ヘアバンドの秘密 投稿者: NoGod
	『ヘアバンドの秘密』


「俺さぁ…梓がそのヘアバンド外した所を全然見たことないんだけど…それ、そんなに
  気に入ってんのか?」

耕一は、かねてからの疑問をなんとなく口にしてみた。

「あ、これ?…実はさぁ、これ、取れないんだよ」

「へ?」

「中学の頃、ウチの蔵の中でコレが大事そうにしまってあったのを見つけたんだよ。
  なんか妙に気に入っちゃったんで、思わずその場ではめちゃったんだけどさ、
  それ以来、ずーっとはまりっぱなし。何をどうやっても取れないんだ」

「な、何だそりゃぁ?病院とかには行ったのか?」

「…もちろん行ったさ。そしたら、頭にガッチリくっついちゃってるって言われたよ。
  無理矢理むしり取るのはかえって危険だろうってことで、そのままなんだけど」

「おいおい…初耳だぜそりゃ。しかし、髪洗うときとか大変だろ?」

「もう慣れたよ」

「でも、梓お姉ちゃんにすごく似合ってるよね。楓お姉ちゃんもそう思うでしょ?」
「…うん、そうだよね」

「そ、そうかな?でも、すっかり自分の一部って感じだなー」
梓は鼻を擦って、例のテヘヘ笑いを浮かべた。
チャームポイントと誉められるのはまんざらでもないらしい。

「ちょっとちょっと、みんな見て〜!蔵の中でちょっと捜し物してたら、間違って
  壁を壊しちゃったんだけど、そしたら中からなんだか面白そうな物見つけたの〜」
千鶴が何やら古ぼけた巻き物のような物の束を抱えて、ドタバタと慌ただしく現れた。

「千鶴さん…何ですか、それ?」
「古文書か何かかな?」
「えーっとね、これは柏木次郎衛門から数えて四代目の御先祖様が書き残したもの
  らしいんだけど、えるくぅ武闘術の秘伝とか、星船から持ち帰った鬼の道具の話とか
  色んな事が書いてあるみたいなのよー。ね、面白そうでしょ?」
「…何書いてあるのか全然分からない…千鶴お姉ちゃん、よく読めるね?」
「ふふふ、古典は私の大得意なのよ。それに昔、叔父さまからいろいろ教えて貰った
  からね。叔父さまも雨月山の伝承について研究なさってたのよ」
「親父が…?」
「そう。確か初音が叔父さまから貰ったお守りも、エルクゥの遺産だったそうよ」
「あ、やっぱりそうだったんだ…」
「あと、『御鬼輪』という道具の話が詳しく出てるんだけど…これはエルクゥの遺産
  じゃなくて、御先祖様が当時の高僧に依頼して作ってもらった道具らしいわね。
  なんでも、一族に生まれた娘の一人が本能丸出しって感じのえらく狂暴な娘でね、
  手を焼いた御先祖様が、娘の頭にその『御鬼輪』を被せて戒めとしたらしいわ」

「…なんであたしの方を見て言うんだよ」

「残念な事に、御鬼輪の説明書だけしかなくて、現物は蔵のどこ捜しても見つから
  なかったのよ。ああ、本当に残念だわ。もし見つかってたら、さっそくどこかの
  誰かさんに被せて……………………」

「…ん?」
「……」
「な、なんだよ、千鶴姉」
「……」
千鶴は梓の頭のヘアバンドを、じーーーーーーーーっと見つめていた。
そしておもむろに巻き物の一つを開き…
「…はんにゃーはーらーみーたーそわかー」

「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?
  イタイ!痛い!いたい、いたい、いたい、頭が、いたいぃ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」

千鶴が奇妙な呪文を唱えると、梓はいきなり頭を抱えて悶え苦しみ出した。
「梓、どうした!?」
「梓お姉ちゃん!?」
「あ、頭が急に…あれ?」
「…姉さん、大丈夫?」
「う、うん、突然頭が締め付けられるように痛んだんだけど…今はなんとも…」

「…ふっ」

「千鶴姉…なんだよその含んだ笑いは…。はっ、ま、ま、まさか…」

「先祖伝来の逸品は数百年を経て、自ら再び納まるべき所に納まっていたようね…」

「そ、そんなぁ〜〜、勘弁してよ〜〜。マジで洒落にならないよ〜。輪っかを外す
  呪文もあるんでしょ、ね、ね、千鶴お姉様、頼みます、このとーーーーり!」

「あら、解除の呪文は御鬼輪そのものに記してあるって、巻き物には書いてあるわよ」

「えっ、どこどこ!?」

「輪っかの内側」

「ガビーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」

「ねぇねぇ、なんか面白い事になってきたから、このままみんなで、西遊記ごっこでも
  やろうかと思うんだけど、どうかしら?ね?もちろん私が美貌の三蔵法師で…」

「……はぁ(コイツ、またバカな事考えやがって…)」

「そう…梓ちゃんは嫌なのね…お姉さんは と っ て も  か   な   し   い    わ  」

「ヒッ!や、やります、是非是非やらせて頂きますぅぅ!!猿と呼んでくださいぃ…」

「そう。じゃ頼んだわね、お猿さん?あと、楓はおかっぱ頭だから、カッパね。
  はい、決定」
「……」
「いいわよね、楓?」
「……(こく)」

「あの、じゃあ、わたしは…」
「もちろん、ブタしかないでしょ」
「うぅ…やっぱり…」
「初音、初音」
「えっ、何?」
「ブタが喋るときには、語尾に必ず『ブー』ってつけなきゃいけないのよ?^_^」
「…ご、ごめんでブー」
「初音ってば、とってもいい子ね〜」
・
・
・
「ニンニキニキニキ  ニンニキニキニキ♪…こら、みんなちゃんと歌いなさい!
  天竺はまだまだ遥か先よ〜!耕一さん、ハイヨハイヨ〜!」

	げしげしっ

「ひ、ヒヒーン(涙)」

「「…西へ、向かうぞ、ニンニキニキニキニン…」」


「ヤナガワ〜」

「あっ、悪い鬼がまた悪いことしてるでブー!」
「懲らしめてやらないといけませんね。これ、サル、や〜っておしまい!!」
「……」
「…はんにゃー…」
「ひ、ひぃぃぃぃ!こ、こらっ!悪い鬼!
  この斉天大聖孫悟空の怒りの鉄拳を喰らえ!」←やけくそ

	ドカ!バキ!グシャ!

「ぎゃぴーーー!!」
「ヤナガワ〜」
「ああっ、梓お姉ちゃん、あっさりやられちゃったでブー(苦笑)」
「…ま、そんなとこだろうと思ったわ。…はい、次」
「…千鶴お姉ちゃん、ブー」
「ん?(じろ)」
「つ、次って?…ブー」
「あなた達の番って事よ。決まってるじゃないの」

「ヤナガワ〜」
「あうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…こ、こうなったら、いくでブー…」
「…かっぱブーメラン…」

	ドカ!バキ!グシャ!

「ヤナガワ〜」

「……(ハラホロヒレハレ〜)」
「…もう駄目でブー…」

「み、みんなやられちゃったでヒヒーン…」
「…ったく、この三蔵の手を煩わせるだなんて、不甲斐ない弟子達だこと…」
「…(お、鬼だ、この人は本当の鬼だ…)」

「あなたを、殺します」ビシッ!  ←ポージング
「ヤナガワ〜」


あぁ〜、隆山〜に、血の雨が〜降る〜♪


		つづかない(笑)
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ああっ、なんて馬鹿な話だ(苦笑)。久々の投稿だというのに。
鬼畜千鶴とへっぽこ梓、王道といえば王道です。(でも馬鹿)
とりあえず、ヘアバンドは金属製という事にしといてください。
(原作ではどう見ても布製)

よーーーやく貯まりに貯まった未読を消化完了しました。
ボチボチ感想も書いていこうと思います。



	****  おまけ小劇場  ****


「なによー!あんたなんて、まだ毛も生え揃わない小娘じゃないのよー!」

「なんだよー!そう言う千鶴姉だって、いい歳して一本も生えてないじゃないかっ!」

「…もう二人とも、恥のうわぬりはやめたほうがいいと思うんだけどなー(苦笑)。
  耕一お兄ちゃんも呆れてるよ。それに、無毛はリーフキャラの宿命なんだから…」

「……(これがホントのけなし合い…なんちゃって…くすくすくす)」

あっ、楓ちゃんがなんか含み笑いしてる。