スピ−ド!命 投稿者: kurochan
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この物語は、リ−フ殿の「To Heart」の設定をもとにした、二次創作物(Side Story)です。
内容は、「もっと速く、マシンを動作させたい」と、予算が余ったことにカコつけて、
マザ−ボ−ド、CPU、ビデオボ−ドを会社で買ってもらい、交換した時の話です。
(一部の社員から、かなりブ−イングが出ました。そりゃそうだわな...)
人物および場所の設定は、すべて架空のものです。
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『スピ−ド!命』

第一章 プロロ−グ

カチッ、カチッ、カチッ。
カラカラカラカラ...。
カチッ、カチッ、カチッ。
カラカラカラカラ...。

ガンガラガンガラ、ガンガラガンガラ、ガンガラガンガラ、ガンガラガンガラ...。
う〜っ、遅い。
遅い、遅いっ、遅ぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃっ!!
「あ〜っ、くそったれ!!」
バ−ンッ!
俺はキ−ボ−ドを投げ出し、手を頭の後ろで組んだ。
「くっそ〜、なんで、こんなに遅いんだっ!」

俺は藤田浩之。
現在、来栖川電工で働く、平(ひら)社員だ。
あかりと同じ大学に進んだ俺は、その後、長瀬教授のすすめもあり、教授の兄という人が働いて
いる、来栖川電工に就職。
その後、一定の研修期間を経た後、「情報管理部」という部署に配属になった。
俺の担当する仕事は、HMXの開発などではなく、もっと地味な仕事だ。
まいくろそふと製品を駆使して、Webサ−バ−やデ−タベ−スサ−バ−を構築し、社内で情報
公開するという、俗に言う「イントラネット」屋さんだ。
今では「経営効率推進センタ」などという、たいそうな名前に変更されているが、やってることは
何も変わらず。
そう、大企業にありがちな、「組織の分散化・効率化」という名目の下、いかに効率を上げるか、
そして...、いかに人員削減を図るか、だけだ。
「赤字部門は、人を減らせ。黒字部門は、より多くの利益を取れ。管理部門は、より効率よく作業
を行え」
というのが、社長の口癖になっていた。
それはいいのだが...。
新しい機材や治工具の購入も、なかなか許可が下りず、新しい技術の習得が難しい状態になって
いた。
にもかかわらず、他社から新製品が発表されて、売れ始めると、
「なんで、申請しなかった?他社に先を越されたろ−が!!」
と、社長が幹部を、幹部が担当者を叱責するありさま。
ま−ったく。
どこの会社もそ−なんだろ−な−...。一部の、先進的な目を持った、会社を除いて...。

とと、いかんいかん。
さっさと、仕事仕事...っと。
「それにしても、なんとかならね−のか?この遅さは...」
俺は、誰に言うともなしに呟いた。

何を、さっきから言っているかというと...。
使っている、コンピュ−タの処理速度のことだ。
会社で使っているコンピュ−タは、Pentium/100MHzのCPUを搭載している。
しかし最近、処理速度が異常に遅く感じるのだ。
特に、「おふぃすきゅうじゅうなな」を使って、サ−バ−上のExcelシ−トや、Word文書を使うと、
異常に遅くなる。
以前、「おふぃすよんてんさんぷろふぇっしょなる」を使っていた頃とは、雲泥の差なのである。
(作者注:当たり前といえば、当たり前。だいたい、Pentium/100MHzのCPUなんて、現在では
ショップに行っても、売っていなかったりする。)
使っている途中で、急に、キ−ボ−ドも、マウスも制御できなり、固まってしまう。
「.....」
そして、30秒ほど待っていると、
カラカラカラカラ...。
ハ−ドディスクが再び動き出し、また入力が可能となる。
こんなことが、1時間に何回も起こり、その度に、書いていた内容がわからなくなってしまう
のだ。
こんな状態では、ちっとも作業が進まない。
「う〜ん、何か、いい方法は.....」
気象庁の天気図の描画や、軍の科学技術計算でもするのであれば、クレイあたりが欲しいのだが、
いかんせん、企業のサ−バ−やクライアントであれば、INTELかALPHAがあれば十分だ。
そうは言っても、MMX非対応の、しかもPentium/100MHzでは...、ねえ...。

第二章 渡りに船

そんな、ある日のこと。
例によって、コンピュ−タと格闘していると...。
「藤田君」
「?」
声をかけられ、振り向くと...。
「あっ、こんにちは、長瀬主任」
長瀬教授の兄にあたる、長瀬開発主任が立っていた。
思わず、俺も立ち上がり、頭を下げる。
上司を立たせておいて、担当者が座っているわけにはいかないのが、企業での暗黙の了解である。
誰に教わったわけでもない。ただ、先輩たちの一挙手一投足を観察しているうちに、自然に身に
ついたのだ。
「どうだい、社内インフラの仕事は、進んでいるかね」
長瀬主任は、ス−ツ姿に白衣をまとい、ズボンのポケットに手を突っ込んでいる。
一見、うだつのあがらないオッサンのようだが、この人こそ、あのHMXシリ−ズの生みの親の
一人なのだ。
「はい、スケジュ−ル通りに進んでいます。開発課の方々の御協力、心に痛み入ります」
俺は、素直に頭を下げた。

現在、来栖川電工では、社内イントラネットの準備に追われている。
信じられないことだが、俺が入社した時点では、伝票処理はホストコンピュ−タ、勤務表はOC
R読み取り機で処理されていた。
しかし、昨今のダウンサイジングの波により、ホストを廃止する方向で、社内システムの見直し
を図ることになったのだ。
ホストコンピュ−タで一括処理していたのを、各事業所・工場に分散させることで、負荷を軽減
するとともに、システムの小回りをよくし、機器の設置面積と、維持していく経費を削減しよう
というのである。
だが、最近になって、その流れが、また変わりつつある。
負荷を各事業所・工場に分散させたのはよかったが、稼動後のメンテナンスの為に、本社の情報
管理部門が、日本、いや世界中を、飛び回ることになったのだ。
勿論、本社からネットワ−クを通じて、各事業所・工場のサ−バ−を覗くことはできるのだが、
ネットワ−ク越しでは、どうしても限界がある。
そのため、飛行機や寝台特急を使って、担当するシステム管理者が、現地に飛ぶことが頻繁に
起きてきたのだ。
さらに、プログラムのバ−ジョン管理なども、各事業所・工場でバラつきが起きやすい。
これに対応するため、本社にWebサ−バ−1台、デ−タベ−スサ−バ−を1台置き、ブラウザ
経由で社内業務を行うシステムを、今月から試行させた。
このシステムを管理しているのが、何を隠そう、俺なのだ。
ブラウザさえあれば、社内の各クライアントからアクセスできるので、おおむね好評である。
ただし、使うブラウザの種類やバ−ジョン、画面解像度によって、表示されるレイアウトが若干
異なるのが、悩みの種ではあるが...。

「セキュリティ面は、大丈夫かね?」
長瀬主任が、俺に聞く。
「はい。ファイア−ウォ−ルとProxyサ−バ−を立てて、不正なアクセスは防止できています」
「だが、油断は禁物だ。特に、君が運営しているコンピュ−タは、WindowsNT4.0だからね。やろう
と思えば、簡単にパスワ−ドを解析されてしまう。Administrator権限のパスワ−ドが破られた日
には、目も当てられない状態になることだけは、肝に銘じておいてくれよ。それに、この前の騒ぎ
は知っているだろう。株主であるリ−フのサイトに、『インタ−ネットあらし』が出て、それ以来、
Proxyサ−バ−経由の書き込みがカットされたことを。そういったことが、君の管理している
システムでも起きうることだけは、覚えておいてくれたまえ」
「はい」
俺は、頷いた。
「ところで...」
急に長瀬主任は、小声になった。
「?」
「開発課の予算が、少し余っちまってな。なんか、欲しいもの、あるか?」
「!!!」
まさに、『渡りに船』である。
「勿論、仕事で使うものになるんだが...」
な−んだ。個人的に欲しいものは、現金を始めとして、いっぱいあるのに。
「でも、いいんですか?開発課の予算なのに」
俺は、素朴な疑問を口にした。
「領収書さえあれば、あとはこっちの予算で、なんとでもなるんだよ」
長瀬主任は、まかせろと言うように、目配せをした。
一瞬、ウィンクされたように感じ、めまいがしたが...。
「因みに、いくらくらい、余ってるんですか?」
「え−と...、ちょっと待ってくれ」
手帳をパラパラとめくり、おもむろに、
「40万ぐらいかな。開発課の予算としては、帯に短し襷に長しでね。」
な、なんとうらやましい。それだけあれば、440BXにPentiumU/400MHz搭載のマシンが、1台
買えるぞ。
...と、思ったが。
俺は、PentiumUに、さほど興味を持っていなかった。
どうせなら、今ある資産を有効活用した方が、手っ取り早い。
それに、Socket7だって、まだまだ捨てたもんじゃないし。
「少し、検討させて下さい」
と、俺は言った。

俺はさっそく、部課長クラスを除く担当者にメ−ルを送り、欲しいものをリストアップすることに
した。
とは言っても、限られた予算の中でのやりくりである。
全員に、均等に割り振るのが、暗黙の了解である。
さぞや、欲しいものがたくさん出てくるのでは...と思ったが、意外なことに、反応は少なかっ
た。
いや、冷ややかと言った方が、正確かもしれない。
びじゅあるすたじお97と、HDDが1個。それ以外は、何の反応もなかったのである。
う〜ん、Win98が登場する直前ということも、影響してるのか。
よし、この際残った予算で、マザ−ボ−ド、CPU、ビデオボ−ドを買ってもらおう!!
これで、俺の使ってるマシンが、最新型にメタモルフォ−ゼだ。うっしっし。

俺が、開発課の長瀬主任に申請したのは、以下の通り。
(1)「びじゅあるすたじお97」を1個
(2)しいげえとの、2.1GBのHDDを1個
(3)あすうすてっくのTX−97(マザ−ボ−ド)を2枚
(4)MMXPentium/233MHz(CPU)を2個
(5)まとろっくすの「みすち−く220」(ビデオボ−ド)を2枚

(3)〜(5)は、もちろん俺の独断と偏見によるものだ。
しかし、この選択が、信じられないドツボを生むとは、この時点では、思いもしなかった...。

第三章 再生

数日後。
「おはようございま−す」
出社すると、俺宛てに、宅配便が届いていた。
「なんだろう。まさか、マルチのDVDだったりして...」
訳のわからないことを言いながら、カッタ−で梱包をほどくと...。
「わおっ!!」
俺が申請したハ−ドやソフトが、ひとつの欠品もなく、入っていた。
し、信じられん。
まさか、申請したのが、そのままストレ−トに通るなんて...。
こんなこと、この会社に入社して以来の快挙だぞ。
まさか、箱はあっても、実際には中身は入っていなかったなどという、お約束のオチが付いていたり
して...。
箱を振ってみる。
.....。
音が、しない。
にもかかわらず、結構重みがある。
ということは...。
「中身が、入ってる?」
.....。
ふっふっふっふ。...ひっひっひっひ。
「いえ〜い!!ラッキ−!!」
俺は、思わずガッツポ−ズをした。

早速、パ−ツのパッケ−ジを開封する。
まず、マザ−ボ−ド。
箱を開けると、つんと、新しい部品のにおいがする。
う〜ん。この刺激がたまらん。この基板の色合いといい、においといい...。
端から見れば、単に怪しいヤツになってしまうのだが、このゾクゾクするような快感と興奮は、そう
そう味わえるものではない。
特に、新品パ−ツ...しかも、今もっとも旬な430TXマザ−となれば、なおさらだ。
「今の旬は、440BX、しかもベ−スクロック100MHzだ」
という人もいるだろう。
しかし、まだまだ初期ロットである。どんなトラブルが起こるか、わかったもんじゃない。
やっぱ、仕事で使うのであれば、安定性を重視するのは、当然のことだろう。
それにしても...。
「英語を、もっと真面目に勉強すればよかった...」
海外メ−カ−の部品を購入した時に、いつも思い知らされるのが、これである。
マニュアルを見ても、図が掲載されているところは、まだいいが、英語だけで書かれていると、本当
にウンザリしてくる。
因みに、インタ−ネット上で公開されている情報の8割は、英語で記述されているそうである。
つまり、日本語で記述されている情報は、ほんの微々たるものなのだ。
学校では、英語は結構、真面目に勉強したのに...。
パラパラと、マニュアルを見てみるが、図解されているところを除き、さっぱりわからん。
こ−ゆ−時は、下手に手を出すと、ドツボにはまると、相場は決まっている。
ならば...。
「お−い!!祐介ぇ〜」
俺は、同期の長瀬祐介に、声をかけた。
「?」
少し離れた席に座って、ブラウジングしていた祐介は、驚いたように、俺を見た。
「祐介、ちょっと来てくれ」
俺が言うと、祐介は、ちょっと不思議そうな顔をして、席から立ち上がった。

祐介は、俺より4才年下だが、同じ年に入社した同期生である。
何でも、叔父さんが、長瀬開発主任と兄弟とかで、そのツテで入社したらしい。
入社するきっかけが、なんとなく俺と似ているな...と思い、いろいろ話しかけてみたのだが、
あまり自分のことを話したがらず、どちらかといえば暗いイメ−ジが強かった。
「ナンパ師」「スケコマシ」「女に飢えた野獣」などと言われた俺とは違い、一途なところがある。
祐介は毎日、かなり朝早く、会社に来ている。
だが俺は、その理由をよく知っていた。
会社の専用線を使って、朝早い時間、特にテレホ−ダイが終わってから始業までの間に、祐介はよく、
ブラウジングしているのだ。
実は、この時間帯は、思いのほか、回線がすいている。
通勤タイムだからか、テレホ−ダイ終了直後だからか、その理由は定かではないが、とにかくすいて
いる。
祐介は、その時間帯にブラウジングしているのだ。
どんな情報を見ているのかは、知るよしもないが、きっと、えっちなサイトを見に行っているのだ
ろう。
以前、聞いてみたのだが、
「株主のホ−ムペ−ジを、見ているんです」
とか、言ってたっけ。
株主...?
ってことは、来栖川グル−プか、リ−フってことになるが...。

「おはようございます」
「わっ!!」
いつの間にか祐介は、俺のすぐそばに立っていた。
い、いかんいかん。
呼び付けておいて、『わっ!!』もないもんだ。
慌てて俺は、
「じ、実はさ、祐介」
「はい」
祐介は、焦点の合わないような目で、俺を見ている。
「こないだ、みんなにメ−ルで、『欲しいソフトやハ−ドがあったら、申請してほしい』って流した
んだけど、祐介、マザ−ボ−ドとCPUと、ビデオボ−ド申請したじゃん。今朝、それが届いたんだ」
一瞬、祐介の目が、赤く染まる。
が、すぐにもとの、焦点の合わないような目に戻ると、
「そうでしたか」
と言った。
こういう時の祐介は、心が動いている。
何年か、一緒に仕事をしてきて、わかったことだ。
「祐介、確か、俺が使ってるマシンと、同じ機種だったっけ。パ−ツ渡すから、先にアップグレ−ド
してみてくれ」
俺は小声で、そう言った。
「わかりました」
祐介は、パ−ツを受け取り、席に戻っていった。

これは、裏を返せば、
「先にアップグレ−ドして、注意点があれば、教えてくれ」
ということになる。
自分でも、『なんてヤツだ』と思う。
しかし、悔しいが、細かいコネクタ類の接続が、どうしても不安なのだ。
そして、マニュアル。
詳細に記述されているとはいえ、英語である。
できることなら、トラブルを未然に防ぎたい。
その点、祐介は、過去にDOS/V機を何台も自作しているとのことなので、経験豊富である。
ノウハウを盗むには、絶好の機会なのだ。
ちょっとだけ、罪悪感があったが、いきなり火傷をするよりは、熟練者に任せた方が無難だと、判断
した結果だ。
(作者注:物は言いようです)

その後、祐介は自分の机の上で、マシンを分解し始めた。
さすがに、手慣れたものだ。
思わず、覗きに行こうかと思ったが、今日中にしなければならない作業がある。
それに、祐介のお手並み拝見という気持ちもあった。
とりあえず、今は、おとなしく自分の仕事に専念しよう。
カタカタカタカタ.....。


第四章 ノウハウ−NO1−

その日の夕方。
「ちゃららちゃ〜んちゃん、ちゃ〜んちゃちゃ〜ん、ちゃららちゃ〜んちゃん、ちゃ〜んちゃちゃ〜ん」
ん?
スピ−カ−から、『WHITE ALBUM』が流れ出す。
「メ−ルか...。誰からだ...?」
俺は、誰に言うともなしに呟いた。
おっ?祐介からだ。
思わず、祐介の席を見る。
しかし祐介は、ただ黙々とキ−ボ−ドを叩いている。
なになに...。

『件名: M/B交換の注意点

題記の件、早速Mother Boardを換装致しましたので、気づいた点等をお知らせします。

(1)ケ−スに付属のCPUファンが力不足で、233MHzでは危険です。数分でBIOSが発熱を感知し、BEEP音
が鳴り出します。
現在、166MHzで動作させていますが、問題なく動いています。
200MHzでもOKかも?
→CPUファンは、別途購入した方が、宜しいかと存じます。
今日の定時後に、買ってくるつもりです。

(2)CPUを、あらかじめM/Bに取り付けてから、M/Bをケースに取り付けましょう。また、CPUファンを
CPUに取り付ける際は、Socket7の出っ張り部分にファンのツメがかからないように取り付けないと
いけません。

(3)M/B付属のCOMポートコネクタは、場所を工夫しないとケースに取り付けできません。M/B上のコネ
クタが邪魔になり、一番上とその次のスロットには付きません。

(4)Media BusがついているPCIスロットは使わない方が無難です。また、その周囲のスロットも避けた
方が良いでしょう。つまり、ISAは下のスロットから、PCIは上のスロットから使うのが良いでしょ
う。

(5)BIOSの設定で、ISAが使用しているIRQ、DMAはリザーブしておきましょう。
デフォルトではすべてPCI(もしくはICU)が使用できることになってます。

(6)私のマシンでは、PCIのVideo BoardのIRQがシステムに認識されませんでした。VideoのPCI Ver.が
古いからだと思われます。BIOSから強制的にVideoがささっているPCIスロットにIRQを割り当てるこ
とで正常に認識されました。ちなみに、IRQ 12を使用してみました。

(7)BIOSのメモリ関連速度の設定は、デフォルトで60nsになっています。70nsのメモリを搭載している
場合、BIOSも70nsに変更したほうがいいでしょう。

(8)SCSI BIOSがデフォルトでAuto設定になっています。そんなものは使わないので、BIOS設定で
Disableにするのがいいでしょう。

(9)M/B交換後、Win95が起動すると、さまざまなデバイスが認識されます。キーボードが101と誤認識
されますので、後程106に修正する必要があります。
Win95のCDを要求されますが、キーボードのドライバは「キャンセル」でもOKかと思います。
私は一応CDを使いましたが...。
また、PCIブリッジPCI ISAブリッジも正常に認識されませんので、適当に標準ドライバを組み込ん
でおきます。

(10)一度再起動すると、IDEのプライマリが認識されますが、再起動せず、IDEセカンダリも認識させて
から再起動したほうが時間の節約になります。

(11)M/B付属のCD-ROMに、PCIブリッジを正常に認識させるためのパッチが入っています。
「Patch for PIIX4 Chipset」というやつで、これを実行して再起動します。すると正常にPCIブリッ
ジ等が認識されます。
同じCD-ROMにBusMaster IDEのドライバも入っていますが、リアルモードのCD-ROMドライバが読み込ま
れる設定の場合、問題が生じるそうです。

明日以降、今度はビデオボ−ドを換装する予定です。

以上です。』

...。
読み終わった後、俺は絶句していた。
...なんじゃ、こりゃ?
430TXって、こんなに面倒だったのか?
しかも祐介のヤツ、マザ−ボ−ドを交換したのに、OSをインスト−ルし直さずに使ってるみたいだ。
ホントに大丈夫なのか?
マザ−ボ−ドを交換したら、必ずFDISKからやり直すのは、俺だけか...?
それにしても、ケ−ス付属のCPUファンを使わないというのは...。


第五章 ノウハウ−NO2−

その後、毎日のように、祐介からメ−ルが届いた。

一日目。
『M/B交換のその後

CPU FanをSANY○製のものに交換してみました。
233MHzでもOKのようです。
パソコンショップで\2,700くらいでした。』

ふむふむ。
まあ、これくらいは、しょうがないか。

二日目。
『みすち−く用ドライバ

題記の件、みすち−く用ドライバをダウンロードしました。

内容は、以下の通りです。
1677_380.exe 英語版ドライバ Rev.3.80 (シリーズ共通)
1677_381.exe 英語版ドライバ Rev.3.81 (みすち−く220用 MS WHQL認可)
M2375j.exe 日本語版ドライバ Rev.3.75

おそらくパフォーマンスは「英語版3.80」が一番と思われます。が、安定性では、
「英語版3.81」か「日本語版3.75」がいいと思われます。
「日本語版3.75」が一番無難な選択では?』

えっ?
ビデオボ−ド付属のドライバは、古いのか?

三日目。
『Video Boardも交換しました。

題記の件、Video Boardを みすち−く 220 に交換してみました。

ドライバは、「日本語版 Ver.3.75.017」を使用しています。
3〜4日使ってみましたが、大きな問題は起きていません。

小さな問題として、
「ネットワークにアクセスするときに2〜3秒フリーズすることがたまにある」
という現象が確認されています。(SQL Enterprise Managerで特に顕著です。)
2〜3秒待てばいいだけで、実害はありません。

このメ−カ−のVideo Boardは、PCIバスを占有する時間が長いらしいので、バスを占有する時間を
短くする設定として、SYSTEM.INIに
[MGA.Drv]
PCIChipSet=1
と記述しています。
もしかしたら、この設定が関係あるかも知れません。』

へえ...。
祐介も、なかなかやるもんだ。
よし、俺も、そろそろ挑戦してみるか。


第六章 実践

...とは言うものの、そう世の中甘くはなかったのである。
次の日、祐介の助けを借りながら、マザ−ボ−ド、CPU、ビデオボ−ドの交換を行ってみたのだ
が...。
マシントラブルが、続出。

第一に、BIOSロ−ド中に、ハングアップ。
とりあえず、組み上げて、電源を投入してみたのだが...。
BIOSロ−ドの途中で、フリ−ズしてしまう。
祐介いわく、
「BIOSのメモリ関連速度の設定が、速すぎるんじゃない?」
ならば...と、BIOSセットアップで、メモリ速度の設定を調べてみると、なるほど、確かに
『60ns』になっている。
これを、『70ns』に設定し直してブ−トしたところ、問題なく起動した。
しっかし、不思議だな...。ノンパリ32MB(60ns)のSIMMを2枚、取り付けたのに...。

第二に、ネットワ−クに接続できなくなった。
なんでやねん。
祐介いわく、
「使ってるLANボ−ドって、ISA?ISAの場合は、BIOS側で、使うISAスロットに、
LANボ−ドで設定されてるIRQを決め打ちしとかなきゃ」
や、やばい。
何番が割り振られていたのか、デバイスマネ−ジャで調べておけばよかった。
祐介いわく、
「普通は、IRQは3、I/Oポ−トアドレスは300が設定されているんだけどね。NE2000
互換の時は、大抵そうだよ」
ふう、もう一度、BIOSセットアップを起動し、LANボ−ドを差したISAバスに、IRQを
割り当てることで、解決。
う〜ん、ついつい、そのままPnPでいけるものと、勘違いしてしまう。

そして...。
二度あることは、三度ある。
第三に、ビデオボ−ドのMGAドライバ−をインスト−ルすると、画像が乱れるのだ。
祐介いわく、
「僕は、ビデオドライバ−と、DirectX5だけインスト−ルしてるけど、問題なく動作してる。
MGAドライバ−は、使わない方がいいかもね」
ううう...。
泣く泣く、MGAドライバ−をアンインスト−ルしたら、嘘のように動作が安定した。

さらに...。
第四に、『コンピュ−タの電源を切る準備ができました』画面が、グジャグジャに乱れる。
何を、どうやっても、乱れてしまうのだ。
これまた、祐介いわく、
「ビデオボ−ド以外のボ−ドを全部はずして、インスト−ルし直したら?」
ぢぎじょ〜、せっかくここまでセットアップしたんだ。そう簡単にクリアできるか〜!!
...結局、SCSIドライバをインスト−ルし直したら、正常動作するようになった。
なんでやねん。
ちゃんと、SCSIドライバは、デバイスマネ−ジャ上で、認識されていたのに。
祐介いわく、
「なんでだろうね」
それを聞いてるのは、俺だぁぁぁぁ−−−−−っ!!

結果的に、祐介がアドバイスしてくれた内容のほとんどに、つまずいた格好になった。
「あううう...、自己嫌悪...」
組み上がったマシンを前に、一人すねる、藤田浩之の姿があった...。


あとがき

今回は、会社の予算が余ったことにカコつけて、マザ−ボ−ド、CPU、ビデオボ−ドを買って
もらい、交換した時の話を、「TO_HEART」に乗せて書いてみました。
これは経験談ですが、同じお店で、店員さんに質問しながら、パ−ツを組み合せて購入する方が、
マシントラブルは少なく感じます。
それにしても、最近は、どこに行ってもATXのマザ−ボ−ドばっかり...。
BabyATのケ−スを使用している作者としては、複雑な心境です。

こ−ゆ−話だと、結構書けてしまうので、わずかなノウハウを、公開していこうと思います。