Sabotage 投稿者:Fool
 たまには『ほのぼの』系を…。
 でもありがちです。被ってたらゴメンナサイ…。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 良く晴れた、ある日の昼下がり――。



 桜の花が終わっても、春の日差しは優しいのです。
 ですから、青々とした葉を付けた樹の脇にあるベンチの上で、女の子に膝枕
をされながら寝転がり、暖かい風に揺れる梢越しの太陽なんか眺めたりしてい
ると、やっぱり眠くなってしまいます。
 そう、丁度こんな風に…。



「ああ〜幸せだ〜…。俺は三国一の果報モンだ〜…」
「そらよかったな…」

 ゴロゴロとまるで子猫のように、浩之は智子の膝枕を堪能しています。
 一方、膝枕をしてあげている智子は、手にした文庫本に目を落としながらク
ールに答えます。

「うにょ〜、智子ちゃ〜ん…」
「っとに…。まるっきり子供やな…」

 俯せになったり、頬を擦り付けたりと、浩之はまるで幼子のようです。
 智子は少し呆れたように呟きながら、本のページをめくります。

「男ってのは、好きな女の前ではガキになるのさ…」
「え?」

 先程までの行動が嘘のように真面目な顔で言う浩之に、智子の心臓が一回ド
キンと跳ね、彼女の指が止まりました。

「藤田クン、今なんて…」
「あ〜なんか眠くなっちゃったな〜。おやすみ、智子…」

 クークーと、わざとらしい寝息を立てながら瞼を閉じる浩之。
 残された智子は、嬉しいような困ったような顔で「もう…」と笑いました。



 それからどれくらい経ったのでしょうか? いつしか浩之の立てる寝息は規
則正しいものとなり、智子もこっくりこっくりと船を漕ぎ始めました。



「あふぅ…。なんや、私も眠うなってきた……」

 欠伸を一つすると、智子は読んでいた文庫本に栞を挟み、自分の腿を枕に眠
る浩之の頭を撫でました。

「おやすみ、浩之…」
「んふふ…」

 智子に頭を撫でられ、浩之は楽しそうに笑いました。



 キーンコーンカーンコーン…。
 キーンコーンカーンコーン…。



 五時限目の予鈴がなりました。

「えー次、藤田」

 教室では教師が出席を取っています。

「あれ? 藤田ー。…藤田はいないのか?」
「先生、保科さんもいません」
「なんだ!? 藤田だけならともかく保科もか!? しょうがないな…」
「きっと、この陽気だから何処かで居眠りこいてんじゃん?」
「ありえる〜」
「そうだな…。じゃ、いっそのこと五時限目はみんなで居眠りするか?」
「ヒュー! センセー、話わかるぅ〜!!」
「馬鹿、嘘だよ!!」
「ちぇっ! なんだよー」

 アハハと教室から笑い声が漏れました。



 中庭に備え付けてあるベンチの上、少女に膝枕をされながらすやすやと眠る
少年。
 少年の頭を腿に乗せ、背もたれに寄りかかりながら可愛らしい寝息を立てて
いる少女。
 木漏れ日に包まれて眠る彼らは、一体どんな夢を見ているのでしょう?
 ただ言えることは、二人の寝顔はとても幸せそうだということです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 初めてだ、この手のSS書くのは…。