機動戦艦ヨーク 作者:Hi-wait
「平和ですねー・・・」
 艦長用のシートに腰を下ろし、千鶴は呟いた。
「どうしたの、お姉ちゃん?」
 千鶴のつぶやきに、初音が返事を返す。
「今日は敵ヨークもいないし、これで耕一さんと二人だったら・・・」
 なんか妄想に入っている千鶴である。
「姉さん。耕一さんなら、部屋にいると思うけど?」
 さすが楓。妄想にまともに受け答えをしている。
「あ、そう? じゃあ、ちょっと様子見てくるから、あなた達後お願いね」
 そう言いながら千鶴は、もうブリッジからいなくなっていた。
「・・・速い」
 思わずそう呟く楓であった。

「ふははは、ここまでのようだなデンパーチームよ。この月島拓也の手に掛かって死ねることを、光栄に思うがいい!」
「そんな・・・もうここまでなの?」
「瑞穂ちゃん、諦めちゃ駄目! 一か八か・・・あれをやろう!」
「あれ・・・うん、分かった!」
「月島さん、いい?」
「・・・いいよ」
「行くよ!!」
「インフィニティ・スパーイク!」
 どかぁぁぁぁぁぁぁっ!

「・・・またゲキ・デンパーですか?」
 いきなり後ろから聞こえた声に、耕一はあわてて後ろを振り向いた。
「・・・千鶴さん」
「面白いんですか? そんなに」
「うん。よく分からないけど、燃えるんだ」
「そうですか・・・」
 千鶴は寂しげな笑みを浮かべ、
「そろそろお昼ですよ。食堂に行きません?」
 そう言った。

「梓センパーイ☆」
「うわ、やめろって、かおり!」
「・・・・・・・・・・」
 食堂には先客がいた。
 耕一と千鶴は、呆れて声も出ない。
「・・・千鶴さん・・・」
「・・・そうですね・・・」
 邪魔をしてはいかんと、二人が回れ右をしたその時。
「姉さん、エルクゥの反応があるわ」
 通信機から、楓の声が聞こえてきた。

「おそらく、敵ヨークは一隻だ。よって、作戦は短時間での遂行が望ましい。各エルクゥバリス・パイロットは戦闘態勢に入り、いつでも出撃できるようにしてくれ」
 長瀬(刑事)から短い指示が飛ぶ。
 耕一は、ぼーっと天井を眺めていた。
「ほら、耕一! 何ぼーっとしてるの? あたし達も、出撃準備にかからなくちゃ!」
 梓が、耕一の後ろから声をかけた。
「・・・梓か。あまり食堂でああいうことはしない方がいいぞ」
 たちまち、梓が真っ赤になる。
「み・・・見てたの?」
「見てた」
「あ・・・あれはかおりの奴が勝手に・・・」
「その割には、お前もまんざらじゃなさそうだったぞ?」
「・・・・・・」
「二人とも、その辺にしておけ」
 さらにややこしい奴が後ろから現れた。
『柳川!』
 梓と耕一の声がハモる。
 何か耕一が言い返そうとしたとき。
「敵ヨークから、機動兵器射出を確認。エルクゥバリス隊は、直ちに出撃してください」
 楓のアナウンスが、三人の耳に入った。
「・・・戦闘が終わったら、絶対に殴る!」
 梓の宣言に、柳川は、
「ふん。楽しみにしている」
 そう言って、背中を向けた。

 敵の機動兵器は、厄介だった。
 一機一機の力はさほどでもないのだが、何しろ数が多い。
 ちまちま破壊していったのでは、とても間に合わなかった。
「駄目だ、耕一! 数が多すぎる!」
「くそっ! これじゃ、キリがない!」
 いろいろとわめきながら、機動兵器と戦っていた耕一だったが、ふと違和感を覚えた。
 柳川が、さっきから動いていない。
「おい! どうした、柳川!」
 耕一の呼びかけに、
「ふふふ・・・同族の命の炎は、どれほど美しいのかな・・・?」
 帰ってきたのはつぶやきだけだった。

「柳川機、制御不能!」
「駄目! 『鬼』の力に飲まれている!」
 喧噪に包まれたブリッジの中で、長瀬がぼそりと呟いた。
「・・・どうします、柏木さん?」
 千鶴の決断は早かった。
「各エルクゥバリス、戦闘空域から脱出してください! 収束レーザーを使います!」
「けど、それでは柳川機が!」
 叫んだ楓に、
「・・・楓。あの人は耕一さんを殺そうとしたのよ?」

 どっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!

 ・・・めでたし、めでたし。

----------------------------------------------------------------------

 どうも、初めまして。
 最初っから、こんなイッちゃってる作品ですが、僕がすでにレギュラーと化した、風見ひなたの友人です。(爆)
 乏しい文章構成力を絞って、何とか書き上げました。
 よろしくお願いしますm(_ _)m