モルダーのオフィス
ワシントンDC FBI本部
9月3日 AM9:32
「やあスカリー、朝早くにすまない」
「いいわよモルダー、貴方の呼び出しは時と場合を選ばないって事はもう承知しているから。それで今回はなに?あなたの部屋にあるオブジェから宇宙人飛来を証明する未解読の文字でも見つかったのかしら?」
「それだけ言えるって事は機嫌のいい証拠だね。残念ながら少しかすっただけだ」
「少し?どういうことモルダー」
「これを見てごらん、現地時間の8月23日、日本の小さな民家で食中毒を起こした日本人が病院に運ばれた。運ばれたのはカシワギ・コウイチ、証言によると彼は従姉妹のいる家に遊びに行った際、長女であるカシワギ・チヅルが作った料理を食べて中毒を起こしたらしい。ちなみにその料理は君の好きな中華料理で「カニタマ」と呼ばれる卵料理だそうだ」
「それじゃあただの事故じゃないの?どうしてわざわざ地球の反対を回って貴方の耳に入る事態になるのかしら?」
「日本では最近そうした料理に毒物を混入させる犯罪が多発しているからね。で、その事故の原因となった料理の成分分析を行なった書類がここにある。スカリー、まずは医者としての意見を聞きたいね」
「何これ・・・テトロトドキシンにシアン化合物、青酸カリやダイオキシンまで・・・いったいどうやったらこれだけのものを料理の中に入れられるのかしら・・・しかもいずれも致死量の5倍以上・・・これじゃ一口どころか舐めただけでも即死でしょうね」
「ところがスカリー、東洋の神秘なんてものじゃあないだろうが、彼はわずか一週間で回復して退院したんだ」
「嘘でしょうモルダー、医学的に見てこんなのを食べて生きていられる人間なんて存在するはず無いわ」
「普通の人間なら、ね。ところでスカリー、SFやミステリーというのはアメリカの専売特許だけど、日本にも調べてみるとなかなかどうして、とても興味深い民話や伝説が存在する」
「それは誰にとってかしら?モルダー」
「日本古来の伝承ではよく「鬼」という言葉が出てくる。西洋のオーガと同義語らしい。日本の鬼は「地獄の住人」であるのが定説だけど、鬼にまつわる伝承の中に一つ、「それらは空からやって来た」というものがあった。彼らは不老不死で、独自の集落を作り生活していたそうだ」
「ちょっと待ってモルダー、あなたがどこの国の昔話を自分なりに解釈しようと勝手だけど、今は中毒事件の話をしてるのよ。その話と彼といったいどんな関連があるというの」
「スカリー、地底の住人であれ宇宙からの訪問者であれ、地上で生活するからには何らかの目的があったはずだ。侵略のための調査とか、現地の生命体との交配とか」
「まさか、彼は宇宙人だったからあれだけの毒を摂取しても回復できたというわけ?」
「正確には「宇宙人の子孫」さ。実際、カシワギの一族には奇妙な噂話があるらしいからね。コウイチの父親は自殺したというが、それは自分が「鬼」になることを恐れてのものだったという。自殺の理由にしてはあまりにも飛躍し過ぎだと思わないかい?」
「で?もしかしてあなたはこの青年が宇宙人の子孫であるかを確かめるために中毒事件の調査を口実にして日本へ行こうとしてるのかしら?」
「察しがいいねスカリー、でも中毒事件の捜査は僕たちの管轄じゃない。だからX−ファイルの仕事でずうっと溜りっぱなしだった休暇を使って旅行へ行こうと思うんだ。なけなしの財産はこういう時に使うものだからね。本場のスシを是非食べてみたいとも思っていたし。そこでスカリー、君を呼んだもう一つの目的だ。君さえよければ旅の目的は違えど僕が行くジャパン・ツアーに相席することが出来る」
「呆れた。どうせ私が嫌がっても付き合わせるつもりでしょう」
「いつだったか日本へ行ってみたいと喋ったのは君じゃなかったかな?心配しなくてもツアーの満足度は僕が保証するよ。そこは温泉と呼ばれる天然のバスルームがあって、大きなのは20人近くの人が一度に入れるほどの広さを持ってるそうだ」
「ぞっとしないわね。見ず知らずの人と一緒のタブに入るなんて」
「とびきり熱いプールに入っていると思えばなんてことないさ。それに誰もいない時に入れば女王様の気分になれる」
「あなたこそ広いからってバタフライなんてしないで頂戴。いいわ、相席してあげる。その前に私も休暇申請しないと」
「X−ファイル課はFBIで一番自由度の高い部署だからね。スキナーには僕の方から話して君の返事次第ですぐにでも2人分の休暇と日本行きの航空チケットを取れるよう手配してあるから」
「もしわたしが本気で「嫌だ」と言ったらどうするつもりだったの?モルダー」
「聞きたいかい?スカリー」
「・・・よしておくわ」
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長いのでこっちに書きました。しかもこれだけやって肝心なことには何も答えてないというのがアレですな(笑)
まあ痕についてはまだプレイしてないし設定うろ覚えだしFBI勤務でもないしということで間違ってる部分についてはご容赦を。しかし今回はモルダー&スカリーだがもし日本に行ったのがフランク・ブラック(ミレニアム)だったら吐血しながらのたうち回る耕一のビジョンが鮮明に映し出されるんでしょうな(笑)
K.Mhttp://www.imasy.or.jp/~km/mono/mono.htm