高らかに 投稿者:Kouji 投稿日:8月5日(月)03時58分
 それはお風呂をいただく為に階段を下りようとした時でした。

 廊下の角から小さな話し声が聞こえてきました。



「耕一さん、今夜も私の部屋で……」

「あ、ああ……わかってるよ」

「じゃあ、待ってますから……」

 あ、あの大人しい楓が……

 なんて大胆な……

 でも、あんなことが有った二人ですから……



 その夜、私は悪いと思いつつとなりの部屋に聞き耳をたててしまいました。

 パァン……

 最初に聞こえてきたのはそんな音でした。



「あっ……違う」

 パシィン!

「こ、こう?」

「そうじゃなく……今のは痛いだけです。もっとソフトに」

「じゃ、じゃあ……」

 ペチッ……

「んっ……今度はもう少し強く……」

 ペシッ

「そうじゃなくて……」

 スパァン!

「これくらいです」

「……楓ちゃん……上手いものだね」

「耕一さんももう少し慣れてください……」




 もう我慢できません。

 翌朝、梓と初音が家を出た後、居間で二人を問い詰めました。

「あ、あなたたち! さ、昨夜いったい何をしてたんですか!」

 耕一さんはきょとんとした顔で、

「ツッコンでただけだよ」



 少しの間があって、楓が、

「……耕一さん……今のはボケです」

 とだけ呟きました。