それはある日の事だった。 俺の住むアパートを出てすぐの粗大ゴミの捨て場に、千鶴さんそっくりの「人型パソコン(?)」が捨ててあった。 見なかった事にして、俺は大学へと急いだ。 帰宅途中の俺は、どうやらゴミ屋に回収されなかったらしい「人型パソコン(?)」を再び目にしてしまった。 『貰ってください(黒ハート)』 今度はそんな張り紙が張られていた。悩んだ末、仕方がないので拾って帰る事にした。 んで、この人型パソコン(?)は、俺が何を言っても何を聞いても「ちー」としか答えなかった。 「あの…千鶴さん?」 「……」 「…ちーちゃん?」 「ちー」 万事が万事、こういう感じだった。 「ちー」しか言えない『ちーちゃん』は、耳こそアレだったが、それ以外は人間にしか見えなかった。 っていうか、人間そのものだった。メシ食うし。トイレ行くし。 社会人としての基礎知識はインストールされているらしいが、まねっことチラリズム以外、基本的に役立たずだった。 何かと家事に手は出すのだが、そのたび家事場のクソぢからを発揮して、特に台所などは壊滅状態だった。 でもって先日、本当の火事を起こしかけたため、目出度く俺は住んでたアパートを叩き出される運びとなった。 …そしてついに『ちーちゃん』が、「ちー」以外の言葉を喋る時がやって来たのだった。 「あの、私、帰ります」 全然感動的じゃなかった。 って言うかむしろ、フザケンナという感じだった。 ============================================================================== 超お久しぶりのNoGodです。 …すんません、見なかった事にしてください(汗)