「To−FILE」No.1 「リザレクション」−1− 投稿者: k.m
−THE “To Heart” IS OUT THERE−
(「To Heart」はそこにある)

体育用具室
3月19日 午後21時39分

今まで何人もの男とSEXしてきたが、ここまで狂わされたのは始めてだった。
高等学校の体育用具室に体操用マットを敷いただけという簡易かつ乱雑極まりないプレイルームはどの部活も終了して教師すら下校してしまったほどの時間帯ということもあり、誰も来ないだろうという安心感と若干の「誰かに見られるかもしれない」という緊張感がぎりぎりの線で天秤を揺らし、彼女の中にある感覚を最大級といえるくらいにまで引き上げている。それにしても、2年生愛川一紀にとって彼とのセックスがこれほどまでに気持ちのいいものなのかと思ったのは衝撃であった。
17になったばかりの彼女は14のときに処女を捨て、その時からすでにエクスタシーの味を知った。それから間もなくして初体験の男と別れてからはフリーの立場を通しながらその時の気分で場所を選ばず適当にナンパされた男とセックスをしていた。ある中年の男が行為の後で金を払ったことにより「自分の体は金になる」と思ってからは積極的に援助交際をするようにもなった。
しかし高校生活に入ってから学校側の取締りが厳しくなったこともあり援助交際の方面にはあまり顔を出さなくなる。その代わりに彼女は「初もの食い」と称して学年やクラスを問わず童貞である男子生徒を誘惑してはこのような場所で一方的に襲うことで自分の嗜虐心を満足させていた。そして、今回もそのつもりであった。
しかし、今回は違った。証言が正しければ彼も性の経験はないはずだった。
なのに彼女は終始リードを取る事ができなかった。指や舌を使った愛撫から本番行為に至るまで彼は完璧に一紀の性感を刺激し、何度となくエクスタシーの奔流へと導いていた。
「なんなの?あなた…ああ…!」
そんな言葉を何回繰り返したのだろうか。彼は明らかにウソをついていた。そんな怒りすら押し流されるほど一紀は四肢を硬直させ、全身を痙攣させていた…

「…もう……ダメ…許して……お願い………」
全身に飛び散るほど大量の精液が一紀の全身を汚していた。滝のような汗が出て、胸どころか肩全体を使って息をしている。頭の中心に強い余韻が残っていて喋ることすらままならなかった。
「いいや、ダメだ…あと一回残っている」
男がそう言うや否や、驚き目を剥く一紀の拒否を無視して正常位の姿勢で一方的に挿入した。
またも強い快感が彼女を襲った。しかし、一紀にとってもうこれ以上の刺激は苦痛にしかならなくなる。実際、刺激は痛みに変わっているのだ。
「イヤ!」
身をよじり、男の体を押しのけようと力をこめて一紀は抵抗した。何度も顔を張り相手の意欲を喪失させようとする。すると突然、男は一紀の首に両手をかけた。
「!」
一瞬、一紀は何をされたのかわからなかったが、首にかかった手が即座に万力のような力を出し始めたため、今度こそ本気で全身をばたつかせ、今起こっていることからなんとしても逃れようと必死中の必死で抵抗を始める。
叫び声をあげたかった。しかし男の太い親指で喉を圧迫されていたために声どころか息を吸う事もできなかった。そしてさらに頚動脈を圧迫されているために彼女の顔がみるみるうちに赤くなり、やがて青くなった後で紙のように白くなっていく…視界が上映終了後の映画のようにフェード・アウトしていくのが一紀にはわかった。
(願わくば、これがすべて悪い夢でありますように…)
叶わぬ願いを無意識に何かに托し、一紀は完全に沈黙した…


藤田浩之宅玄関手前
3月20日 午前6時48分

高校生神岸あかりにとってクラスメートかつ幼馴染みでもある藤田浩之を起こしにいくのは彼女の日課であり、義務であり、習慣でもあった。別に浩之は低血圧だとかサボりグセがあるとかいうわけではない。年相応というべきか、深夜のテレビを見たりなんとなく夜更かししてみたりとかから来る慢性の睡眠不足のために、こうして彼女が玄関のチャイムを押さなければたちまちのうちに遅刻の常習犯となってしまうからである。
どこにでもあるような一軒家の何気ないドアがあかりの前にある。右にあるチャイムを鳴らせば数十秒後にはあわただしい足音と共にノブが捻られ、着替えと洗顔と朝食をいっぺんに済ませようとしている浩之の顔を拝めるはずである。
その直前にあかりは半ば自然に、浩之がすでに目を覚ましていて、着替えも洗顔も朝食も終わらせていてパリッとした学生服姿で、ドアを開けたと同時に自分の手を掴んで学校まで引っ張っていかないかな?と思っていた。しかしながら現在のところそのような事は全く無かったのであかり自身もそれが淡い期待だということを自覚しながら、けれどもそんな浩之に心の中で微笑みつつ、彼にとって目覚し時計のベルであるチャイムのボタンを一回だけ押した。
意外なことに、それから十秒も待たずして浩之がドアを開けてきた。パジャマ姿ではあるが、少なくとも寝ぼけ眼ではないようだ。
「おう、あかり。いつもすまないな…って、なんだよその顔は」
浩之は目の前で若干呆けた顔をしているあかりに怪訝な表情を見せる。
「えっ?あ…ううん、なんでもない」
あかりの慌てる素振りに浩之がさらに疑惑の目を向ける。
「おまえ、俺が早起きしてるなんて思ってもいなかっただろ?」
「えっと…あの、ご、ごめんなさい」
あかりはたまらずうつむいてしまった。それを見て浩之が両手に腰を当てた。
「謝ることはないだろ?まあ…確かに自分でも驚いているからな…」
「浩之ちゃん、今日は早起きできたんだ」
「そういうことだ。ってもいつもよりちょっと早く起きただけだ。昨日はめずらしくテレビもマンガもなしですぐに寝たからな」
浩之はありていに事情を説明する。それを聞いてあかりがちょっとだけ顔を上げたのを確認すると
「って、まだ7時前じゃねえか。あかりこそ今日はずいぶん早いぞ」
と、廊下に付けられている大きな壁掛け時計の針を見て叫んだ。えっ、と言いながらあかりが浩之と同じ方向に視線を向けると、確かに時計の針は7時を刺しきっていないのに気づく。
「あ、あれ?どうしたんだろ…?」
どうやら当人はいつもの時間のつもりで来たらしい。おそらく時計の針を見間違えていたか何かだろうな、と浩之は思った。そのあかりは困惑と恥ずかしさの入り混じったなんともいえない表情になって顔を赤らめてしまっている。ああ、しょうがねえなあと思いながらも浩之は言った。
「あかり、家に入れ」
「えっ?」
「まだメシ食ってるんだ。その間ずっと玄関でつっ立ってるつもりか?足が棒になっちまうから入って休め」
「あ、う、うん。それじゃ、おじゃまします」
強引にあかりは家へと入れられる。その際、浩之はあかりの手を掴んで無理やりに中へと引っ張り込んでいた。あかりはそのことに気づくと口元でポソリと呟いた。
「ま、いいかな…」
「何か言ったか?」
「ううん、なんでもない」

浩之の家は両親が年に数回しか戻らないためその時以外の家事はすべて浩之が行っている。べつだん上流家庭というわけではないので家の造りも設備も朝食もいたって庶民のそれであった。浩之はあかりの見てる前で自分用の朝食−6枚切りの食パンにマーガリンを薄く塗り、トースターで軽く焼いた後薄塩味のスクランブル・エッグを乗せた物−を黙々と食べている。時折、大き目のマグカップに並々と注がれたインスタントコーヒー牛乳入りを口にしてパンを流し込み、そしてまたパンにかぶりつく…あかりはそんな浩之の顔をただじっと見つめては、ときおり笑ってみせていた。
「なんだよ、人の顔見てニヤニヤして」
「浩之ちゃんて、すごくおいしそうに食べるんだなあ、って」
「自分の作った料理だからな。まずかったらシャレになんないだろ」
「ふふふ」
見られているのが恥ずかしいのか、ぶっきらぼうに答える浩之の仕草を見てあかりはさらに微笑む。浩之はあかりが微笑む意味がわからずちょっと気味悪がりながらもようやく自分の朝食をとり終えた。
「あ、待って、いいよ食器は洗うから」
さて、と片付けのために食器を流しに運ぼうとした浩之をあかりは止めた。
「おい、そんなことしなくてもいいって」
「いいの、浩之ちゃんは着替えてて。すぐ終わるからね」
「おまえ、どうでもいいけどなんで笑ってるんだよ?」
質問には答えず、あかりは浩之を台所から追い出した。少しして水の流れる音とあかりの得意なレパートリーらしき鼻歌が流れてくるのを浩之は呆然と聞いていた。
「変なやつ…」
しかし、あかりの言う通りそろそろ着替えておかないとまずいかな?と思い、とりあえず着替えのため浩之は自分の部屋へと戻り、大きな桜タンスの引き戸を開けた。タンスに入っている学生服は定期的にクリーニングに出しているので余計なしわや汚れはなく常に清潔である。浩之は慣れた手つきで素早く着替えを済ませると教材の入ったカバンを無造作に抱え、一足先に玄関へと向かっていった。
「あかりー、早くしろー、おいてくぞー」
「あ、待って浩之ちゃん」
遠くからあかりの慌て声が聞こえてきた。

-To be continued−

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大失敗。
なんか馬脚をあらわしたという感じです。面白くないよこれ、書かなきゃ良かった。
どうもはじめまして、K.Mと申します。
ここがようやく自動改行になってくれたのでわたしみたいな改行しない人間でも安心して書けるようになったと思ったはいいんですが…やはりネタに無理がありますねえ(苦笑)まあ、もともと冗談企画のノリ小説だからいいんですけど。
しっかしどうやって「To Heart」と「X−FILE」が融合するんだってえの(^_^;)ああ、ホントまずい、この先の展開すっごくいやな予感がする…
まあ書いちゃったものは仕方ないか。何とかして終わらせて早々に引き上げるようにしましょう。とりあえず、フジターとアカリーの活躍に期待、ということで(^_^;)

K.M

http://www.imasy.or.jp/~imasykm/mono/mono.htm