「嫉妬」 投稿者:OLH
以下の話は To Heart のネタばれを含む可能性が有ります。
琴音ちゃんの話のはずです。



=== 嫉妬 ===

 藤田さん……
 最近私に冷たいのは気のせいでしょうか?
 学校からの帰りも滅多に一緒になれないし。
 他の女の人と一緒にいるのも何回か見かけました。
 やっぱり私みたいに普通じゃない人間とはお付き合いできないんでしょうか。
 藤田さん……
 私はいったいどうしたら……

「ちょっとぉ、あんたいったい何たそがれてるわけぇ」
「あ、長岡先輩」
「って、理由はわかってるんだけどね。ヒロの事でしょ」
「ヒロって藤田さんの事ですよね。あ、あの、どうしてそれを……」
「ふっふっふ。この志保ちゃんに知らない事はないってのよ。でさ、いい情報があ
るんだけど買わない?」
「あの、情報と言いますと……」
「ずばり、ヒロの女性関係!」
「えっ!?」
「っていっても、誰がヒロを狙ってるかとか、簡単なプロフィールとかだけど」
「え、あの、その……」


 ……買ってしまいました……


 ま、まあ、買ってしまった自分に落ち込むよりも、これを元に前向きに行動して
かなきゃいけないですよね。
 藤田さんも元気な私の方が良いっておっしゃってましたし。
 それじゃ、まずは情報の確認から。


 えっと、まずは恋人候補No.1の神岸あかりさん。
 でも、あかりさんが恋人じゃないっていうのは、藤田さんに聞いてあるから大丈
夫ですよね。藤田さんはあかりさんの事をただの幼なじみで家族みたいなもんだっ
ておっしゃってましたから。

 次は去年藤田さんと同じクラスだった宮内レミィさん。
 確かにレミィさんは美人だし校内でも人気があるし藤田さんとも仲がいいみたい
ですけど。でも、それはレミィさんが誰とでも仲良くなれるからみたいだし、それ
にレミィさんがわざと藤田さんの事を突き飛ばしてるのを何度も見た事があります。
だから藤田さんはレミィさんの事、きっと本当は苦手にしてるはずです。

 それから今年になって藤田さんと一緒のクラスになった保科智子さん。
 この人はちらっとしか見た事が無いけど、なんとなく人を寄せ付けないような雰
囲気で、とても恋をするなんて感じじゃ無かったです。それに長岡さんの情報では
神戸に帰りたいって事ですから、やっぱり藤田さんの事を好きだなんて考えられな
いですよね。

 同じ1年の松原葵さん。
 松原さんは何か格闘技みたいな事をやっていて、藤田さんともその事で話が合う
みたいです。でもこの前、藤田さんと学食で会った時、藤田さんは松原さんより先
に私に声をかけてくれたし、私の隣に座ってくれたから、きっと私の方が好きに違
いありません。

 3年の来栖川芹香さん。
 来栖川さんは確かに私から見てもとってもきれいで、それだけなら藤田さんが好
きになってもおかしくはないと思います。でもいつもぼ〜っとしてて何を考えてる
かわからない人だし、藤田さんも元気な娘の方が好きだって言ってたから、この人
も絶対違うと思います。

 あと、当然情報には入ってなかったけど、大穴で長岡志保さん。
 長岡さんもよく藤田さんとは口喧嘩してるけど、仲が良さそうです。でも、こん
な情報を私に売ってくれるぐらいだから、きっと私を応援してくれてるんだと思い
ます。


 そうすると、残るのは……やっぱりこの人なんですね。
 確かに藤田さんがこの人と楽しそうに話してるのを何度も見た事があります。


 ああ、やっぱりこの気持ちは押さえられません。
 藤田さんには、もう2度と超能力を使うなって言われてますけど、これも藤田さ
んを想っての事だから、きっと許してくれるに違いありません。

「あなたに何か良くない事が起こります」

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 そして今日もまた、理緒がこける。

「えぇ〜ん。わたしってば、なんでこんな何にも無いところでこけるのぉ〜〜」

=== 了 ===



 理緒ちゃんがこける理由です。(笑)
 最後までそーゆーオチだって気がつかれなければ私の勝ちです。(嘘)
 (同案ネタ多数な気がしないではないですが)

 浩之と楽しそうに話してる理緒ちゃんを見た琴音ちゃんが、嫉妬して理緒ちゃん
をこけさせるっていう映像が頭の中に浮かんだのが元になってます。

 というわけで、もしかしたら理緒ちゃんの話かも。最後しか出てないけど。



 ちょっとお詫び。
 前回の「夢の中から」の後書きを読み直して気がついたんですが、もしかすると
誤解させたかも。前回「この話はまだ続く」と書きましたが、これはこのシリーズ
が続くって事です。「押」で終わってるのはマルチがリターンキーを押した事の演
出のつもりで、話としては終わってます。とーぜんマルチも逝ってます。

 したがって、「押」そうとしたら、雅史さんが急に入ってきて私を止めました。
「馬鹿な事をするんじゃない」「でも、わたしはお詫びに死ななきゃならないんで
す」「そんな馬鹿な事を言うんじゃないっ!」バシッ「あっ」「僕じゃだめなのか」
「え?」「僕が君を幸せにしてみせる」「でも…」「君が幸せになる事が浩之の願
いじゃないのか」「雅史さん」えぐっ、えぐっ「今は好きなだけ泣くんだ。でも、
明日はちゃんと笑えるようになるんだよ」「は、はい…」ふぇ〜〜ん……といった
展開にはなりません。(はぁはぁ、疲れた。でも、あーゆーことしといてこーゆー
流れに持ってくのは難しいだろうなぁ)

 あの話自体の続きを期待しちゃった方がいるかもしれませんが申し訳ないです。

 ついでなんで、次回予告。次のターゲットは雅史です。(何のだ)
 「夢の中から」の雅史サイドからの話になります。