Fool版SS補完計画『瞬獄殺に想いをこめて』 投稿者:Fool


 無口さん、UMAさん、久々野さん…ネタ借ります。
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 私の名前はFool…。

 人呼んで『笑ウ狩猟者』…。

 只の狩猟者じゃございません…。

 私の狩る獲物は作品…。

 色々な作品のパロディでございます…。

 さて、今回の作品は…。


           『射手座に願いをかけて』 原作:無口の人


 オ〜ッホッホッホッホッ…。


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 滅殺あかりさんの唄(新OP TVサイズ)


 ♪あれは誰だ? 誰だ? 誰だ?

 ♪あれは滅殺 滅殺 あかりさん

 ♪浮気者の浩之を 微笑み浮かべ シバく女

 ♪豪波動は飛び道具 豪昇龍は無敵技

 ♪竜巻斬空追い打ち可 阿修羅閃空は移動技

 ♪ああ熊の力 身に付けた

 ♪滅殺ヒロイン あかりさん あかりさん

                  ・・・

 日曜日。
 オレはあかりを連れてゲームセンターにやってきた。今日は『ストリートファイターZ
ERO3』の発売日だからな…。
 一応このシリーズは初心者向けに作られてる所があって、結構難易度が抑えられている。
 やっぱCPUが強いと連続技の練習とか出来なくてムカつく時があるけど、その点、こ
のシリーズはそういったストレスは感じずに済む。
 まぁ、慣れてくると物足りない所はあるけど…。

(初代ストリートファイターの時は波動拳がとっても強かったんですよね)

 何故か琴音ちゃんの声が心に響く。
 うっ、古傷が…。
 前に琴音ちゃんと懐ゲーの問答で負けた時に受けた心の傷が痛む。
「どうしたの? 浩之ちゃん?」
「ん? な、何でもねえよ」
 心配そうにオレの顔を覗き込むあかり。まったく、コイツはオレの微妙な心の変化を読
み取ることに関してはピカイチだ。普段は鈍くさいクセして…。

 オレは適当に誤魔化すと、あかりを誘ってゲーセンの中にある人だかりへと向かった。

                  ・・・

 人混みの中順番を待つこと数分、やっとオレの番が回ってきた。
「頑張ってね、浩之ちゃん!」
「おおよ、任せとけって!」
 両手を胸の当たりで握りしめ、真剣な表情で応援してくれるあかりにむかってオレは
「ニカッ」と笑うと硬貨を投入した。

 ピロリンッ!

 投入音がしたのを確認するとオレはスタートボタンを押した。

 キャラ選択画面でオレがチョイスしたのは豪鬼。『スーパーストリートファイター2X』
の時、コイツの強さに惚れ込んだオレは、その後のシリーズ全て豪鬼を選択している。

(スパ2の時、豪鬼の出し方失敗して、やたらと茶色リュウでPlayしてる人がいまし
たよね)

 ぐっ、またしても心の傷が…。
 ええい、今はそんな事よりも目の前のことに集中しろ! 浩之!

 CPU戦一本目はオレの使う豪鬼の勝利で終わった。
 決め技に『瞬獄殺』を使ったんで、画面に大きな『天』の文字が赤く映っている。
 オレがいい気分に浸ってると、横からあかりが画面を見ながら訊いてきた。
「浩之ちゃん、いつもこのキャラだよね」
「ん? ああ…だってコイツ強いし…。やっぱ、男だったら強さに憧れるもんだしな」
「そうなの?」
「中には弱いキャラで強いキャラに勝つのが好きってヤツもいるけど、そんなヤツでも、
やっぱ強いキャラとかにはグッとくるもんだ」
「ふうん…」
 自分のおさげを触りながら、あかりはぎこちなく頷いた。

                  ・・・

 次の日。
 ピピピピ…。
  カチッ。
  ちょうど、目覚ましが鳴ると同時に目が覚めた。
  ベッドを降りて、大きく伸びをする。
  うう〜〜〜ん。
  なんだか、妙にスッキリした気分。
 窓の外が、清々しい天気だったのと、昨日初めてやったZERO3を入荷日にクリアし
たからかもしれない。
 結局昨日はラストのベガまで難なく行って、そのままクリアしちまった。
 次はコーディかガイ辺りでPlayしてみっか…。

 冷や飯に味噌汁ぶっかけて簡単な朝食を終え、テレビを消して居間を出る。
「行ってきまーす」
 誰も居ない家に向かってそう言うと、オレは玄関を出て鍵を掛けた。

 いつもと同じ時間。
  いつもと同じ景色。
 シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…。
 そして、いつも通りあかりが後ろからアスファルトを滑る様に移動してきて…ってオイ!
 本当に滑ってきてるがな。しかもファイティングポーズを取ったまま。
「おはよう、浩之ちゃん」
「あっ、あかり!?」
 あかりを見るなり、オレは、素っ頓狂な声を上げてしまった。
 …だって、あかりのヤツ、服装が…。
「お前、その服…」
「えへへっ、どうかな?」
 照れながら苦笑し、はにかむあかり。
「…服、変えたのか?」
 見れば一目瞭然のことを、オレは口にして訊いた。なんか、頭の片隅を嫌な予感が走る。
「うん。ちょっと今朝、早起きして…」
 …そういう問題か?
 後頭部から天に向かって伸びる慣れない「まげ」を触りながら、あかりは恥ずかしそう
に微笑んだ。
 眩しい陽射しの中、あかりの全身から陽炎のような淡い燐光が立ち上っている。
 なんだか、あかりがあかりじゃないように思えた。…当然か?
 目の前にいるのは、いつものあの、押しに弱くて、ちょっと鈍くさいオレの幼なじみじ
ゃなくて、手には葵ちゃんが持ってるようなナックルガードを付け、袖を無理に裂いた黒
の胴着を身に纏い、首には珠の大きな数珠をネックレスのように下げ、頭に「まげ」を結
った、普通町中じゃこんなナリしたヤツは居ないだろうって感じの女の子だった。夏と冬
の有明とかになら居るかもしれないが…。
 思わず、本当にあかりか、と馬鹿な…いや真っ当なことを訊ねそうになる。

「ちょっとヘンかな…?」
「い、いや…(物凄くだ…)」
「(まげの)リボンは、やめたほうがいいと思う?」
「い、いや…(そういう問題ではない気が)」
「もっと他の『殺意の波動に目覚めたキャラ』にした方ががいいかなあ? ガルダとかカ
イリとか…」
「さあ…(ガルダはともかく、カイリは上半身裸だぞ)」
「…どうしたの、浩之ちゃん?」
「べつに…」
 オレは目を逸らし、コホッと、咳払いした。
  あかりを目の前にして、こんなに狼狽するなんて、初めてのことなんじゃないだろうか。
「……」
 恐怖に凍り付いてしまったオレを見て、あかりは、少し不安げな表情になった。
 そして、小さな声で
「…前のほうが、よかった?」
 と、訊いた。
「…あ、い、いや」
 オレは戸惑いを隠せない。
 似合っている、似合っていないという次元の問題ではないと思う。いや、もし似合って
いないなんて言ったらどうなることやら…。
 多分、ジャンプ大キックから中足払いキャンセル中竜巻斬空脚を決められて、その後、
追い打ちで豪昇龍拳まで叩き込まれそうだ。
 …ただただ、迂闊なことは言えないという恐怖感に、どう対処していいか判らないのだ。
 ――大丈夫、ZERO3仕様ならそこまで喰らってもピヨリは無いはずだ。
  そう自分に言い聞かせる自分が、物悲しい。
「やっぱり、もとに戻そうか?」
 あかりは上目づかいにオレを見ながら、ぎこちなく微笑んだ。
 その仕種は、いつもの、オレのよく知っているあかりのものだった。もっとも、いつも
はこんな怪しい格好はしてなかったが。
 …やっぱりこいつは、あかりじゃないか。
 そんな理不尽なことを、理屈抜きではっきり認識できた瞬間、オレは今回の話のラスト
が何となく読めた気がした。

「いや、その方が似合ってるぜ」
 オレは落ち着いた笑顔でそう言えた。
「…ほんと?」
「ああ、似合ってる。なんだか、いつものあかりじゃないみたいでさ、ちょっと動揺しち
まったぜ」
「またまた〜、そんなこと言って〜」
 …本当だぞ、あかり。

「よかったぁ…」
 にっこり微笑んで、あかりが言った。
「浩之ちゃんがそう言うんなら、しばらくこの格好でいるね」
「…………(マジ?)」
 そんなあかりの笑顔は、いつになく生き生きとしていた。

「だから浩之ちゃん、浮気したら…滅殺だよ(ニッコリ)」
 とは〜…やっぱこれか…。
 オレは心の中で涙を流していた。

 母さん、どうやらオレの幼なじみは、『殺意の波動』に目覚めたみたいです…。

                  ・・・

 今日も何処かで瞬獄殺(ED TVサイズ)


 ♪誰も知らない 言ってはイケナイ

 ♪あかりさんの正体を

 ♪口に出せない 出したらシバかれる

 ♪あかりさんの正体を

 ♪もうこれで戻れない 溢れ出る殺意の波動

 ♪この滅殺の心 知った今では

 ♪今日も何処かで瞬獄殺

 ♪今日も何処かで瞬獄殺


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 昔は普通のSS書いてたこのFool…。

 何の因果か落ちぶれて、今じゃ人様のSSをパクる始末…。

 笑いたければ笑うがいいさ…。

 …つうか嘲笑って下さい(爆)。

 もう、身も心も、魂すらも腐りかけって感じですぅ〜(激爆)。

 無口さん、UMAさん、久々野さん…ゴメンね、てへ☆(確信犯的偽善微笑)


 あかり「Foolちゃん…懲りないわね」(ニッコリ)

 ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!


 最後に読まれた方へ。
 今回の元ネタになった無口さんの『射手座に願いをかけて』が図書館に登録されてる
ので読んでみて下さい。
 少なく見積もっても、無口さんの方が10倍は面白いデス。