふふふふふ」
 何かの中毒者のように、マルチはフラフラとタンクへ・・・・
「そうだ!」
「?」
「セリオさんも一緒に遊びましょう!」
「あの・・・・私は」
「とっても楽しいですよー!」
「・・・・」
「絶対面白いですからー!」
「そ、そこまでおっしゃるなら・・・・」


「ただいま帰りましたー!!」
「お帰りマルチ、メンテはどうだった・・・・・、げっ!?」
 べとーーーっ
 マルチが溶けてる・・・・
「はい、異常ありませんでしたー」
「嘘つけ!もっかいメンテだ!異常だらけじゃねえか!」
「えー、そんなことないですう」
 びちゃっ
 べとおぉ
「うわっ!寄るんじゃねえ!っていうか動くなっ!」
 べとべとのマルチから逃げ出す浩之。 
「待ってくださーい!」
 逃げる浩之を追うべとべとのマルチ。
「くるなあああああっ!」
 
同じころ・・・

「セリオーっ!ちょっと来てくれるー!?」
「何でしょうか綾香お嬢様?」
「うん、実は頼まれてほしい・・・・・って、きゃあっ!」
「何か?」
「『何か?』じゃなーーーーーいっ!!」

 次の日、二体のメイドロボは一日中掃除をすることになった。
「マルチ!今度という今度はせっかんじゃあっ!」
「ひ〜ん1ごめんなさ〜〜いっ!!」

「セリオっ!そのスライムは捨てなさいっ!」
「はあ・・・しかし」
「しかしもかかしもなーーーーーいっ!!」


 このお話の教訓は、全身スライムまみれで家の中を歩くと、掃除が大変だよ?ってことなのだった。
 
 とっぴんぱらりのぷう