修学旅行2 枕なげ、彼がそこで見たもの 投稿者: GOTO

「ぱんぱかぱーん、またやってまいりました。修学旅行記念枕なげ大会実況はまたまたわっ」
「あっ、大丈夫?解説は、ぶっ」
 流れ枕が司会の2人に当たる。
 そう、ここは戦場。気を抜いた奴がやられる苛酷な戦場だ。
 その荒れ狂う戦場を1人司会者達のもとへ向かう女子学生が1人。
 その正体は?
 ・
 ・
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 やっぱり志保なんだな。
「やめろー!志保。そいつらはもうだめだ!もどれー!」
「いやよ、私は決してあきらめないわ!私は……」
 激しい枕撃に俺は身を屈めて祈る事しかできなかった。
「志保ー!!」
「私は……」
 志保は司会者からマイクを奪う。
「歌うの!!曲番1275A-06!!いくわよ!!」
 ボンッ
 無情にもその瞬間に枕が志保を襲った。
「負けない、私は負けないわ!ブランニュウ……」
 ボンッ
 ボンッ
 ボンッ
 ボンッ
 ボゴッ
 志保は集中放火を受けて、その場に倒れる。
 ついでに最後のボゴッは俺の投げた枕。
 苛酷な戦いだ……。
 俺は他に生き残りがいないか周りを見る。
 部屋の片隅で猛烈な火花を散らす2人がいた。
「私は負けません、私を信じてくれる人のためにも……」
 琴音ちゃんだ。
 その周りを枕がビットの様に飛び交っている。
「……」
 その向こうには来栖川先輩がいつもとかわらぬ表情で立っている。
 ただ、たまに誰もいない所にむかってぶつぶつと呟いている。
「勝負!!」
 琴音ちゃんのビット枕が動く。
「速い」
 目を疑った。
 あんなの避けられるものじゃない!
 枕が来栖川先輩の目前に迫る。
 ボンッ
 枕は来栖川先輩の体に触れる前に全てたたき落とされた。
 まさか? 幽霊部員が?
 俺の予想は正しかったらしく、落ちた枕がまたふわーと宙に上がり、
「……」
 来栖川先輩の合図で今度は琴音ちゃんへと向かう。
 しかし、その枕も琴音ちゃんに届かずに空中でぴたりと止まる。
 この勝負、ほぼ互角! 一体どう決着がつくのだろう?
 俺がそう思い始めた時だった。
 2人にむかって矢のついた枕が飛んでいく。
 ボンッ
 ボンッ
 いとも簡単に2人に当たって2人とも同時に倒れた。
「なっ!」
 振り返るとそこには、
「フふっ、やったネ。」
 レミ−?
 やばい!そう俺が思った時にはもう遅かった。
「おっと、逃がさないネ、大人しくするといいよ。ふふっ」
 レミ−は俺に枕のついた矢を向ける。
 なんであんなのが飛ぶんだ?絶対おかしい!と考えている暇はない。
 俺は、
「あっ」
「そんなのにひっかかる私じゃないネ、覚悟するといい、がっ!」
 レミ−の後頭部に後ろから飛んできた枕が当たる。
 あーあ、言ったのに……。
 気を失って前に倒れるレミ−。
 その後ろには……。
「マルチー!!」
「ヒロユキさーん!!」
「マルチー! マルチ−!」
「ヒロユキさん! ヒロユキさぁーん!」
「マルチー! マルチ−! マルチ−!」
「ヒロユキさん! ヒロユキさぁーん! ヒロユキさぁーん!」
 こんなもんでいいだろう?
「ヒロユキさん、誰に話してるんですか?」
 近くに来たマルチが不思議そうに俺に話し掛ける。
「いや、誰にも……、ところでマルチ助けてくれてサンキュな」
「そんな事……ないです(きらーん)」
 なんださっきの目きらーんは?
「だって人気ランキングで1位は私、2位あかりさん、3位はこのレミ−さんでしょ」
「そんなじゃあさっきの枕攻撃は?」
「決まってるじゃないですか。出る杭はうたれるんですよ、ヒロユキさん」
「そっ、そんな!!」
「ふふ、ヒロユキさん、私はいままでのマルチじゃないんですよー」
「じゃあ、どこらへんが違うんだ?」
「えっ、ええーっと」
「当社比で言うとどれくらいだ?」
「そ、そんなことこの台本にはのってませーん」
 マルチは俺が影で手渡した台本を一生懸命探す。
 うーん、アドリブの利かない奴だな。
「ところでヒロユキさん、これから温泉入ってきませんか?
ここの旅館温泉なんですよー!」
 突然マルチが言うのでびびってしまった。
 だってここは戦場……。
「じゃあ、行こうか? マルチ」
「はい! でもいいんですか? この部屋こんなに散らかってますけど……」
「いいよ、いいよ。行こ行こ!」
「はい!」
 そうだった。ここは旅館だった。
 旅館といえばまだやることはいっぱい残っている。
 俺の夜はまだ明けない。
 そう、新たな戦場が俺を待っている。


                               おわり




「そんなシュートをかけるなんて!」
「違う!奴は天才なんかじゃない」
「私は来栖川の名にかけて負けるわけにはいかない!来るがいいわ」
「力だけでは勝てない……」
「散り急ぐか? よかろう、勝負してやろう。いくぞっっっっっっっぉぉぉぉぉ!」
「うおおおおおおおおお!!」
 俺の前に突然現れた老人。
 彼は俺に力とは何かを教える。
 悪霊にとりこまれたマルチを助けるために……。
「私のこの想いはきっと受け継がれます。ヒロユキさん……」
「そんなの、そんなの悲しすぎる!! マルチー!!」
 次回  悲しみの果て、そして、温泉卓球
「あなたに、心届きますように……」
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修学旅行シリーズ2作目でーす。
ってシリーズ化だったのか?あれ?違った?
とにかく2作目です。
テンションだけでぼろぼろですねこれ。
しょんぼりです。
でも、ここまで読んでいただけてもう感謝感激です。ありがとうございます!
これからもがんばります!!

感想!!
八塚崇乃 さん トライガンかっこいいですよね!!
とっ、はじめまして!ベテランさんですよね!いままでいろいろと楽しく
読ませていただきました。よろしくおねがいします。

ESP さん 同じくはじめまして!!よろしくお願いします!!
いいですね、あかりと浩之ちゃんの結婚式!
別れちゃう方も物悲しくていいです。
桜って春って花ですけど物悲しいの代名詞にもなりますよね!

DMaster J さん  同じく同じくはじめまして!よろしくです!!
いいですね!そのテンション。
見習わなくては……いや、見習わさせてもらいます。

それでは!!!