『デバ鶴姉ちゃん』 さっき楓が耕一さんに、話があるから風呂上がりに自分の部屋に来いとか言ってた けれど、一体何を話すってのかしらねぇ。わざわざ部屋に呼びつけるなんて、私達に 聞かれたら都合が悪いような話でもするつもりなのかしら? 楓が毎晩毎晩、どんぶりを頭にかぶって耕一さんの枕元に立ち、紙筒を耳に当てて 何やらごにょごにょ囁いているのは知ってたけど、遂に直接的なアプローチに出る つもりなのかしら?まさか、耕一さんを色香で誘惑して……って、あのつるぺたの 小娘が、そんな訳ないわよねぇ(笑) とにかく、妹の秘密…じゃなくて、悩みについては是非是非知っておかなければ、 長女失格というものだわ。さぁ、楓。秘密でもなんでも打ち明けてしまいなさい。 この私が陰から全部聞いて…じゃなくて、暖かく見守ってあげるわ。 とか何とか考えながら、楓の部屋の前にやってきた。いなや、 『…あっ』 中から楓の切なげな声が聞えたような気が… 私は後ろに振り返り、仮想のカメラに向かって苦笑してみせた。 これって、これって、 近、 親、 相、 姦? こらっ!楓!まさかあなた、自分から耕一さんに迫った訳じゃないでしょうね!? 私はあなたを、殿方の前でいきなり全裸になったり、無理矢理モノを引きずり出して ペロペロやっちゃうような、そんなはしたない娘に育てた覚えはありませんっ!(笑) …んまっ、私ったらお下品!*^^* 私はコツンと自分の頭をこづき、チロッと舌を出してみせた。この仕種、自分で見ても 可愛いと思うので、誰に見られてる訳でなくても癖になっちゃった。 まぁ、今のは単なる私の勘違いだと思うわ。考えてみれば、楓に限ってそんなコト あるはずないわよねぇ。だってあの子、つるぺただしー(笑) とにかく気を取り直してもう一度。私は全ての気配を断ち、物音一つ立てずに ドアを少しだけ開き、その隙間から中の光景を覗いてみた。 …… …… げっ!? うそっ!? ほ、ほほ本当にやってるう〜 ・ ・ ・ …す…すごいなぁ…すごいなぁ… ・ ・ ・ とりあえず下着を換えて戻ると(笑)、話は核心に迫る内容に移っていた。 『…耕一さんの鬼は日増しに強くなっている。私にはそれが判ります。 …そして、そのことは千鶴姉さんも気付いています…』 『千鶴さんも…?』 『…はい。ですから一刻も早く、向こうの家に帰ってください。…もしも、 …もしも耕一さんが、鬼を制御できないと判れば、…千鶴姉さんは、 …千鶴姉さんはあなたを…』 …… …ふふふ、遂に私の出番ですね。これは私が言ってこそ「決まる」台詞なのです!! どかーん!! 私は楓の部屋のドアを蹴破って、派手に登場した。 「…あなたを…殺さなければなりません!!!!」 「!」 「…千鶴姉さん」 「…千鶴さん」 「立ち聞きしてたの?」 苦笑しながら耕一さんが言う。 「…ごめんなさい」 「…いつから居たの?」 「え、え、あ、あの、つ、つい今さっきから…です…はい…」 「……」 「……」 「……」 「……」 栗の花の匂いが立ち込める部屋に、重い沈黙が訪れた。 (完) いやー。本編からどれだけ千鶴さんの偽善チックを暴けるかと以前の「ギの人」 投稿後もネタになりそうなものを探しみたんですけど、仏壇その他、悲痛なのは あんまりいいネタにならなさそうなんで、結局あきらめてしまいました。 で、結果できたのがコレなんですが、偽善というより下品です^_^; たまったログもようやく8割がた読破できたことだし、 そろそろ感想書きとか、自分のの発表にでも励もうと思います。 *** おまけ小劇場 *** 「…耕一さん…私…奇麗ですか?…私の裸…奇麗ですか?」 1.素直に奇麗だと答える。 2.なんだか変だよという。 謎.正直に答える。 「…千鶴さん、中学生の頃から胸が成長してないんじゃ…」 「……」 「……」 「……」 「……」 「…あなたを、殺します、いま、この場で!!!!!!!!!!!!」 さくっ BAD END …ベタベタやんーー;