HMX-12 マルチは、メイドロボである! 来栖川電工の科学力によって命を与えられた彼女は、今日も今日とてお掃除に明け暮れるのであった!! <h1><b><i>モップでねらえ!!</i></b></h1> 第1話「実録!!学校の恐い話!!」 来栖川電工、HM開発室・・・AM2:25 開発室長である長瀬源五郎は、最後のスイッチを押しメイドロボの電源を入れる。 ぶううぅぅぅぅ・・・・・・・・ん 低い起動音と共に、一体の最新型メイドロボが目を覚ます。 緑の髪の、少女の姿。 「う・・・・ん・・・」 「私がわかるかね?」 「あ、ええっと、長瀬主任ですー」 「そうだ・・・・」 頷いた長瀬だが、しかし一寸思案して、否定する。 「やっぱり違う、やり直し」 「え?」 「私のことは、以後コーチと呼ぶように!」 「こーち・・・・・・」 「そう!コーチだっ!」 「はい!こーち!!」 来栖川電工特設グラウンド・・・AM10:00 来栖川電工の期待の星であるメイドロボたちは、グラウンドに集められ、整列していた。 様々なタイプのメイドロボが百体以上。 外見だけなら、マルチと大して違わない者から、どう見ても狸にしか見えない猫型まで、それこそ千差万別である。 「ふわ〜っ!すごい数ですー!!」 見るもの全てが初めてのマルチは、キョロキョロと辺りを見回すしかない。 自分の立ち位置を探してフラフラするマルチに、誰かが声をかける。 「あなた、新入りさん?」 「え?」 振り返ったマルチの正面に立っていたのは、黄色い狸のようなロボットだった。 「私はドミラ、よろしくね」 「あっ、マルチです!よろしくお願いしますー!!」 ぺこりと頭を下げるマルチ、ドミラはくすくすと笑う。 「?」 「私たちは同期なんだから、そんなにかしこまる必要はないわ」 「同期?」 「そう、私たちは同級生でありライバルなの」 「らいばる?どーしてですか?」 「あら、聞いてないの?ここにいる百体以上のメイドロボは、みんな量産化されて市場に出ることが夢なの」 「量産化かぁ〜、いいなあ〜」 「第一候補はセリオお姉さまだけれどね」 「セリオお姉さま?」 「そう、HMX−12セリオ、来栖川電工が総量区をあげて開発したパーファフェクトなメイドロボ!私たちの憧れよ!」 そう言って何かを指さすミドラ。 つられて見るマルチ。 「アレがセリオお姉さまよ!どう?とても同期とは思えないほど洗練されているでしょう!!」 長い赤毛とナイスバディを持つ美貌のメイドロボ・・・・・ 優雅な物腰とクールなポーカーフェイス、完璧なまでのメイドロボぶりに、ミドラはため息をつきっぱなしだ。 しかし、マルチは目をぱちくりさせて。 「で、何で薔薇を背負っているんですかー?」 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 「さあ」 次回予告!! 試験運用の座を賭けて戦う百体のメイドロボたち! 熾烈な生存競争の中で、マルチは生き残れるのだろうか!! 「丸一さん、やりもしないうちから諦めてはダメです」 「私丸一じゃなくて、マルチですー!!!」 鬼コーチ長瀬の、猛特訓に歯を食いしばるマルチ! 「そんなんでオリンピック行けるかあぁぁぁーーーーーっ!!」 「オリンピックには行きませーーーーーん!!」 そして友情!! 「おいマルチ、午後ティー買ってこいや」 そして謎の新キャラ!! 「ぴかー?」 そして挫折! 「ううっ、私には『アルミホイルを1時間噛み続ける』なんて出来ません!」 料理ダメ、洗濯ダメ、おまけに方向音痴の彼女に明日はあるのか!? 「アレを見ろマルチ!!」 「ああっ!セリオお姉さまが鉄下駄をっ!?」 「そうだマルチ!たとえ得手不得手があろうとも、努力と根性を忘れちゃいかんっ!」 「努力と根性・・・・・」 「そうだ!お前には『掃除』があるじゃないか!いいかマルチ、試験運用の座を狙え!」 「お掃除で・・・お掃除をして試験運用!!」 「試験運用の座を狙え!モップでねらえ!!!」 「はいコーチっ!」 次回! 「無惨!姑をいたぶる鬼嫁!!」 来週も!君のハートをげっちゅー!