ほんとに即興小説 投稿者: hayahide
そう、あれは今日の午前10時ごろだったと思う。
僕はいつものとおり布団の中でただ時が過ぎるのを待っていた。

{何のためにこうして生きているのだろう}

腰が痛くなり動くのが嫌だったがしょうがなく寝返りを打つ。
すると腹のあたりに何か引っかかるものがあって、寝にくいのに気づく。

{なんだよ・・}

それは壊れた懐中時計であった。

{邪魔しやがって}

僕はそれをテレビの側にあるはずのごみ箱に向かって投げ捨てた。

しばらくたった。僕は目だけを起こし、天井を眺めた。

{今日ももう終わりかな}

ふと時計を見てみた。そこには時間の経ってない時計があった。
僕には何がどうなっているのか分からなかった。

あれからどれだけの時が経っただろうか。
まったく時計は動こうとしない。
どうでも良かった時間の流れに不安を感じ始めていた。

ふと投げ捨てた懐中時計の事を思い出した。
テレビの側に落ちている。
しかし立つのが面倒くさい僕はあきらめて眠りに就いた。

{おかしい・・}

また目を覚ました僕は窓のいつまで経っても沈まない太陽を見て
思わず上半身を起こした。
そして遂に懐中時計に手を伸ばしたのである。

{・・・・!?}

さっきまではぴくりともしていなかった懐中時計は確かに時間を刻んでいる。

{どういうことなんだ!?}

僕は訳が分からなくなった。
この懐中時計と僕だけが時を刻み、他のすべてのものは静止しているのである。

また時が経った。眠ればさめると思ったその夢のような状況は
何の変化も無いまま僕を受け入れた。

{戻りたい}

そんな想いが心を過ぎった、その瞬間懐中時計が時を刻むのを止めた。
そして壁に掛けてある時計から秒針を刻む音が聞こえてきた。

それから結局普段の生活に戻っていった。
ただ違うのは毎日学校へ行くようになったことと、
ポケットの壊れた懐中時計だけである。