―戦― 投稿者:Hi-wait
 俺が千鶴さんから呼び出しを受けたのは、ある日のことだった。
 今日の午後4時に、鶴木屋会長室まで来い。
 それだけを言って、千鶴さんは出かけていった。
 はっきり言って、俺は千鶴さんに恨みを買うようなマネは、(多分)一度もした
ことがない。
 だから、今回の呼び出しもほとんど心当たりがなかった。
 俺は不審に思いつつ、鶴木屋に向かい歩いていた。
 すると・・・
「耕一お兄ちゃん?」
 初音ちゃんの声が、後ろから聞こえてきた。
「お兄ちゃん、どうしてこんなところにいるの?」
 俺も知りたい。
「初音ちゃんこそ、どうしてこんなところに? 家と方向が違うよ?」
 俺の言葉に、初音ちゃんは、
「あのね、千鶴お姉ちゃんが、4時に鶴木屋に来いって言うから・・・」
 俺はさらに混乱した。
 何で初音ちゃんまで呼ばれてるんだ?
 俺が千鶴さんの風呂を覗こうとしたときには、初音ちゃんはいなかった
し・・・って、ちょっと待った! 今のオフレコ!
 え? もう遅い?
 参ったなぁ・・・
 コホン。気を取り直して。
 初音ちゃんと俺を同時に呼ぶなんて、千鶴さんは何を考えてるんだ?
 そんなことを考えながら俺と初音ちゃんが歩いていると。
「耕一さんに、初音?」
 おいおい、勘弁してくれよ。
「楓お姉ちゃん!」
 そう。
 そこにいるのは、楓ちゃんだった。
「まさかと思うけど、楓ちゃんも千鶴さんに・・・?」
「はい。4時に鶴木屋にって・・・」
 なんてこった、楓ちゃんまで・・・
 しかし、いくら三人で考えても、答えは思いつかない。
 俺は、「三人寄れば文殊の知恵」という諺は嘘か、さもなければ弘法大師という
坊さんは大した知恵がなかったかどちらかだと悟った。
 結局、結論が出ないまま俺達は鶴木屋に到着したのだった。

「みんな、梓のことをどう思う?」
 それが、千鶴さんの最初の一言だった。
「はぁ・・・」(俺)
「・・・・・・」(楓ちゃん)
「えーと・・・」(初音ちゃん)
 何も言えない俺達。
 だが、千鶴さんは、そんな俺達に構わずに先を続けた。
「梓って、もう少しおとなしくした方がいいと思わない?」
 思う。とてもよく思う。
 けど無理だ。
 そんな俺の表情を読みとったのか、千鶴さんはずいっと前に出ると、
「そこでっ!」
 声を張り上げる。
「梓に、もう一度セイカクハンテンダケを食べさせよう!」
 そこまで言って、一人でわーっと拍手した。
「・・・・・・」
 俺達は、そんな千鶴さんを黙ってみていた。
「な、何? 姉さん、そんなに変なこと言った?」
 うろたえる千鶴さん。
 俺が代表して答える。
「いやさ、千鶴さん。梓の性格に関しては、俺も全くその通りだと思うけ
ど・・・」
「でしょう!」
 ずずいっ。
 俺は一歩引きつつ、
「でも、どうやって梓にセイカクハンテンダケを食わせるわけ?」
 すると、千鶴さんは、
「だからみんなに来てもらったんじゃないですか!」
 にっこり笑って言った。
 要するに、俺達に作戦を考えろってことか・・・
 なんだか、急に疲れが出た。

 作戦その1(以下、会話のみでお送りします)
耕一「まず梓に睡眠薬を盛って眠らせて、その隙に・・・」
初音「お兄ちゃん、どうやって梓お姉ちゃんに睡眠薬のませるの?」
楓「それが出来るなら、最初からセイカクハンテンダケを煎じて飲ませた方
が・・・」
耕一「そうか・・・」
                     作戦その1、失敗。

 作戦その2
千鶴「そうだ。よく考えてみたら、梓の代わりに私が食事の・・・」
耕一「絶対駄目!」
                     作戦その2、検討するまでもなし。

 作戦その3
耕一「材料の中にこっそりとセイカクハンテンダケを・・・」
初音「でも、材料買うの、梓お姉ちゃんだよ」
耕一「やっぱり駄目か・・・」
                     作戦その3、失敗。

 作戦その4
耕一「何か、梓にセイカクハンテンダケを食わせるいい方法はないかな・・・」
梓「ほう、あたしに何を食べさせるって?」

(ここから、再び耕一の一人称に戻ります)

「あ、梓?」
 俺はいきなりの梓の登場に、驚いて後ろを振り返った。
「耕一、どういうこと? あたしにそんなもの食べさせて、どうしようって言う
の!」
 梓のものすごい剣幕に、俺の視線は千鶴さんの方へ向く。
 なぜか、初音ちゃんと楓ちゃんの視線も千鶴さんの方に・・・
「え? 何でみんな、私の方を見てるの?」
 一人おろおろする千鶴さん。
「千鶴姉・・・どういうことか、説明してっ!」
「えっとね、梓・・・これには、いろいろわけが・・・」
「だから、そのわけを説明してっ!」
「え・・・えーと・・・」
 梓と千鶴さんが言い合っている間に、俺達はこっそりと部屋を出ていった。
 二人の声(特に梓)は、しばらく聞こえていた・・・

 帰り道、初音ちゃんがぽつりと言った。
「ねえ、私が梓お姉ちゃんの手伝いをしているときに、こっそり入れたらいいん
じゃないかな・・・?」
「・・・・・・」
 俺は、何も答えなかった・・・

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 どうも、こんばんは。(謎)
 なんだか、僕のことを脅迫したと思っている方が多いようですが・・・
 僕自身は、全くそんなつもりはありません。
 ただ、「痛」はあれで良かったのかな、と思うと、書いた方がいいような気がし
て・・・(嘘。本当はひなたに怒られた)
 そう、ひなただ!
 奴が、僕に「続き書かなかったら呪殺する」って言ったんです(責任転嫁)
 だから、別に脅迫したとかそう言うことは気にしないで下さい。
 では、この辺で。
 「Lメモって、どうやったら出られるのかいまいちよく分からない」Hi-waitでした。