えせ・ほわるば 投稿者:Hi-wait
<舞台1 悪魔>

「青年」
 この呼び方は間違いない、英二さんだ。
「ちょっと、いいか?」
「はあ……」
 ちょっといいか、と言われても……
「うん。君に、悪魔と戦ってもらいたい」
 ………………
「はぁ?」
「つまりだ。はるか昔、デーモンと呼ばれる一族がこの地球にいた。彼らは、もう
一度この地球を自分のものにしようとしている。彼らの超能力に対抗するには、
我々も悪魔の力を身につけるしかない。……協力してくれるね?」
「………………」
「俺が今まで一人で戦ってたんだが、どうも分が悪い」
「ってことは……」
「ああ。俺は、悪魔の力と人間の心を持つもの、悪魔人間なんだ」
「そうっすか……じゃあ、悪魔の翼は?」
「洗濯中だ」
「じゃあ、ビームは……」
「電池切れ」
 このとき、俺の脳裏に、あの名曲が流れた。

          デ○ルウイングは洗濯中 ○ビルビームは電池切れ
          デビ○カッター錆び付いて……

<舞台2 ミステリー>

「ドラマ出演?」
「うん」
 俺のあげた驚きの声に、由綺は嬉しそうにうなずいた。
「へー、すごいじゃないか。で、なんの役なんだ?」
「警部さんだって」
「警部? 警部って、あの警察の?」
「うん。十津○警部って言う名前の人」
 十○川警部って……
「あの……由綺? それって、誰のキャスティング?」
「英二さん」
 その時、俺のアパートのドアがいきなり開いて、英二さんが入ってきた。
「やはり、推理小説はトラベル・ミステリーだろ。な、青年?」

          何考えて生きてんだあんた?

<舞台3 透明人間>

 今日は、『エコーズ』でバイトだ。
 喫茶店の前に立つと、中から何人かの声がした。
 えーと、由綺と……理奈ちゃんと……弥生さんと……英二さんだな。
 みんな、結構ここに来てるんだな。
 そう思ってドアを開けた俺が見たものは……
 黙々とグラスを拭いている、マスターだけだった。
「……マスター、今誰かいませんでしたか?」
 マスターは、ゆっくりと首を横に振る。
「そうですか……」

          マスターの一人芝居かはたまたドッペルゲンガーか?
          謎は深まる……

                   <おはり。続かない、多分>