東鳩ラン外伝/シャドウエッジ Episode-5 投稿者:AIAUS 投稿日:3月15日(木)13時02分
>>>>>[Hoi! HIROSHIMAも騒ぎが聞こえなくなったな。嵐の前の静けさってやつか?]<<<<<
--Black-Clock

>>>>>[Zone'sはInsectと同じくらいにヤバい連中だ。このままじゃ治まらないだろうな]<<<<<
--Murasame

>>>>>[Guardianとディアブロが殺し合う。いつものことじゃない]<<<<<
--Tokihime

>>>>>[いいえ。きっと嵐が起きますわ。これまでにないくらいの大きな嵐が]<<<<<
--Kozuka

>>>>>[Repoの勘か。俺もそう思う。企業軍に勤めていた頃、こういう臭いを嗅いだことがあった。静か過ぎる臭い。その後、
俺は童貞を喪失したんだ]<<<<<
--Rage-Horn

>>>>>[Ginya? あんたには耳寄りな話ですよ、Hyakko]<<<<<
--Multi

>>>>>[いつか、あなたに会う時があったらRockしてあげます。まったく……Rage-Hornは、その時に初めて人を殺したっていう
意味で言っているんですよ]<<<<<
--Hyakko

>>>>>[冗談抜きで戦争になるかもしれないな……Kozuka。ドジは踏むなよ]<<<<<
--Murasame

>>>>>[Wizzer! 感激ですわ。Murasame-samaが心配してくださるなんて]<<<<<
--Kozuka

>>>>>[ロクデナシだもんなあ、こいつ]<<<<<
--Black-Clock

>>>>>[てめえに言われたくねえぞ、Black-Clock]<<<<<
--Murasame

>>>>>[でも、うまくすれば特ダネになるんじゃない? これってチャンスだよね、Kozuka]<<<<<
--Tokihime

>>>>>[獲物は見つけましたもの。後は飛び立つのを待って撃つだけですわ]<<<<<
--Kozuka

>>>>>[Kozukaの銃から出るのは鉛弾ではなくて、Flashですけどね]<<<<<
--Hyakko

>>>>>[ところで、最近、HIROSHIMAのニュースが多いから、ディアブロの連中を見かけることが増えたけどさ。こいつら、目が赤いだけで外見はElfと
変わらねえじゃないか。本当に、そんなにおっかない連中なのかよ?]<<<<<
--Black-Clock

>>>>>[一つ、大いに異なる点がある]<<<<<
--Rage-Horn

>>>>>[Wa? 人気メニューの食材が人間、とかかよ?]<<<<<
--Black-Clock

>>>>>[近いですわね]<<<<<
--Kozuka

>>>>>[ヘー。あんたの親戚なんじゃないの? やってたんでしょ、昔? 槍持って首を狩ったりとか]<<<<<
--Tokihime

>>>>>[しねえよ、Dandelion Eater!]<<<<<
--Black-Clock

>>>>>[で、本当はなんなんじゃよ?]<<<<<
--Multi

>>>>>[ディアブロは血を、人間の血液を吸うんですの]<<<<<
--Kozuka



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   「東鳩ラン外伝/シャドウエッジ」


 episode-05「燃え移る炎」


 薄暗いストリート。
 コヅカは引き千切られたダーマル・プレートの断片から見える、血まみれのワイヤーを撮影していた。
 銀色の髪をショートにまとめた彼女の顔に冷や汗が浮かぶ。
「カンツェロ……噂以上の危険なテロリストですわね」
 彼女の目の前にあるのは、時間をかけてゆっくりと「解体」された「教団」のガーディアン。白地に青いラインが入った僧衣が噴き出した血液で
赤く染まっている。魔法のものなのか、頭部は判別不可能なまでに焼け焦げていた。
「早く記録しろ、コヅカ。「教団」の連中に見つかると厄介なことになる」
 サブマシンガンを構え、油断なく周囲に警戒をしながらコヅカに注意したのは、トロールの傭兵レイジホーン。彼は今、より高額なランが
見つかるまでの間、フリージャーナリストであるコヅカのボディガードを請け負っている。
「わかっていますわ、レイジホーン……あら、なにかしら、これ?」
 コヅカは死後硬直が始まったガーディアンの死体が、アンプルらしきものを握り締めているのを発見した。
「ドラッグの類だろう。「教団」のガーディアンは限界間際まで改造されているという話だからな。そういう連中が安定剤を常用しているのは
珍しい話ではない」
「一応、確保しておきましょう。なにかの手掛かりになるかもしれませんから」
「わかった……誰か来る。逃げるぞ」
「アイサー」
 闇夜に紛れてシャドウランナーがストリートの中を駆けていく。
 埃まみれの道端には物言わぬ骸となったガーディアンが残され、また怨恨のタネを振りまくことになった。


 翌日。
 アークタワー内部にある佐野の研究室。そこで、佐野は背広姿の男性と密談を行っていた。
「……報告は以上です。ミスター・ジョンソン」
 背広姿の男性は笑みを浮かべながら、白衣姿の佐野に言った。
「佐野司祭。これまでの経過に、我々は非常に満足しております。亀裂は順調に広がっていき、実験体は互いに弾倉に弾を込め始めている。
何より、予定スケジュールよりも進行が早いことが素晴らしい」
「心配は無用ですよ。順調に進んでいる。それだけのことです」
「我々の資金援助と、長年の実験の成果ですな、佐野司祭。いや、もうすぐ法王様と呼ばなくてはなりませんか」
 企業から派遣された使者の軽口に、佐野は軽い微笑みを返しながら、まんざらでもない様子でうなずいた。
「その暁には、充分な報酬をお支払いできるでしょう。これまでと変わらぬ助力を期待しておりますよ」
「もちろんですとも。これほど広大な研究所は他にありませんからね。我が社は佐野司祭に感謝しております」
「その言葉、信じさせてもらいますよ」
 技術漏洩を防ぐために執拗な盗聴防護策が施された研究室。佐野は、昔から陰謀を算段する場所として利用していたのだった。
 
 やや時間が経過し、場所はアークタワー最上階、「聖殿」。
 教祖アルテーの澄み切った瞳で見つめられても、佐野は平然としていた。
「やはり、強攻策しかないと考えているのですか、佐野」
「言葉を聞き分けぬ暴徒は、矛で持って諌めなければならない場合もある。HIROSHIMAを平定したアルテー様であれば、よく御存知のことだと
思いますが」
「では、スクワッター(浮浪者)殺しもそうだと言い張るつもりですか?」
「その件に関しては調査中です。ディアブロ同士の内紛だという話も出ていますね」
 佐野は言い逃れを続けながら、アルテーの人形のように整った顔をうかがっている。佐野が彼女に仕えるようになったのはHIROSHIMA平定の後のことである。
以来、二十年近く観察を続けているが、いまだにこの女の真意を読み取ることは出来ない。
 自分が神など信じていないせいなのかもしれない。
 そんなことを思った佐野は、途端におかしくなった。「聖殿」と呼ばれる聖域で、数百万の信徒を抱えている宗教家の前で、僧衣を身に着けて
司祭などと呼ばれている自分が神を信じていないとは。
 それこそ、神などいない証拠ではないか。
 佐野はアルテーの言葉を適当に受け流しながら、心の中で一人、笑い続けていた。

 場所はさらに変わり、ディアブロ解放地区。薄汚れた街路を歩いているのは、背広姿の老紳士と紫色の髪の女性。
「カンツェロの足取りはつかめたか?」
「ダメ。髪の毛一筋も見つからないわ。個人でやっているとは思えないわね」
 大げさな身振りで顔を横に振る女性に、老紳士は首を捻ってから言った。
「”鬼童”の例もある。先入観念に捕らわれずに調査を続けて欲しい」
「魔法が珍しかった時代じゃないんだから……私達は全員、魔法を使えるのよ?」
「炎を燃やしたり、姿を消したりすることだけが魔法ではない。そのあたり、君はまだ真理から遠いようだな」
 訳知り顔の老人の言葉に、女性がうんざりとした顔を見せる。
「お説教はたくさん。あなた、会う度に小言が多くなっているわ」
「それが年老いるということなのだよ、お嬢さん」
「そんなに歳は違わないでしょ! ……食えない人ね、あいかわらず」
 自分を見て満面の笑顔を浮かべている老紳士を見て、女性は溜め息をついた。
「でなければ、司祭などやっておらんよ」
「フフ……違いないわ」
 満足そうな老紳士の言葉。女性は微笑を浮かべながら、それに相槌を打つ。
 そして、何事もなかったかのように、二人は道を分かれた。


 日が沈み、また夜がやって来る。
 「教団」製造のコンポジットアーム、「BATU」を脇に抱え、白地に青いラインが入ったボディアーマーを身に付けた「教団」の兵士達が
緊張した面持ちでディアブロ解放地区の周りを見張っている。「教団」でガーディアン以外の警官、傭兵、ノンサイバーの治安維持要員の
統括を行っている尾河秀樹は、通常監視任務の5倍を動員して凶悪テロリスト・カンツェロの捜査を行っていた。
 ディアブロ解放地区、一般居住区、それらしいと思われる地区は全て手を伸ばしたが、未だにカンツェロの影さえつかむことはできない。
昨夜もまた一人、ガーディアンが殺された。殺された場所は、尾河が網を張っていたブロックの一つ隣だった。
 これで、包囲を空かされたのは六度目だった。
「情報が漏洩している? まさかな。そうだとしても網の特定は不可能のはずだ」
 監視部隊の配置は、念のために治安維持とは直接の関わりがない外渉担当の司祭、エルスペスールを通じて連絡を行っている。彼女は
穏健派の司祭パジェントリーの愛弟子であり、今回の事件の早期解決を望んでいるはずだ。
「目撃者を残さないための皆殺しか……いや、楽しんでいるだけかもな」
 尾河は指揮車両の中でコーヒーを飲みながら、自分が相手をしているテロリスト、カンツェロについて思いを巡らせた。
「アズテクとの戦闘でも、こんな目に会わされたな。胸が悪くなるような奴だよ」
 尾河はそうつぶやきながら、サイバーリム(義手、義足)になった自分の手足を見た。前の手足は捕虜交換で戻ってきた部下に
仕掛けられていた爆弾で吹き飛ばされたものだ。そんな悪ふざけを思いついた敵部隊の連中は皆殺しにしてやったが、十何年
経った今でも胸のむかつきは治まらない。
「隊長っ! ご注文のガーディアンが届きましたぜ」
「隊長と呼ぶな、ハンス。俺はここでは司祭様だって言っているだろうが」
「へい、司祭隊長っ!」
 尾河は鉄拳で部下の悪ふざけを注意しながら、指揮車両の外に出た。
 白地に青いラインが入った僧衣。彼が銃の撃ち方のイロハを教えてやった少年が、少しだけ男の顔になって自分の目の前に
立っている。名前は城戸芳晴。Sランク・ガーディアンになったと尾河は聞いていた。
「芳晴。久しぶりだな、元気だったか」
 芳晴は2m近い大男の尾河の両手で肩をバンバンと叩かれて、地面にめり込みそうになっていた。
「尾河教官もお元気そうで何よりです。本日の巡回任務には俺と、こちらのSランク・ガーディアン、七枝那美も参加させてもらいます」
 芳晴がうながすと、彼の後ろにいた白いレザースーツとマント姿の少女、那美が、申し訳程度に首を前に倒した。
その寡黙な少女を見て、尾河は不思議そうな顔で芳晴を見た。
「どうした、芳晴? いつの間にか、かわいいコリンちゃんから白ずくめの魔女に乗り換えたのか? 「教団」の小噺集に載るくらい、
いつもベッタリだったっていうのに」
「べっ、ベッタリはしていませんよっ!」
「ガハハ! 無論、冗談だ。確かに、今回の獲物はコリンじゃ荷が重いかもな。なにしろ、もう十人も殺られている。おまえら
Sランク・ガーディアンじゃないと無理だろうさ」
「……私達は、どこを見張ればいいの?」
 那美は鬼教官の尾河と生徒の芳晴のやり取りは無視して、早速、任務の確認に入った。那美の白い髪を珍しそうに見ていた
尾河の部下は、いきなり話を振られたので慌てて手にした端末の画面を確認した。
「はいっ! ええっとですね。城戸さんと七枝さんにはルート101を……」
「待て、ハンス。計画変更だ。芳晴達にはルート909を回ってもらう」
「はっ、了解です! では、最初に予定していたAランク・ガーディアンとの入れ替え、ということでよろしいですね」
「そのとおり。満点の答えだ、ハンス……芳晴。死ぬなよ」
「何があっても生き残ること。それが最強の戦士である。忘れていませんよ、尾河教官」
 自分が教えた陸軍式の敬礼をしてみせた芳晴を見て、尾河は頼もしそうにうなずいた。

 ルート909。
 便宜上、そういう名前を与えられてはいるが、実際はHIROSHIMAの一般居住区にある裏路地である。メインストリートを
離れて寂れてはいるが、HIROSHIMA特有の執拗なまでの街灯は保持されている。芳晴の横には、無言で歩いている那美。
彼女の羽織った白いマントが人工の光を反射して、まぶしく輝いていた。
「ところでさ、那美さん」
 芳晴に話を振られた那美は、顔は前に向けたままで返事をした。
「……呼び捨てでいいわ、ヨシハル」
「わかった。じゃあ、那美。ここにカンツェロが出てくると思う?」
「……わからない」
 芳晴は「SABAKI」をホルスターから抜くと、安全装置を外した。
「出るよ、確実にね。カンツェロが狙っているのはHIROSHIMAの人々じゃない。僕ら、ガーディアンだ」
「……なぜ、そう思うの?」
「勘さ」
 カンツェロのテロを恐れた人々は、真夜中に夜道を歩かなくなった。人工灯の白い光に照らされた無人のストリート。
白装束の芳晴と那美は油断なく、辺りを見回す。気配は感じられない。しかし、何かが自分達を見つめていることに
二人は気付いていた。
 そして、空間が歪んだ。
 キシューン! キシューン! キシューン!
 芳晴の撃ったオートマチック・ハンドガン「SABAKI」が、独特の発射音を立てた。凶悪な炸裂弾がその場所へと
飛びかかる。だが、声は別の方向から聞こえてきた。芳晴が撃った弾丸が建造物の壁をくだく音を背景にして、
楽しげな少年の声が響く。
「危ない、危ない。どうやら、他の連中よりは少しだけ強いみたいだね」
 芳晴と那美の十メートル向こうに、余裕の表情を浮かべているディアブロの少年がいた。
「……死になさい」
 那美がそうつぶやくと、少年の頭上の空間から幾本もの長剣が現れ、そのまま剣先を
少年の体に向けて落下する。
 ドスッ、ドスッ、ドスッ!
 那美が召還した長剣は少年の体に突き刺さり、瞬時に少年の五体を分断した。だが、少年はいまだに
余裕の表情のままで、首だけになった自分の顔を宙に浮かばせている。胴体から切り離され、地面に
落ちた手足もそれを追うようにして、ゆっくりと浮かび上がってきた。
 芳晴は臆することなく、化け物じみた少年の顔をにらみつける。
「おまえがカンツェロだな……」
「ご名答。ガーディアンの割には、意外に鋭いね」
「おまえに殺された仲間の仇、討たせてもらうぞっ!」
 キシューン! キシューン! キシューン!
 バズッ! バズッ! バズッ!
 正確な狙いで放たれた炸裂弾が五体バラバラのままで空中に浮かぶ少年、カンツェロの四肢を砕く。
「甘いね。魔法が使えない君なんて、いつでも殺せるんだよっ!」
 自分の手足が炸裂弾に砕かれ、液体状になるのも気にしないで、カンツェロは那美に向かって吼えた。
 ビスッ! ビスッ! ビスッ!
 魔力で作られた小さな凶器、<魔力矢>の束が那美に襲い掛かる。その<魔力矢>の量は異常で、那美の
小さな体は一瞬にして粉々に砕かたかのように見えた。だが、実際には違った。
「……効かないわ」
 体のいたる所に<魔力矢>が食い込み、着ている白いレザースーツは流血で赤黒く染まっていたが、まだ
那美は倒れなかった。
「馬鹿なっ!?」
 カンツェロが叫ぶと同時に、芳晴の愛銃「SABAKI」がカンツェロの頭部を砕く。
 ビチャ!
「やったか?」
「……まだよ」
 頭部を失い、炸裂弾に砕かれながらも、カンツェロの手足は未だ彷徨うに宙に浮かんでいた。
「僕と同じ? おまえもそうなのか?」
 虚ろなカンツェロの声が頭上から響く。血まみれの那美は長剣の群れを呼び出して声がする場所へと
差し向けたが、幾多の刃は虚空を切り刻むだけであった。
「クッ、クククッ……わかったよ。今日は退いてやるよ。それじゃあな」
 カンツェロの気配が消える。
「追って!」
 血まみれになって膝をついた那美が芳晴に向かって叫んだ。だが、芳晴はカンツェロを追わずに那美の側に
近寄り、彼女を肩で支えた。
「私のことより、あいつをっ!?」
「今日は退却だ、那美。治療してもらおう」
「ダメっ! 今なら、あいつを……くぅ!」
 パキパキパキっ……。
 どういう構造になっているのか、那美の体はすでに再生を始めていた。体に食い込んだ小さな矢を
盛り上がった肉が弾き出し、赤い穴を塞ぎ始めている。再生は痛みを伴うのか、那美の白い顔に
苦悶の表情が浮かんだ。
 苦しげにあえぐ那美を支えながら、芳晴は端末で指揮官である尾河と連絡を取る。
「こちら、芳晴、那美チーム。カンツェロと接触。対象と交戦。逃げられました。那美が負傷。
迎えを寄越してください」
「そうか……やはり、カンツェロの正体はディアブロだったのか?」
 芳晴はしばらくためらった後、尾河に「そうだった」と答えた。
「わかった。今から救護部隊が向かう。くわしい報告は、その後で頼む」
「了解」
 芳晴は端末をしまうと、脂汗を流している那美を気遣った。
「すぐに医者が来る。我慢できるか?」
「……大丈夫。私はそういう体に造られているから」
「わかった。もう喋らなくていい」
 乾き始めた血で滑る那美の体を支えながら、芳晴はカンツェロの消えた夜空をにらみつけていた。


 世界中の情報が渦巻く電子世界、マトリクス。
 コリンは両手一杯に抱えたデータの束を、ユンナが閉じ込められている檻の前まで持って来た。
電子世界とはいえ、犯罪者であるユンナが移動を許されている場所は限られている。コリンは
その制約を無断で潜り抜けて、自分がかき集めたデータを運んできたのだ。
「はい。こんだけ、よろしく」
「よろしくって……なによ、これは」
 ユンナは目の前に置かれたデータの量にうんざりしながら、背中に羽を生やしたコリンに尋ねた。
ユンナもコリンと同じエンジェルだが、今は幽閉の身であるので羽を生やしていない。
「今日、情報部のデータバンクからもらってきたデータ全部。調べたいことがあるの。手伝って」
「手伝ってって……あっきれた。無断の閲覧は規則違反でしょう。私のお隣りさんになるつもり?」
 いくら「教団」のエンジェルとは言え、コリンがやっていることは立派な犯罪行為だ。
 だが、コリンは厳しい表情でユンナに言った。
「あんた、ウィルの事件を納得しているの?」
 ウィル。ユンナの恋人で、サイバーウェアの暴走を起こし、大量殺人事件を犯してしまった
人物の名前である。彼は今、アークタワー最下層部の「煉獄」と呼ばれる拘束施設に閉じ込められている。
「私の前で、その名前を出すつもりなの?」
「あのね。あんたはウィルの恋人だったかもしれないけど、あたしと芳晴だってウィルの友達だったんだよ。
今回の事件はおかしい。絶対に、誰かが裏で何かをたくらんでいる。手掛かりは多分、もう姿を現わしているはずよ」
 Bランク・エンジェル、役立たず、ボンクラと評価されているはずのコリンの瞳が、ユンナも息を飲むような
激しさで輝いている。

 コリンは、何かに気付いたのだ。

 Sランク・エンジェルであるユンナは、コリンの必死の表情に、かつての自分を見た。愛しい恋人を
「煉獄」から救い出そうとして、何も考えずにマトリクスを駆け抜けた自分。コリンも今、同じように
駆け出そうとしている。
「わかったわ。データはそこに置いておいてちょうだい。足跡はちゃんと消しているんでしょうね。
プログラム任せであっさり捕まったなんてドジ踏んだら、あんたでも焼いてしまうわよ」
「そこまでドジじゃないよ〜だ……ごめん、ユンナ。無理言って」
 しょげるコリンの額を指で押すと、ユンナの冷たい表情に、久しぶりに笑みが浮かんだ。
「なにか、昔を思い出してきたわ……コリン。頑張ろうね」
「うん、頑張ろうっ!」
 嬉しそうに笑みを浮かべたコリンは、背中の翼を広げて、ユンナが閉じ込められた電子の檻から飛び立っていく。
ユンナは眩しそうに、電子空間に舞い散る白い羽を見つめたのだった。


 芳晴とエビルが勤める孤児院。
 エビルは忙しそうに洗濯物を取り込んでいる。芳晴はトロールの男の子シュラムと遊びながら、ぼんやりと
その様子を見守っていた。
「芳晴先生、どうしたの? 体の具合が悪いの?」
 心配そうに尋ねるシュラムに、芳晴は笑顔を作って答えた。
「いっ、いや何でもないよ。元気だって」
「ガーディアンのお仕事って大変だものね。無理しないでね、芳晴先生」
「あっ、あはは……」
 芳晴が落ち込んでいる原因は、昨日のカンツェロとの戦いであった。赤い瞳、強大な魔力。カンツェロは
ディアブロだったのだ。芳晴と那美の報告を受けて、尾河司祭が率いる警官隊は今日の朝からディアブロ解放地区の
徹底的な家捜しを始めた。芳晴の責任ではないとはいえ、これでまた、「教団」とディアブロの溝は深くなっただろう。
 おそらく、エビルが住んでいるブロックにも警官達は捜査の手を伸ばす。芳晴はエビルと顔を合わせるのがつらかった。
「どうした、芳晴。何か困ったことでもあるのか?」
 溜め息をついている芳晴に、いつの間にかエビルが近寄っていた。赤い瞳が、いつものように不思議そうに芳晴を見つめている。
「いっ、いや。なんでもないんですよ、エビルさん」
「そうか。それならいい」
 そう言いながらも、エビルは芳晴の顔から目を逸らさない。
 芳晴は、だんだんと胸が高鳴っていくのを感じていた。
「えっ、えっとですね。エビルさん」
「なんだ、芳晴?」
 エビルの口調は素っ気無いが、芳晴にはその頬が赤らんでいるように見えた。

「……ヨシハル。仕事」
 
「えっ、那美!? なんで、ここに?」
 芳晴とエビルの幸せな一時を妨害したのは、白いレザースーツの七枝那美だった。エビルはすぐにいつものクールな表情に戻ったが、
那美はまるで警戒するように距離を取っている。
「なにか、あったんですか? まだ平時勤務時間のはずだけど」
 ガーディアンの多くは「教団」に育てられた孤児や培養児であり、「教団」のために働くことを義務付けられている。それはランクに
関わらずに全てのガーディアンに適用されるルールである。唯一、カンツェロを撃退することが出来たSランク・ガーディアンの芳晴で
あっても、それは例外ではない。そして、芳晴とチームを組んでいる那美も、この時間は普通の仕事をしていなければならないはずだ。
「……ウジェーナク司祭に許可をもらったわ。行きましょう」
 あくまで那美の態度は強引である。まるで、一刻も早く芳晴をこの場所から連れ出そうとしているようにさえ思える。
「芳晴。「教団」の仕事が入ったのか?」
 エビルの声を聞いて、那美の白い髪がピクリと震えた。どうやら、本当にエビルを警戒しているらしい。
「ええ。そうみたいなんです。すいませんが、他の人に連絡しておいてもらえますか?」
「わかった。頑張ってこい、芳晴」
「はいっ!」
 エビルに励まされて嬉しそうに微笑む芳晴を、那美は冷たい目で見ている。
 なにかを忌避しているような、そういう空気が那美の白い体から発していた。


 真昼のディアブロ解放地区。
 那美と芳晴の二人は昨夜、カンツェロに襲われた場所であるルート909周辺を調べ直している。すでに専属チームがあらかたの調査や
証拠物件の採取を終えているはずだが、こういう謎の多い事件は当事者でなければ気付かないこともある。那美がウジェーナク司祭に
芳晴との再調査を望んだのは、妥当な判断であると言えた。
「昨日は、ここらへんから急に現れたんだよな」
「……そうね」
 那美は芳晴には見えない超自然の力、アストラル空間を知覚している最中で、あまり彼の言葉には反応しない。
 アストラル空間とは、通常世界と重なるように存在する平行次元で、魔法の源となる世界である。通常世界に存在するものは全て
アストラル空間に対となるものを持っている。魔法使いである那美は、アストラル空間に残された何かを見つけ出そうとして、
自分の意識をそちらへ飛ばしている。
「なにか見つかった?」
「……なにも」
 通常世界に意識を戻した那美は、自分の白い髪を撫でつけながら芳晴に応じた。
「わかった。あと三十分ほど探してみて、なにも見つからなかったら帰還しよう。今夜も戦わなければいけないだろうからね」
「……わかった」
 ゴミと埃であふれたストリートを探索すること三十分。結局、芳晴と那美は何も見つけることはできなかった。
「結局、専属チームの調査待ちだね。そろそろ帰ろうか。那美も疲れただろう?」
 芳晴なりに気遣ったつもりだったが、那美には余計な一言だったようだ。
「……ヨシハル。私を子ども扱いしていない?」
 那美の背格好は十三〜四歳くらいの少女に見える。芳晴から見れば、充分に子供だ。少し頬を膨らませてムキになって抗
議している姿は、普段の冷厳な表情から比べれば、彼女の年齢相応に見えた。
「そんなことはないよ。昨日も助けられた。那美は頼りになるパートナーだと思っている」
「……本当?」
 那美のまだ幼さが残る黒い瞳が、冷や汗を浮かべた芳晴の顔をにらみつける。
 だが、しばらくして那美は納得したらしく、芳晴への監視を解いた。
「……わかった。信頼する。あなたは私のパートナーだから」
 パートナー。
 その言葉を口にした時、那美が少しだけ嬉しそうな顔をしたように芳晴には思えた。


 覚醒による激動、魔族と恐れられたディアブロの恐怖政治、「教団」による平定を経て、HIROSHIMAは宗教都市としての
新しい歴史を歩み始めた。「教団」に放逐されたディアブロ達の多くはディアブロ解放地区と呼ばれるスラムに押し込められたが、
自分達の王国を攻め滅ぼした集団に支配されることを望まない者達はゾーン化現象によって変異覚醒を果たした森林地帯へと逃げ込んだ。
 凶悪なクリッターと魔族が徘徊する森林。
 ルミラは今、ボディガードのアレイを連れて、その場所に来ている。
「いつ来ても、この森は暗いわね」
「張り出した木々の枝が日を遮っていますから。仕方がないですよね」
 パキッ、パキッ。
 全身サイボーグのアレイが踏み折る枯れ枝の音が、昼なお暗い森の中に響く。対して、紫色の長髪をなびかせて歩くルミラは枯葉が
擦れる音も立てていない。ルミラは不意に立ち止まり、空中に手をかざした。
「この辺りだったかしら?」
「そうですね。ここに目印がありますから」
 そういってアレイが指差したのは、木の枝を組んで作られた魔除けのような物だった。植物の繊維で編まれた紐で、枯れ木の枝に
ぶらさげてあった。ルミラはアレイの言葉にうなずくと、二言三言、聞きなれない言葉を唱える。
 それまで魔力によって隠されていた道が、ルミラとアレイの前に開く。
「さあ、行きましょうか。頭の固い連中と話すのはあまり気が進まないけれど」
「はい、ルミラ様」
 ルミラはアレイを伴って、「教団」の支配から逃れたディアブロの隠れ里の中へと入っていった。

「賢い手段とは言えないな」
「そうだ。あまりにも不確定な要素が多すぎる。人間と協力するというのも気に入らん」
「子供が親に似るのは当然だが。あまりにも父親に似すぎている」
「おまえの父親デュラルは、人間との共存を唱えて人間に殺された。おまえは父の死から学ばなければならない」
 暗い森の中にそびえた高い木々の上から、ディアブロの貴族達の声が聞こえる。ルミラは頭上から聞こえる
木々に向かって、怒鳴り返すように答えた。
「黙って見ていろと言うつもりなのですか?」
 ルミラの言葉に合わせて、貴族達の声が反響するように返ってくる。
「そうだ。静観するしかない」
「結果として、それが一番被害を出さずに済むからだ」
「おまえは大局を見据えて、事態を解決しようとしている。それは評価できる」
「だが、解決できないことも世の中にはある。おまえは学ばなければならない」
 貴族の冷徹な言葉に、ルミラは歯を噛み鳴らした。よく発達した彼女の犬歯は、まるで牙のように見える。
「この森で生きていくことができる者達は、それでいいかもしれません。しかし、都市で暮らしている者達は
どうやって生きていくのですか? このまま事態が進めば、「教団」はより支配的な集団になっていくでしょう。
貴族には貴族の果たすべき義務があるはずです」
 ルミラの必死の言葉も、高くそびえた木々の上には届かない。
「我々とて、王国の復活は望んでいない」
「たとえ、それが人形のものであれ、「教団」のものであれ」
「だが、ルミラ。我々ディアブロと「教団」の関係が解決すると夢想してはいけない」
「わかりあえると思ってはいけない」
「疑惑と憎悪と騙し合い。それこそが人間の歴史である」
「だから、我々はこの森から静観することを選ぶ」
「おまえは卑怯と思うだろう。だが、他に選ぶべき道はない」
「ルミラ。森へと戻れ。この事件が終わる頃、おまえも何かを学ぶだろう」
 ルミラは貴族達の言葉には答えずに、黙ってその場所から離れていった。


 キシューン! キシューン! キシューン!
 HIROSHIMAの街に響く、ハンドガン「SABAKI」の独特の発射音。その演奏にあわせるように、那美の操る
長剣の群れがカンツェロの四肢をバラバラに寸断する。カンツェロの放った魔法が辺りを焼き尽くすが、
芳晴はすでに安全な場所へ移動を終えている。
「銀の弾丸か。いろいろと考えつくものだね」
 自分の胴体に食い込んでいる弾丸を観察しながら、宙に浮かぶディアブロの少年、カンツェロの生首が笑う。
 キシューン!
 バズッ!
 街路に描かれた道路標識が、赤い血で彩られていく。
「やれやれ。今日も手ブラか。でも、楽しかったよ。じゃあな」
 空中に消えていくカンツェロの五体。芳晴と那美は攻撃を繰り返したが、今日もカンツェロに
トドメを差すことはできなかった。

「よお、お手柄だな。芳晴」
 救護班にカンツェロの攻撃で負った火傷を治療してもらっている芳晴に話しかけてきたのは、
佐野司祭の配下であるSランク・ガーディアン、タイザンであった。
「いや、また逃がしたよ。どうやって退治したものか」
 タイザンの皮肉を軽く受け流しながら、芳晴は肩に負った火傷の痛みに顔をしかめた。
「名誉の負傷ってやつだな。明日は名誉の戦死ってことにならなきゃいいが」
 タイザンは肉弾戦を得意とするガーディアンで、スパーと呼ばれる仕込み刀を武器としている。
彼の体は特殊装甲で覆われており、「SABAKI」のような強大威力の銃でなければダメージを与えることは
できない。タイザンの体を覆う特殊装甲はまるで爬虫類のウロコのような、ぬめった輝きを放っており、
芳晴を不快な気分にさせた。
「いいか。勘違いするなよ。おまえがカンツェロと戦えているのは、あの白い魔女、七枝那美のおかげだ。
俺とあいつが組めば、必ずカンツェロを倒せる。そうなんだよ」
「ああ、そうかもな」
 佐野司祭の配下は、下衆な連中が多すぎる。
 芳晴はタイザンの言葉を受け流しながら、ホルスターに手を掛けたい衝動を抑えていた。
「……いいえ。あなたでは、かえって戦いの邪魔だわ」
 芳晴とタイザンの険悪な空気に割って入ったのは、白い魔女と呼ばれた那美だった。
「ふん。随分と強気じゃないか、殺人機械のくせに」
「それは、俺達ガーディアン全員のことだろう?」
 自嘲するようにつぶやく芳晴を、タイザンは嘲笑する。
「とんでもないぜ。なんてったって、こいつはな……おっと、いけねえ、いけねえ」
 タイザンは自分の口を手で押さえ、嫌らしい笑いを浮かべながら那美と芳晴の側から去っていく。
「芳晴。おまえは後悔する時が来るぜ。救いようのねえ甘ちゃんだからよ」
 そう言いながら離れていくタイザンを見る那美の黒い瞳は、氷のように冷えきったものだった。

 芳晴が治療を終えるまで、那美は救護車両の外で待っていた。心なしか沈んでいる那美を見て、芳晴は慰めの言葉をかける。
「あんな奴の言う事を気にするなよ。俺達が戦わなければ、もっと多くの人が死ぬ。少なくとも、殺すために戦っているわけじゃないんだからさ」
「……私は命令に従っているだけ。あいつの言うことは間違っていない」
 落ち込んだ那美の肩を、芳晴の手が支えた。
「それは俺も同じだ。だから、悲しまないでくれ。俺も悲しくなるよ」
「……同じ?」
「ああ。一緒に戦っているだろ? だから、同じなのさ。背負う罪の重さはね」
「……ありがとう」
 芳晴の胸に、那美は頭を預けた。芳晴は随分と長い間迷った後、優しく那美の体を抱き締めてやった。


 一週間が経過した。
 カンツェロによる凶悪なテロ事件は続いたが、芳晴と那美の活躍により、以前ほど深刻な被害が出ることはなくなった。
重症を負う者達は少なくないが、以前のように楽しんで殺される者はいない。カンツェロへの包囲は固まりつつあると、
「教団」の誰もが確信するようになった。
 一方。
 ディアブロ解放地区の中にある、市民福祉センター。すでに機能を果たさなくなった建物の中で、ディアブロ達が会議を開いている。
「あの白づくめのガキ、怪しくねえか?」
 ディアブロの一人が、電気の通らない建物の暗がりの中でポツリと呟いた。
「エビルの男が連れているガキの魔女か。確かに、俺も戦うところを見た。数十本の魔法で操られる長剣。あれなら、
百人を殺すのも簡単かもな」
 友人のエビルの名前が呼ばれたので、イビルは自分が被った野球帽を手で押さえて食って掛かった。
「エビルは関係ねえだろ。名前出すんじゃねえよ」
「ガーディアンの道具にされているなら、文句なく関係者だ。聞き出す必要がある」
 暗闇に光る赤い目の連なり。イビルは自身の赤い目でにらみ返しながら、懸命にエビルを弁護する。
「スマン。俺は腹が減ッタ」
「レオニダス? しょうがねえな。飯食いに行ってこいよ。後でエビルを締め上げるから、その時までには帰れよ」
「ワカッタ」
 オークの戦士が崩れかけたビルから出て行く。
「待てよ。やめろって言ってんだろ!」
 友人を庇うために必死に叫ぶイビル。だが、すでにディアブロ達の間に疑惑の種は蒔かれてしまった。
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 Glossary of Slang 

l003.Zone's………………ゾーン化現象によって変異覚醒した者達、ディアブロやHIROSHIMAの森に棲息しているクリッターのことを示す。
しかしながら、一般的にはディアブロを封じ込めている「教団」の人々もZone'sと呼ばれている。特異な存在である彼らは、どちらも
忌み嫌われているのであろう。
l003.Insect………………昆虫精霊、もしくは昆虫精霊をトーテムとするシャーマンのことを示す。彼らは人間、メタヒューマンを宿主として
増殖する寄生体であり、邪悪な勢力である。
l005.Guardian……………「教団」によって遺伝子配合時から「強化」されたサイバー戦士。教団では「守護者」と呼ぶが、Runnerの間では
「番犬」とか「石像」と呼ばれている。
l009.Repo…………………レポーター。Kozukaはドイツ出身のフリージャーナリストである。
l013.Rock…………………頭を殴るの意味。Hyakkoは魔法使いなので、「石にしてやるぞ」という意味かもしれない。
l018.Wizzer!!!! ……………すごい、すばらしいの意。
l028.Flash…………………カメラのフラッシュ。
l031.Elf……………………エルフ。ホモサピエンス・ノビリス。アーモンド形の瞳と尖った耳を持つメタヒューマン。菜食で森や原野に植物で
作った家に住む。都市生活に順応している者も多数いる。
l041.Dandelion Eater……タンポポ喰らい。エルフへの蔑称。Tokihimeはエルフのシャーマン(らしい)。
l052.ダーマル・プレート……Dermal-Plating、皮膚装甲技術と呼ばれる。硬化プラスチックと金属繊維プレートで構成された装甲を皮膚の下に
埋め込む技術で、ゼロ距離戦闘を行うSamurai、Company-Manなどに愛用されている。
l072.ミスター・ジョンソン……佐野と話している企業人は日本人で、ジョンソンという名前ではない。企業とのコネ、もしくは橋渡しを行う人物を
俗語で”ミスタージョンソン”と呼んでいるため。
l101.鬼童…………………2013年に日本を恐怖に陥れた超人テロリスト。魔法がまだ存在するものとして信じられていなかった時代に強力な魔法に
よって次々と企業や政府の要人を暗殺し続けた。同年、企業が作り上げた対’鬼童’チーム「GH」の策謀と活躍により排除される。死体は輸送中に
何者かに強奪されたため、不明。
l114.BATU…………………コンポジットアームとは、一丁で複数の攻撃力を有する武器のことを言う。アサルトライフルの発展系がそれに近い。
「教団」の制式コンポジットアーム「BATU」は、セミオートライフル、誘導用レーザーポインターの機能を持ち、銃身下部のアタッチメントを
付け替えることによって、グレネードランチャー、小型ミサイルランチャー、スモークディスチャージャー、ショットガンとしても機能する。
威力は充分で堅牢な造りだが、整備性に欠けるところがある。
l126.サイバーリム……………サイバーウェアを用いた義手、義足などのこと。外見ですぐにわかるものと、見た目ではわからないものとの
2タイプがあり、傭兵などは前者を使用することが多い(安価で耐久力に優れているため)。


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