「夢の〜」シリーズ後書き 投稿者:OLH
で、「夢の〜」シリーズ、後書きです。
ちょっと長くなりますが、もう少しお付き合い下さい。



まず、マルチに関して言いたいこと。

ゲーム中、浩之にインサイドしてる間は特に問題ないんですね。
マルチをロボットとして理解しながらも普通の人間として扱える。
だからマルチのエンディングでも素直に感動できたし、あかりも加えて3人で仲良
く暮らしました、めでたし、めでたし、ってな後日談もすなおに受け入れられる。

ところが、「現実の自分」を浩之に投影した場合、2つ問題が出てきました。

・マルチを人間として扱えない
・一度に二人の人間を愛せない

1番目の方はまだ解決策があります。「自分」が(一部)壊れればいいんです。そ
うすればマルチを愛する事ができる。そこらへんが「夢の中で」の浩之になってる
わけです。
しかし、2番目の方は解決不能です。だったらせめてあかりを愛するようになれば
いいんですが、「壊れた」浩之ではそれは不可能です。
そういったことから「夢の中で」ができました。

でもやっぱり、マルチとあかりには幸せになって欲しい。そのためには?
安易な考えですが、この世でだめなら、あの世で。もしくは、新しい世界で。

それがこの「夢の始まり」までの話になったわけです。

というわけでこれが、自分を浩之に投影した場合の、私がマルチとあかりに与える
ことができる最高の、でもやっぱり最悪のハッピーエンドです。
(雅史にはとばっちりが行っちゃいましたが。ごめんよ、雅史)



それから、この話の元について。

「夢の中で」の後書きでも書きましたが、この話は長瀬主任の「人間性を持ったロ
ボットはあなたの様な被害者を出す」という言葉が元になっています。ここら辺も
う少し詳しい事を書くと、いわばアナザーエンドといった感じの話がありまして、
それが元になっているんです。それがどういった話かというと、

・マルチが浩之に恩返しに来る
 この時、ふきふきで感じてしまったマルチをからかう浩之に「その様に作られて
 いるからしかたない」といった返事をするシーンがあります。これがマルチ/雅
 史の時の話のネタにもなっています。

・長瀬主任が会いに来る
 長瀬主任は自分がマルチの開発者である事を浩之に話し、「いろいろなデータ」
 が取れた事を(表面上)感謝します。そしてマルチタイプの開発を中止する事を
 浩之に伝えます。この時に上の言葉が出てくるわけですね。それからこの時、マ
 ルチが浩之のところを訪ねたのは長瀬主任の差し金である(その様にプログラム
 をいじった)という言葉もあります。これも「夢の〜」の浩之のトラウマになっ
 ています。

・DVDが届く
 時は過ぎ社会人となった浩之の元にDVDと手紙が届きます。その中には「夢の
 中なら」の冒頭に書いたような事が書かれてるわけです。そして、そのDVDで
 マルチを起動し、ハッピーエンド。その時のマルチの台詞、「浩之さん、なんか
 ごつごつしちゃいましたね」というのが、妙に頭に残ってます。できればこの台
 詞、使ってみたかったんですが、無理でした。

というものです。
この設定がゲームで使われていたらどうなっていたか、というのが今回のシリーズ
を書く原動力になっています。



ダークな話について。

正直今回のこのシリーズ、自分が悲劇に浸りたかった面があることは否定しません。
また、同様に他人にも悲劇に浸ってもらって、ダークな気分を味わってもらおうと
した事も否定しません。もちろん、そういった事が嫌いな人がいるのは承知してい
たつもりでした。
ただ、その他にも上の元の話の長瀬主任の言葉と、その終わり方をもう少し自分な
りにつめてみたかった事、および自分がマルチのシナリオに関して思っている事の
意見表明としてこのシリーズを書いてきました。そのため自分を浩之に投影し、必
然的に悲劇を起こし、さらに連鎖させてしまったわけです。結果、見ようによって
は4人もの人間をむやみに殺す事になり、最終的な終わり方にしても、希望はある
もののやたら物悲しい終わり方になってしまいました。

で、まあ。こんな話は認めないと言う方がいらしてもしょうがないと思います。
ただ、私なりに想いを込めた話ですので、これを自分から否定する事はしません。
また、今後ダークな話を書かないなどということもしません。
とはいえ、さすがにこの後しばらくは自分に浩之を投影した話なら書けても、自分
を浩之に投影した話は書けないでしょう。辛いし、痛いし、何よりネタが無い。
(ネタができれば書くということでもあるか?)



さて、これで本当にこのシリーズは終わりです。
さすがにこの話の先は妄想できてません。
が、万が一何か思い付いたら、性懲りも無く続けるでしょう。
それが悲劇か喜劇かにかかわらず。
では、こんなとこで。