もう一つの「ToHeart」最終話 投稿者: kurama
最終話「本当の気持ち」

−−あらすじ−−
謎の失踪をした浩之。悲しみに暮れるあかり。何とかしようとする志保と雅史。
そして、突如浮上した謎の女性疑惑の真実を見極め、何とかしてあかり誤解を
解こうとする志保と雅史。そして、運命の時が訪れる。あかりと浩之、お互いの
「自分に正直な気持ち」とは・・・?

−−あかりの家−−
あかり「もしもし・・・あ・・・・・・ヒロ・・・ちゃん・・・?」
あかり、少し動揺しながらも、応対する。
あかり「うん・・・うん・・・・・・わかった。・・・今から行く・・・。」
受話器を置くあかり。
あかり「(とうとう来た・・・この時が・・・)」
一息おいて、
あかり「おかぁさ〜ん! ちょっと外に出てくるね!」
小走りに玄関に向かっていくあかり。
母 「ちょっとあかり? ・・・まったく。」
少し呆れながらも、
母 「ふふっ、しっかりやりなさいよ・・・」

−−夕方、公園−−
夕暮れ前。鬼ごっこする子供たち。買い物を済ませて世間話をしている主婦たち。
公園はにぎやかだった。
あかり「(ハァ、ハァ・・・)」
息をはずませながら公園に入ってくるあかり。
あかり「・・・まだ・・・来てないのかな・・・?」
公園のほぼ中央に来たあかり。きょろきょろと辺りを見回す。
あかり「なんだ・・・急いできて損しちゃった・・・」
ちょっと安心して、ベンチに向かおうとする。
???「・・・あかり。」
あかり「!? えっ?」
いきなり後ろから声をかけられて驚くあかり。声をかけられた方を向く。
そこには約半年前と変わらない浩之がいた。
あかり「・・・・・・ヒロ・・・ちゃん・・・?」
浩之 「おう。わりぃな、今まで。」
あかり、うつむいて黙ってしまう。
浩之 「・・・・・・とにかく、あそこに座ろう。」

−−公園内のベンチ−−
浩之・あかりと並んで座る。しばらくの間二人は何も話そうとしない。
浩之 「あ、あのさ・・・」
反応の無いあかりに構わずに話し続ける。
浩之 「ごめんな・・・先輩の手伝いしなくちゃいけなかったから、どうしても
ここにいることができなかったんだ・・・志保から聞いた。本当にすまない・・・」
そして、しばらくの沈黙・・・
あかり「・・・・・・・・・なんで・・・・・・?」
浩之 「ん?」
あかり「なんでなの・・・? 先輩の手伝いをするのに・・・なんで・・・なんで、黙って
行っちゃったの・・・?」
あかりの肩が小刻みに震えてくる。
あかり「私・・・ヒロちゃんがいきなりいなくなるんだもん・・・すごく寂しかった・・・
毎日毎日、いつ帰ってくるのかな…て待ってた…。」
そのまま黙るあかり。いつのまにか辺りは夕暮れになり、公園にはあかりと浩之しかいなく
なっている
浩之 「なぁ、あかり・・・」
しばらくして、浩之が口を開く。
浩之 「この公園、覚えてるか・・・?」
あかり「? この公園・・・?」
浩之 「あぁ、ここだ。俺とあかりが小さい頃よく遊んだ公園だったな。」
あかり、黙ったまま浩之の言葉を聞きつづける。
浩之 「ここで・・・約束したよな・・・。おまえを守ってやるって・・・」
あかり、ハッとなる。
浩之 「俺、正直言うと、あの頃の約束を守れるかどうか自信が無かった。だから、わざと
あかりから離れて、本当の自分の気持ちってのを確かめたかった・・・。そう思って
た時に先輩から話があったんだ・・・先輩の事は、志保から聞いてるんだろ?」
あかり、黙ってうなずく。表情は浩之からは見えない。
浩之 「それで、遠く離れてみてやっとわかったんだ・・・“本当の自分の気持ち“が・・・」
そこまで言うと、あかりの方に向き直って、
浩之 「あかり。ここで・・・この公園でもう一度言いたい。俺はおまえを守る。もう、黙って・・・一人でどこか遠くへも行ったりしない。俺は・・・俺は・・・・・・」
そこまで言いかけたとき、不意に唇に柔らかい感触が伝わる。
浩之 「!?」
あかり「ヒロちゃんの気持ち・・・よくわかったよ・・・。」
涙ぐみながらも微笑んでいるあかり。
あかり「今のは・・・私の“本当の自分の気持ち”・・・」
あかり、そのまま浩之に抱きつく。
浩之 「あかり・・・・・・」
浩之、それ以上は何も言わず、あかりの体を抱きしめる。

――9月1日 浩之の家の前――
あかり「おはよ、ヒロちゃん」
浩之 「おう。」
浩之の顔をじっと見つめるあかり。
浩之 「な…なんだよ。俺の顔になんかついてるか?」
あかり「ううん、べつに♪ さ、学校行こ!」
あかり、浩之に背を向けて走り出す。
浩之 「変なやつ・・・・・・ま、いいか。」
浩之、あかりの背中を追いかける。

――浩之の家からちょっと離れた場所――
志保と雅史が浩之とあかりのやりとりを見ている。
雅史 「ねぇ、志保。」
志保 「なに? 人がせっかく感動に打ちひしがれてるっていうのに。」
志保、ハンカチ片手に涙している。
雅史 「・・・・・・・・・学校、遅れるよ。」
志保 「うんうん、そうねぇ・・・・・・って、えぇっ!! もうそんな時間!?」
時計はもう始業10分前を指していた。
志保 「んもぅ! なにやってるの! さっさと行くわよ!!」
志保、猛ダッシュをかける。
雅史 「あっ!! ちょっと待ってってば〜。」
あとから雅史も追いかける。
志保「待って〜〜! あかり〜〜!」
――END――


−−あとがき−−
どうも。kuramaです。
・・・・・・・・・もう、忘れ去られてるかもしれませんね・・・。忙しかったり、HP重かったり、
いろんなことがあったんで、UPできませんでしたが、ようやく完結する事ができました。
覚えていてくれた人がいれば、「すみません、遅れてしまいました。」
私を知らない人であるなら、 「”り〜ふ図書館”で見ていただければ幸いです。」
ふぅ。やっと肩の荷が降りました。また、機会があれば書こうと思います。
皆様、その時もどうかよろしくお願いします。