宮内さんのおはなし その二十 投稿者:AIAUS 投稿日:4月19日(水)10時14分
「マルチって、本当に小さくてかわいいよなあ」
ヒロユキがマルチの頭を撫でながら笑っています。
小さいとかわいいのでしょうか?
「はわぁーーー」
ポーっとして赤くなっているマルチ。
私もヒロユキにかわいいって誉められたいデス。

体育の授業の後、着替えの最中にあかりに聞いてみました。
アカリみたいに小さくなるにはどうしたらいいの? って。
「レミィ・・・日本語上手になったよね」
下をむいて肩をふるわせている下着姿のあかり。
「Thanks! それでね、アタシもあかりみたいに小さくなりたいのヨ!」
What? アカリ、なんでパイプ椅子を手にしているの?
「なんでいきなりそんなこと聞くの?」
なぜか低い声で聞いてくるアカリ。
Oh! まだ理由を話していませんでした。
「ヒロユキがね、小さいとかわいいって言うのヨ。それで、アタシもあかりみたい
に小さくなりたいの」
「えっ、ヒロユキちゃんが?」
びっくりした後、いそいそとブラから何か外しているアカリ。
「えー!! 神岸さん、パット入れて胸それなの!!」
吉井さんが何か言いました。
全治二週間だそうデス。

「なんやて? 小さくなりたいんやて?」
委員長のトモコならなにか知っているに違いアリマセン。
「そないなこと言うたかて、一度大きくなったもんが縮むわけはないし」
「それにあんた。そんだけデカくなって縮もうっていうのは贅沢やで」
「違うのヨ、トモコ。Bustじゃなくてheightのことだヨ」
私の顔を目を丸くして見ているトモコ。
「身長? そんなん小さくなるわけないやん」
I'm sad・・・やっぱり無理デスカ?
「そないな顔せんといて・・・背は無理やから、格好を子供っぽくしたらどうやろ?」
「Nice idea! トモコも手伝ってヨ」
「ちょ、ちょっと待ちぃ! 私はロリータファッションなんか嫌やー!」
何か言っているトモコを連れて、放課後、服を買いに行きました。

丈の短いスカート。イラスト入りのシャツ。ポニーテールから左右に分けた髪型。
背中にはランドセルも背負いました。
「Perfect! これでヒロユキもかわいいって言ってくれるヨ!」
「嫌やあ! こんな格好で人前に出たら私、もう学校行かれへん!」
アタシと同じ格好で叫んでいるトモコ。なにか変なのでショウカ?

ピンポーン!

嫌がるトモコの手を持って、ヒロユキの家のベルを押します。
「おう、レミィじゃねえか・・・???」
ドアノブを持ったまま固まっているヒロユキ。
「違う。違うんやで、藤田君! これは宮内さんがな・・・」
ヒロユキは小さく、横に首を振りました。
「委員長・・・一言相談してくれればよかったのに」
What? なにを言っているのでショウカ?
「勉強のストレスでそんなになっちまって。レミィまで巻き添えにして・・・」
「だから違う! 違うんやー!!」
トモコはその後、泣きながら走って行きました。
「何があったの? ヒロユキ」
「いいから。とりあえず服を貸してやるから、普通の格好にもどれ」
「Why?」
「レミィにまで、むこうの世界の扉を開けて欲しくないんだ・・・」
遠い目でトモコの走り去っていった方角を見るヒロユキ。
翌日、トモコは学校に来ませんでした。

困りました。子供の格好をしてもヒロユキはかわいいって言ってくれません。
どうしたら、小さくなってヒロユキに喜んでもらえるのデショウカ?
「・・・・・・・」
「セリカ先輩? えっ、これを飲めば小さくなれるノ?」
こくこく。
茶色の薬瓶を持ってうなずくセリカ。
「ワカリマシタ!」
勇気を出して飲んでみます。途端に、だんだん低くなっていくアタシの視点。
「Marvelllous! 本当にアタシ、小さくなっているよ!」
セリカの薬は本当にアタシの身長をどんどん小さく、どんどんと小さくして・・・。

「No!!!! これじゃ小さくなりすぎデース!?」
親指くらいの大きさになったアタシは甲高い声で叫びました。
セリカはアタシが見えないのか、キョロキョロと回りを探しています。

ドスン!!!

すごい音がして、今では大木みたいに見えるセリカの足が、アタシがさっきまでいた
場所に踏みおろされマス。
「It's so dangerous!! なにをするのヨ! セリカ!」
怒るアタシの上から降ってくるセリカの足。
顔はアタシを探しているかのように、キョロキョロと動かされています。
それなのに、その足は正確にアタシの逃げる場所に向かって・・・。
「NOOOO!!!! ワザと? ワザとなの?」
巨人となったセリカの顔を見上げると、その顔はにっこりと笑ってイマシタ。


「しっ、死ぬかと思ったヨ・・・」
薬は三十分ほどで切れました。セリカから逃げ回って、屋上に来たアタシ。
やっぱり、ヒロユキにはかわいいって思ってもらえないのかな・・・。
ちょっと悲しくなってきまシタ。
なでなで。
しゃがみこんで落ち込んでいるアタシの頭を撫でているのは・・・ヒロユキ?
「委員長から聞いたぜ。小さくなりたいんだって?」
でも、アタシなれなかったヨ。
ヒロユキはアタシの隣にしゃがみ込むと、ヒョイとアタシの体を抱きかかえました。
「What?」
ヒロユキに抱きかかえられたアタシは、まるで絵本のprincessのよう。
「レミィも小さくてかわいいぜ」
知っていたんだ。アタシが何を言って欲しかったのか・・・。
優しい笑顔でそう言ってくれたヒロユキ。
アタシは嬉しくなって、そのままヒロユキの唇にkissをしたのデス。

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おまけ
「あの! 園児服って作れますか?」
「できますよ。妹さんのですか」
「いえ。私が着ます」
その頃、あかりは服屋にいた。
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体当たりがドマラティックだと思い込むレミィなら、こういうSSも書けるのではないか。
というわけで書いてみました。

うーむ。日に二本のペースですね。
過去ログを保存していない人には気の毒なことをしているかもしれません(汗)。
でも、感想で面白いと言って下さる方がいますので、このペースでいきたいと
思います。

感想、苦情、書いて欲しいSSなどがありましたら、メールでお願いします。
ではでは。