「To−FILE」No.1 「リザレクション」−2−  投稿者: k.m
教室
HR前 8時17分

「あたしより先に教室に着いてるなんて、今年はやっぱり大地震が起こるのかしらねえ。」
軽い足取りで入ってきた長岡志保がすでに教室内にいる浩之の姿を見つけて最初に放った言葉がこれであった。活発さを前面に押し出しているその顔はさも嫌みったらしい笑みが浮かび、浩之の肩を音が出るくらい強く叩き、何かにつけて彼と張り合う彼女の性格のままに思った事を口に出す。浩之は浩之で、ほこりを払う手つきで自分の肩を叩きながら志保の顔を見もせずにあかりに旧友の佐藤雅史と話し込んでいた。
「ちょっとお、せっかく人が挨拶してるんだから返事くらいしたっていいんじゃないのお?」
浩之はいい加減その手のやり取りにうんざりしていた。腐れ縁というものがここまで厄介なものだったのかという事を彼は志保という存在によって十分なくらい認識している。口やかましくてそそっかしい、おまけに自称ジャーナリストなどという彼女が持ちかけてくる話題はどれも信憑性ゼロという代物だ。「オマエにかかれば1の事でも100になる」とはかつて浩之が志保に対して言ってやったセリフである。もっとも志保はそれを誉め言葉程度にしか受け止めず、だがしっかりと根に持っていて翌日には彼に関するデマの噂をクラスどころか学年全体にまで広める事で復讐を果たしている。
今回も本当は無視しておきたいところなのだが、なにしろ悪知恵が働く分余計始末に負えないのでとりあえずは適当に付き合っておかないと何をされるかわかったものではない。
浩之は「なぜこいつとあかりは友達同士なんだ?」と考えながら志保に目線だけ合わせてやった。
「見てわからないのかよ?今こっちは取り込み中なんだ。オマエの入る余地なんてないからとりあえずどっかに行ってくれ」
「なによその言い方、ヒロってばホント口悪いわね〜」
「誰かさんみたいに性格が悪いよりはずっとマシだ」
浩之は吐き捨てた。
「なあんですってえ!」
「まあまあ、二人とも朝からケンカはやめようよ」
ストリート・ファイターシリーズの試合前の如くにらみ合った二人をもう二人−あかりと雅史が異口同音になだめた。正直、この二人のうちどちらかがそばにいないと浩之と志保は延々と口喧嘩をする事になる。友達だからという事もあるが、本当のところはこっちが恥ずかしくなるくらい「仲がいい」のがわかっているから喧嘩なんて不毛だと思っているからであった。
「あ、そうそう」
そんなあかり達の気持ちをまず理解していないであろう志保が唐突に手を叩く。
「ねえねえみんな、ちょっとあたしのニュースを聞く気ない?」
「いやだ」
ニヤついた笑みを浮かべながら近寄ってくる志保の打診を浩之は即座に却下した。
「どうせ事実無根のガセ情報だろうが、聞くだけ時間の無駄だ」
睨みながら言う浩之の眼前に志保は人差し指を立て、口でチチチと言いながら2、3回振ってみせる。その仕草ははっきり言って浩之の気分を害するだけだったのだが、とりあえずは抑えておいた。
「あらあら、聞きもしないのにそうやって決め付けるのは良くない事よお。そりゃあ今までにちょっとはウソあったかもしれないけど、今回ばかりは正真正銘、あたしがこの目で見た情報だもの」
はたして今の言葉にどれだけ間違いがあるかと問われたならば、浩之はその全てに答えてなおかつ100点満点をとるだけの自信があった。しかし今回は、その今までのニュースとは若干違う…彼女の妙なまでの自信が気になっていた。こういう時、志保がもたらす情報は万分の一の確率でガセではない本当の事であることがある。
ふと見ればあかりに雅史もいつの間にやら志保のほうに顔を向け、彼女がもっているであろう情報がなんなのかを聞かんと期待の眼差しを向けている。時折こっちのほうに目を配るのは、浩之が本当に聞きたくないのかどうかを確かめようとしているのだろう。
「そんなに聞きたいのか?雅史まで」
浩之は二人に尋ねた。
「えっと…ほら、せっかく志保が何か話してくれるんだし、断っちゃうよりはいいんじゃないかな?聞くだけ損って事はないと思うし」
あかりがなぜかおどおどそながらそう答える。加えて雅史も
「聞いてみてもいいと思うよ。でもどうやら志保ちゃんは浩之に教えたがっているようだしね。浩之がうんて答えないと意味無いと思うけど」
「ちょ、ちょっとお」
そこで志保が雅史の言葉を遮った。
「雅史ちゃんたら、そんな言い方したらなんか誤解されちゃうじゃないのよ。そんなんじゃあなくって、3人に聞いてほしいの」
「でも志保ちゃん、名前出したのは浩之だけだったよ」
「だ、だ、だ、だからそういうんじゃなくって…ああもう!ヒロが素直に聞こうとしないから変な事になってるじゃない!」
志保がここで怒り出して浩之に詰め寄ってくる。勝手に自滅しておいて逆ギレするなんて、浩之にとってはとばっちりもいいとこだった。しかしなぜかちょっといやな気分になったのは志保に対してでなく雅史の言葉に対してである。だがさすがにこっちまで雅史に起こるわけにはいかない。今の会話の流れを変えるにはどうやら自分から折れる形にするしかないようだと、浩之は観念する事にした。
「わかった、わかったよ。とりあえずその正真正銘ってやつが本当かどうか確かめてやるから手短に話せ。いいか、くれぐれも手短にだぞ」
「最初っからそう答えればいいのよ」
なおも憮然とした表情で志保は言った。そして、気を取りなおして本題へと入る。
「このクラスに愛川さんているでしょう?」
出し抜けに出された名前に、志保を除いた三人は一時名前と顔を一致させるのに時間がかかった。真っ先に合致させたのは雅史である。
「このクラスのってことは、愛川一紀さん?」
その答えに志保は満面の笑みを浮かべ、正解のご褒美として雅史の頭を撫でた。
「そ、その一紀ちゃんに関するすっごい情報というわけよ。びっくりしちゃったなあ。まさかあの子があんなことするなんてねえ」
「いいから続きを話せよな、さっさと」
早くも脱線しかける志保を浩之が注意した。
「うるさいわね、急かさなくてもちゃんと話すわよ。実はね。昨日あたしちょっとした用があったから学校に遅くまで残っていたのよ。そうねえ、夜9時くらいまでかな」
「志保ったら、そんなに遅くまで残っていたの?」
あかりが目を丸くした。
「大丈夫よ。ちゃんと親には連絡しておいたし、遊んでいたわけでもないしね。まあ言うなれば必要な居残りだったわけ」
志保は遠い目をしながらまるで自分のした事が英雄的行為だったように話す。あかりや雅史はどうだか知らないが、浩之は無論、その部分は片耳だけ聞くようにしていた。
「で?」浩之は片手間にシャープペンシルの芯を出し入れしながら言った。
「その必要な居残りの最中に偶然彼女の秘密を見つけてしまった、とか言うのか?」
ほお、と志保が腕を組みながら浩之を見やる。
「なかなかするどいわね。先に言われちゃったのが気に入らないけど、つまりそういうこと。てっきりこのクラスで残っているのはあたしだけかと思ったんだけど、ちょっとトイレに行ってて…って下品ねえ、まあそれはいいとして、教室に戻ろうとしたら」
そこで志保が急に小声になり、片手で三人にもっと近くによるよう手招きをする。招かれるままに浩之達は一つの机に頭を寄せ合った。
「そうしたらね、愛川さんが教室から出ていくところが見えたの。声かけようかな?と思って近づこうとしたら、ちょっと様子が変だったからなにかなあと思って目を凝らしてみたのよ。すると隣に誰かいるのが見えたの。暗がりで最初わからなかったけど、どうやらここの男子生徒だったみたいなのよねえ」
ここまで一気に話したところで志保は一息ついた。そして浩之ほか二人は…あかりと雅史はきょとんとした目で志保を見つめ、浩之は誰が見てもわかるように疑惑の眼差しを志保へと送る。
「だからどうしたんだよ?夜遅くにその愛川さんと男子生徒が一緒にいて、それのどの辺がニュースになるんだ?」
「人の話は最後まで聞きなさい」
志保が言った。
「あたしも帰るころだったし、彼女達もとりあえず昇降口へと向かっていたからとりあえずそのまま二人のあとをついていく形になったわけ。でもあの二人外履きを履いてまっすぐ門に向かうかと思ってたらぜんぜん違う方向に足を進めていったわけ」
「志保、ひょっとしてあとをつけたの?」
あかりがちょっと困惑した顔で言った。それを見た志保はばつが悪そうに頭を掻いた。
「まあ、そういうことだわね。今になってなんだけど、そのときはやっぱりいけないかなあ?と思っていたのよ。それだけは信じてね、あかり。で、それで二人はどこへ行ったかというと…なんと、体育用具室に入っていったのよ」
いつのまにか浩之も手にしたシャープペンを握り締め、志保の話に聞き入っている。正直他人の話を影ですることは嫌いな性分だが、もともと話術に長けた志保だけのことはある。自然に続きを聞きたくなっていたのだが…
「……それで終わりか?」
いつまでたっても話されない続きに、浩之が業を煮やした感じで言った。
「ええ、そこで終わり」
なんともそっけない志保の返事がそれまでに起こっていた緊張を一気に崩壊させてしまう。浩之は途端に、志保に対して怒り出した。
「冗談じゃねえぞ!せっかく人が聞く耳もってやったというのになんのオチもないのかよ!?なんだよそりゃあ!どの辺がニュースだってんだ!」
「何よ!じゃあヒロはあたしにそのまま覗きや聞き耳立てて何が起こっているのか調べろって言うの!?いくらなんでもそんなことできるわけないでしょ!言っとくけどあたしがニュースだと言ってるのは彼女が−」
返す刀で志保が怒鳴り出す。ものすごい喧騒となった二人をどうやって止めたらいいのかと、あかりと雅史は浩之と志保を交互に見ながらおろおろしていた。そうしている間にも喧嘩はますますエスカレートの度合いを増していく。雅史がさらにうろたえ、あかりが困惑の果てに涙目となったとき
救いの女神が手を差し伸べた。ホームルーム開始のチャイムが学校中に鳴り響いたのだ。
スピーカーから響く独特の電子音にさすがの浩之と志保も条件反射で動きを止める。雅史はそれを絶好のチャンスとばかりに二人の間に割って入っていった。
「ほら二人とも、もう時間が来ちゃったよ。これ以上ケンカして先生に見つかるといけないからとりあえず今はやめようよ、ね。続きはまたの機会に、ってことで」
教室中が蜂の巣を突っついたように騒がしくなっている。生徒たちがそれぞれの席に戻って先生が来るのを待たなければいけない。その為の喧騒であった。当然あかりに雅史、そして浩之と志保も例外なく自分の席に戻らなくてはならない。出席が遅れ、さらにその理由が喧嘩のせいだったなど、どう考えても教師が許すはずはなかった。
「仕方ねえなあ…おい志保!もうこれからはおまえの話なんか絶対に聞いてやらないからな!覚えとけ!」
「上等じゃないの!もしあとであたしのこと頼りにすることになって後悔しても知らないからね!」
浩之は精一杯の声で
「誰がするか!!」
と叫んでやった。それに対しての志保の返事は、女性がするにはあまりにもはしたない中指突き出しのポーズであった。

「愛川、愛川一紀は欠席か?」
5分前に何があったか知らない担任の教師がやってきたところでホームルームが開始される。頭髪から顔つき、さらに至る所にくたびれた様子のある服を精一杯整えながら出席を採るそのさまは生徒たちの含み笑いを催す効果をもたらし、競馬をやっているのだろうか、何かあるとすぐ100円のボールペンを耳に挟みながら出席簿のチェックを行っていた。長い時間をかけて男子の出席をとり終え、女子の出席確認に入ろうとした時、一人目からいきなり返事がやってこないことに気づいて教師は大きな声で生徒全員に聞いてみた。
少しだけ教室内がざわめいた。
愛川の席は廊下の窓際後ろから3番目にあり、確かにそこは木とスチールでできた形状の違うパーツがきちんとはめ込まれている。脇の部分に学生用の黒い皮製カバンが置かれてないことからも彼女は登校すらしてないことは明白であった。
「誰か休みの連絡をもらってないか?それとも無断欠席か?」
浩之とあかりもそれぞれ違う場所から相川のいない席を見つめていた。彼女とは若干面識があると言う程度で親しい仲ではない、しかし特段嫌われ者ではなくむしろこのクラスのクラス委員長、保科智子をポジティブにしたような生徒だったのでクラスでは人気者だった。そして二人の記憶に間違いがなければ愛川は入学時からの皆勤生徒のはずである。それだけに彼女がいるべき席にいないということはある種の事件であるし、まして無断欠席などということは考えられない。
「仕方ないな…ほら出席を続けるから静かにしろ」
やにわに大きくなってきた生徒間のざわめきを担任は一声かけていさめた。そうして愛川以外の生徒全員の名前を読み上げると、手短に一日の抱負と連絡事項を済ませ
「とりあえず、愛川が登校してきたら職員室に連絡するように」
と、ホームルーム終了のチャイムまで3分以上残しながら教室を後にしていった。
浩之は素早くあかりの席へと走っていく。あかりも何か不安そうな顔つきで浩之を迎えた。
「どうしたんだろうね、愛川さん…」
ショートカットに結んだリボンを小さく揺らしながらあかりが言った。。
「ってもなあ、誰か連絡を聞いたわけでもないし、今もこうして来てないんだし。あの皆勤賞生徒が何も言わずに、ってことはよっぽどの理由があるんじゃないか?」
浩之は言いながらその理由とやらを自分なりに想像してみる。しかし、どうもうまい理由には結びつかなかった。
「例えば、どんな?」
それをあかりに悟られるのもなんとなく居心地が悪いので、浩之はとりあえずあかりを納得させるだけの理由というのを考えることにした。
「例えば、か…道に迷った…」
「えっ?」
「いや、今のはなしだ」
あまりに間の抜けた答えだったので浩之は険しい顔でそれを無効にした。
「………むー…」
とは言うものの、浩之にはどうしてもいい答えを見つけることはできなかった。こういう場合は何かしら不幸な出来事に結びつけるのが一番手っ取り早いのだが、いない生徒の悪口を言ってるのも同じなので口に出すのは避けていたいし、第一あかりの不安を増すだけなのでなんの意味もない。それでも浩之にはある事柄が引っかかっていたのではあるが。
「やっぱり、わからないな」
と、現時点ではそう言うよりほかになかった。
「そもそも欠席と決め付けるのもおかしいからな。ひょっとしたら道行く人を助けたとかなにかでここへ来るのが遅れているだけなのかもしれないぞ。いつのまにか、って可能性もあるし」
あかりは納得したような、しないような微妙な表情になる。浩之はそれを前者だと決め付けて話をすすめることにした。
「とにかく、もう少しだけ待ってみようぜ。サボりグセのある不良生徒ってわけじゃあないんだから」

しかし、愛川一紀は昼を過ぎてからも教室に姿をあらわすことはなかった。

商店街通り入り口 バイパス付近
午後4時26分

道行く人が自分を見るなり驚きに目を丸くして、まるで大名行列のように通り過ぎていくのを見届けていくのかがどうしてもわからなかった。そんなに今の自分は怪しい服装をしているのだろうか?誰もが見ただけで悲鳴を上げそうな醜悪な顔をしているのだろうか?あたりを見まわしても等身大の鏡や代わりになる適当な大きさの窓ガラスが見つからないのでそれを確認することができなかった。
気のせいか頭が痛い。自分の真横を高速で通っていく大小様々な車の排気ガスにでも当てられたかのようである。気管支を患っているわけではないが、大通りの汚れた空気というのは気分的に喘息を起こしやすくなっている、そんな気がした。
ふと考えてみた。何しろなぜ頭が痛いのか、今どこをどうやって通ってきたのか、それまで何をしていたかというのがつい1時間前の段階まですっぽりと頭から消去されてしまっているのだ。自分が誰なのかということもおぼろげにしか思い出せない。一番鮮明に覚えている自分の名前ですらも他人のものではないかという錯覚すら生まれてきている。
特殊車両である超大型のタンクローリーがガードレール1枚隔てられただけの歩道脇を勢い良くすれ違っていく。その際に起こった風圧と通過音はさながら衝撃波のように自分の体を直撃した。勢いに負け、ふらふらとよろけてしまいなんとか体制を立て直そうとした時点で、自分が片膝と、そしてなぜか喉元に怪我を負っていることに気づいた。
反射的に手が…膝ではなく喉元へと当てられる。触った途端鈍い痛みが走り、苦痛に顔をしかめてしまった。それでもよくよく触ってみて、その痛みが外傷ではなく内出血によるものだという事は確認できた。
だが、いったいなんでこんなところに痣を作ってしまったのか、皆目見当もつかなかった。
膝の負傷は思ったよりも軽いようである。足元がふらつくのは痛みによるものではなく、なにかの理由によって足の筋肉が極度に疲労しているか、あるいは栄養の失調によるものかもしれなかった。後者の理由は考えにくいが、何しろ昨日のことすら思い出せないので断定はできないのである。
それにしても…自分を取り巻く奇異の目を何とかしたかった。いったい皆は自分の何をそこまで異様な目で見ているのか、それをどうしても知りたかった。
不意に誰かに呼び止められる。自分の真後ろからだ。振り返ればそこには街中を歩けば必ず見かけるクリーン・ブルーを基調にした警官服の男だった。何やら険しい顔で自分を睨みつけ、今にも襲い掛かってきそうな気配で自分の様子をうかがっている。そんな気がしていた。
ふと、振り返ろうとした時に何か見覚えのあるものを見つけた。確かに覚えのあるものだ。あれは自分が通っている高等学校の制服ではないか。それを見たとき、自分がようやくにして着ている衣装が女生徒のものであり、さらにそれが何十年も使い古された代物のように擦り切れ、土色に汚されていることに気がついた。そしてそれが、どうしてつけられたかということも…喉につけられた痛みの記憶と合わせて…
甲高い悲鳴。
彼女は反射的に走り出した。救いを求めるため、反対斜線の向こう側にいる一組の生徒の元へ−あまりにも無謀な飛び出しであるのも構わずに−
あらゆる車が一斉にパニックに陥った。軽重にわたるクラクションが半径100mの空間に響き渡り、限界にまで押しこまれたブレーキがタイヤとアスファルトの間に強い摩擦音を起こしてその中に混ざりこんだ。急制動によってバランスを崩した車が横向きにスピンしてしまい、それをきっかけとして次々と後続の車が追突していった。
信じられないことに彼女はその大パニックの中を奇跡的にすり抜けていた…が、見覚えのある制服、見覚えのある生徒の名前を叫ぼうとした時、ついに彼女は勢い良く突っ込んできた軽自動車に真っ向から激突されてしまった。
体が宙を舞い、刹那、全身がコンクリートに叩きつけられた。耐久力をはるかに上回る衝撃が肉をえぐり、骨を砕き、血を吹き出させ、内臓を破裂させた。
あらゆる感覚を彼女の意識を奪っていた。が、最後の感覚…視覚だけが最後に自分の元へと駆け寄ってきた二人のクラスメートの姿を彼女に写していた。
全てが静寂に戻った時、愛川一紀の意識もまた、浩之とあかりの目の前で静寂へと戻っていった。

−To be continued−

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なんとか2回目を書いたはいいが、早くもいやな予感が的中。ヤバイ事になってます。
こんにちは、K.Mです。
最初の1回目を書いたときにわかっていました。それは自分が
「小説を書けなくなっている」
ということです。自分のHPにいつまでたっても作品を載せられない理由がこれであることに気づいた時はものすごいショックでした。情けなくて涙が出てきました。本気で逃げようかとも考えてました。
でもそんな駄文に対してもレスをくれた方がいらっしゃったので、最後の望みというか、失った勘を取り戻すためにはもうなりふり構わずいくしかないと決意してこうして2回目を載せた次第です。正直まだまだ、というかぜんぜんダメですね。自分自身が描いた文章になっていないのがとても歯がゆいです。でも今の実力でリテイクかけたってさらに酷くなるということはわかっていたので勇気を出してそのまま載せることにしました。こんな文章ですが、次回もなんとかがんばって書きたいと思っています。

レスをくださった皆様、ありがとうございます。とりあえずまとめてレスを返します。

結城光さま…
いっちゃってるというか、ああいうタイプの作品しか書けないんですよわたしは。基本的に完全なパロディ小説は苦手でして。シリアスというのか、そういうのを好む傾向がありますね。読むにしろ書くにしろ。

ハイドランドさま…
そんなに強烈ですかね?自分の中ではそれほどとは思ってないんですが。
んー、まあゲームが18禁なんだし、X−FILEのほうも結構アダルトなんだしで気にはなっていません。18禁でないのに無理やり18禁にしてしまうなんてとりあえず同人の世界ではよくあることじゃあないですか^^;わたしはポリシーとしてそんなことは絶対にやりたくありませんが。

ARMさま…
フジターに妹がいたなんて設定作ったらいずれアカリーをガンにしなくちゃいけないじゃないですか(笑)そこまでこの話が続くかどうかも決めていないというのに…まあもし続いたとしての大きな展開は一応作ってはあるんですが、どうかな?と。
それとやっぱり自動改行はいいですね。ホント、レイアウト気にせずガリガリ書けるというのはありがたいです。

無駄口の人さま…
とりあえず浩之とあかりは能力的にはただの高校生、という扱いにしています。モルダーといい浩之といい余計な好奇心が旺盛なのとそれゆえの巻き込まれ型という部分は共通してますからね。そういう意味では無理に設定変えなくてもいいので動かしやすくはあります。やはりネックはあかりでして…スカリーとは全く違いますからね。どうしたら彼女も活躍できるだろうか?その辺は十分注意して書きたいとは思っていますが…

今後の展開はちょっと未定です。あと何回で終わらせるかも決めていないし…めどとしては5回くらい?気力が続けばの話ですがね。まあなんとかがんばりたいと思います。

K.M

http://www.imasy.or.jp/~km/mono/mono.htm