重装甲陸戦兵器「ワイズ長瀬!」(五人で) 投稿者: HMR−28
リーフ軍陸戦用重装機動歩行兵器−「ワイズ長瀬」
五人のクルーによって操縦されるこの機体は、その火力による拠点制圧、
及び空挺による強襲任務などに幅広い用途に運用されている。
そしてこの機体はかの「大同人会戦」以降、戦火の拡大に伴い、
さらに増産されていくことになる…

この話はそれより前、「ワイズ長瀬」が実戦投入された直後、
ワイズ長瀬チームに一人の新兵が加わったことから始まる。

そしてその新兵の名は…「長瀬祐介」

−重装甲陸戦兵器ワイズ長瀬− 
     
      第一話
    
    「戦場の掟」
−ディクセン橋本荒野に散る−

―ワイズ長瀬操縦室内
【セバスチャン隊】隊長セバスチャン軍曹が祐介を前に訓辞を行っている。

「いよぉっし、良く来おった新兵!
 貴様は今日からこの『セバスチャン隊』のクルーとしてワシの指揮下に入る!
 分かったか!」

「はい、分かりました!」

「馬鹿者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

いきなりセバスチャン曹長謹製のギャラクティカファントム(ガード不能)が
祐介の腹部に容赦なく炸裂する。

どかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!

爆裂炎上して吹っ飛ぶ祐介。

「戦場での返事は『イエス・サー!』
 それ以外は不許可じゃぁぁぁぁ!」

拳を放ったままの変なポーズで涙を流しながら力説するセバスチャン曹長。

 めきょっ!

「貴重な補充要員をいきなり再起不能に陥れてるんじゃねぇよっ!」

藤田浩之操縦士の踵ツッコミがセバスチャン曹長の後頭部にめり込む。

「ぐぉ! 
 貴様このわしの風光明媚な後頭部に踵を入れよったな!」

「意味不明な妄言を吐いてないで、
 もう少し真面目にやってくださいよこの天国ジジィ」

ちょっぴり過激な言動を吐いている七瀬彰観測員。

「曹長、早く出撃準備整えておかないと
 いつ司令部から命令が飛んでくるか分からないですよ。」

そして比較的常識人にしてこのチーム唯一の良心である「鬼」、柏木耕一副長
以上五人がこの重装甲陸戦兵器「ワイズ長瀬」のクルーである。

「とりあえず祐介君の現状がかなり永遠の世界寄りで大変なんですけど…」

彰が完全に気を失っている祐介を助け起こしながら言う。

「むむ! それはいかん! この儂が今すぐとどめを!」

めきょっ!
またしても浩之ハンマーヒールがセバスチャンに後頭部にめり込む。

「ぐぉぉぉぉ!真っ赤な血ィが!?」

「一体新兵を何人軍隊病院に送れば気が済むんだこの暴力大将!」

「なにを若造がっ! このぐらいの打撃に耐えきれんで何が軍人かっ!」

「明朝未明に密室で冷たくなって発見されたくなかったら止めましょうね、
 二人とも」

クロロフォルムを手にした彰が笑顔で告げる。
そしていつもの二人がいつものように乱闘を始めようとしたその時。

「曹長!」

「なんじゃ!柏木副長」

「司令部より入電!
 所属不明の機動歩兵が一機、単独でこの基地に向かって進んでいるようです!」

「ううう…」

同時に目を覚ます祐介。

「がははは!
 新兵!お前は運が良い!
 この儂の一撃を耐えたうえ配属5分にして初の実戦だっ!
 さあ!出るぞぉっ!」

『イエス・サー!』

「え?え? 
 何がどうしたんですか?」

事態はいつも主人公の思惑とは関係なく進んでいく。
そう、それは主人公に与えられた運命なのか…

…そしてまたここに運命に弄ばれた戦士が一人。


−アイキャッチ−
重装甲陸戦兵器「ワイズ長瀬!」(五人で)
−アイキャッチ−


リーフ軍前線基地東−月島荒地

ドウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!

盛大な土埃を巻き上げて「ワイズ長瀬」のその巨体が空挺機から地面に降り立つ。
そしてその機体各所から振動が始まり、煙を吹き出す。
今、完全に重装甲陸戦兵器「ワイズ長瀬」はアクティブ状態に移行した。

「コンディション・オールグリーン!
 第一臨戦レベルに移行しました!」

「所属不明機捕捉!現在地より南東7Km、こちらに向かって移動しています。
 接触まであと180Sec!」

「がはははは、向こうの方からやって来るとは殊勝な奴!
 新兵、初めての実戦だ! 用意は良いか!?」

「イ、イエス・サー!曹長!」

緊張しながらもなんとか所定位置に付いている祐介。

「びびるなよ新兵!
 この『ワイズ長瀬』の操縦は一筋縄じゃいかねぇぜ!

メインコントロールパネルの前に座っている浩之操縦士が、
手早く計器を確認しながら言う。
 
「もちろんやれます!」

「よっしゃぁ!いい返事だ!
 戦場では怖じ気づいた奴から死んでいく、そのことを良く覚えて置け!」
 やらなければお前がやられる!」

「イエス・サー!」

「曹長!敵を肉眼で捕捉!
 所属、形式共に不明!
 どうやら敵の新型か試作機のようです。」

「新型か… 
 こいつは厄介だな…」

「副長!気にすることは無いぞぉっ! 
 この百戦錬磨常勝将軍セバスチャン曹長の手にかかれば
 そんなもん爪先一つでダウンじゃぁぁぁぁ!」

「実際にやりかねないところが怖いなぁ…」

「曹長で将軍ってのもなんかダメダメだな」

「っていうかこんなのを隊長に据えるようじゃうちの軍もそろそろ終わりですね」

各方面からの厳しいツッコミ。

「あのー、もう敵機、攻撃態勢に入ってる見たいなんですけど…」

祐介の遠慮がちなツッコミ、
そしてその直後荷電粒子の帯がワイズ長瀬を直撃した。
直撃を受けた機体がバランスを崩し激しく傾く。

「ぐぉぉぉぉ!
 七瀬観測員!貴様何を見ておったぁぁぁぁぁぁ!」

「いえ、あまりに夕日が綺麗だったので」

「コロス!」

「曹長、敵機から通信が入ってます。」

「繋げ!」

柏木副長がコンソールを操作すると、
機内スピーカーから多少乱れた音声が聞こえてきた。

「セバスチャン隊の馬鹿クルー共!
 借りを返しに来てやったぜ!」

「おお…橋本先輩じゃねぇか、まだ生きてたのかよ」

「浩之か…この間は機体の性能で不覚をとったが、今回はそうはいかんぞ!
 この新型特務機兵『ディクセン橋本』でな!」

「なんか人のことは言えない気がするが、このネーミングどうかならないのか?」

「ダメです!、名字しか無い人の前で名前の話題は禁句です!」

「黙ってりゃぁぁぁぁぁぁ!」

ディクセン橋本が会話を中断して攻撃を仕掛ける。
機体背部のランドセルから薄紅色の輝きを放つ荷電粒子剣を抜き、
それを振りかざし突進する。
機動性で劣るワイズ長瀬はそれを正面から受け止める。

「ぐはははははぁぁぁ!
 効かんなぁぁぁぁ! 
 新型機をもってしてもその程度か若造がっ!

「ちっ!」

一旦飛びすさり距離を取るディクセン橋本。

「それならば次はこっちの番じゃ!
 新兵!
 長瀬ブレイカー用意!」

「やらなければならないのか…
 長瀬ブレイカースタンバイ!
 目標捕捉!」

「よっしゃぁぁぁぁ!
 突撃!!!」

ワイズ長瀬のホバースラスターが鈍い唸りを上げる。

「そんなものが当たるかよっ!」

即座に回避行動を取る橋本機、
しかしそれに対してワイズ長瀬がその巨体からは想像できない速度で殺到する。

「何!?」

グシャァァァン!

ディクセン橋本の胴体に鋼鉄の杭が貫通する。

「目標完全捕捉!」

「よし!
 良くやったぞ新兵!」

ドンドンドンドンドン!

二段三段と鋼鉄のパイルが深く撃ち込まれる。
完全に捉えられている橋本機は身動きすらできない。

「っしゃぁぁぁぁ! 仕上げだっ!」

ブゥン!

そしてそのまま空高く放り投げられ、頭部から地面に墜落する橋本機。
だが致命的と思えたそのダメージにもめげず立ち上がる。

「死ねるものかぁっ!」

「ふん、根性だけはあるようだな若造!」

「まだまだこれからだ!
 脇役には脇役の意地ってもんがあるところを見せてやるぜ!」

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!

ディクセン橋本の機体から無数のサテライトが射出される。

「食らえぇぇぇ!
 『真・脇役の意地』発動!」

橋本機の周りに浮遊していた無数のサテライトが共鳴を始める。
そしてそれらの共鳴が最高潮に達したその時…

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!

橋本機が白い蒸気を出してハングアップした。

「な!?しまったぁ!
 『真・脇役の意地』は同系機のディクセン矢島と
 シンクロさせなければ使えないんだったぁぁぁぁぁ!」

「いやぁ、非常に分かりやすい狼狽の仕方ですね」

七瀬観測員が朗らかに言う。

「丁度良い!
 おい新兵お前の出番だっ!
 DGシステム起動!」

「えーと、出来たらあまりこういう非人道的なシステムはあまり使わない方が…」

「この馬鹿者がぁ! 
 貴様訓練校で一体何を習ってきた!」

「ハウトゥ電波であります!サー!」

「ならば今がそのときだ!
 遠慮せずにやりまくれぇぇぇぇぇ!」

「イエス・サー!!!」

半ばヤケになりながら祐介がDGシステムを発動させる。
ちなみにDGシステムは「電波でGo!」システムの略らしい。

「DGシステム発動!」

ちりちりちりちりちりちりちりちりちり…

「ぐぁぁぁぁぁ!」

橋本の意識が真っ白な光の奔流に流される。
そして…

「ここは?」

橋本が目を覚ますとそこは二本の分かれ道だった。
自分の後ろは行き止まりであり、進むにはその二本の道以外にない。
そしてその左右二本の道にはそれぞれ立て看板があり、
それぞれこう書かれていた。

「1−浩之にのされる」
「2−志保にのされる」

「なんだこれはぁぁぁぁぁぁぁ!?」

頭に手を当てて狼狽する橋本。
気づくと目を閉じて無茶苦茶に走り出していた。
…どれほど走っただろうか、極度の疲労を覚えて立ち止まって辺りを見てみると、
またしても分かれ道だった。
そしてそこには、

「1−浩之にのされる」
「2−志保にのされる」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

−変わってワイズ長瀬操縦室内

「どうだ、成功したか?」

「恐らく…、今頃彼は真っ白になってることでしょう…」

どこからともなく機械っぽい音声で『精神強度が低下しています!』という
ナレーションが聞こえてくる。

事実橋本はディクセンコクピット内で、ホセ戦のちのジョーよろしく放心していた。

「燃え尽きたよ…真っ白に…な…」

そしてさらに機械っぽい音声で『精神が破壊されました!』というナレーション。

「さらば、橋本先輩」

浩之が憐れみを込めた声で言う。

「さぁ、とどめじゃ!」

「まだやるんですか!?」

「これぐらいで敵を倒したと思うな! 
 戦場ではその油断が命取りになるんじゃ!」

「戦場って言うかなんていうか人間としてやっちゃいけないような気が…」

「てりゃぁっ!」

バキィ!

セバスチャン曹長の裏拳が祐介を沈黙させる。
 
「セバスチャン砲発射用意!」

セバスチャンが叫ぶ。

「セバスチャン砲、展開準備開始!」

各クルーがそれに従って発射プロセスを開始する。

「セバスチャン砲って…なんなんですか?」

裏拳のダメージから立ち直った祐介が周りを見渡して柏木副長に聞く。

「超常現象だ」

「は?
 …それにセバスチャン曹長はどこにいっちゃったんですか?」

「今に分かる」

「はぁ…」

全く分かっていなかったがとりあえず生返事を返す祐介。

「敵機完全捕捉!ターゲット固定!」

「セバスチャン砲スタンバイ完了!」

『良し!撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』

機内スピーカーからセバスチャン曹長の声が聞こえてきた。

「発射!」

その声と同時にワイズ長瀬の上部にある主砲塔から、強烈な光が橋本機に向かって飛び出す。
そしてその強烈な光に包まれ、
橋本機に向かって一直線に超高速で飛んでいる物体こそ…

「かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつ!」

拳一つを構え突撃するセバスチャン曹長その人であった。

「ちゅ、中条長官…」

意味不明の呟きを発する祐介とは関係なく、セバスチャン砲は橋本機中央を貫通した。
そして遅れてきた衝撃波が機体に衝突する。
爆裂四散する橋本機。

「容赦など…無い!」

炎上する橋本機を背後に、ポーズを取ってセリフを決めるセバスチャン軍曹。

「こんなのって…おかしいですよカテジナさん!」

完全に混乱して意味不明なことを叫ぶ祐介。

「まぁ、そのうち慣れるから安心しろ」

戦場に吹く風は固く、そして冷たかった。

     次回予告
       
最前線、来栖川要塞でセバスチャン隊を待ち受ける巨大な影とは!?
次回、謎の光の巨人が猛威を振るう!

−重装甲陸戦兵器ワイズ長瀬−
     
     第二話
  「戦え!パル志保ン」

…すいませんもうやりません

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…というわけでいきなりとち狂ったものをかいてしまいました(^^;
しかもパロディー元がかなりマイナー(^^;
パロディものは好きなんですけど書くとなるとい全然ダメですね(/_;)
もっと精進せねば…

PS 他にも「鋼鉄冥土マルチオー」とか「夢幻合体クルスガワV」とか
   「魔法の国の琴音ちゃん」とか(爆)

http://www.08.alphatec.or.jp/~kouhei/index.html