閑話『遥かな雪に』 投稿者: Kouji

「雪って白いね」
「えっ? 私?」
「……ううん。雪」
 天を仰ぐ
 降りそそぐ雪は、確かに純白だった

「あっ、うん白いね……」
「でも……灰色だよ」
「……そうだね……」
 天を仰ぐ
 角張った空は、純白には染まらない

「何が悪いんだろうね……」
「……何が悪いのかな……」
「でも……」
「……でも?」
 小さく笑う
 雪降る空に、いっそ晴れやかな笑顔で

「きっと、これでいいんだよね……」
「……そうだね」

「もう春か……」
「……わたし?」
「ううん。春」
 小さく笑う
 顔を見合わせて、雪降る春の空で


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