宮内さんのおはなし その伍 投稿者:AIAUS 投稿日:4月8日(土)16時53分
「レミィって釣りはするのか?」
いつもの帰り道、突然、ヒロユキがこんなことを言ってきました。
「Huntingはよくするけど、fishingはあまりしたことがありまセン」
「ああ、親父さん、狩りの方が好きそうだもんな」
ヒロユキは私のこと、よくわかってくれているネ。DadはRodよりもGunの方が好き
なのよ。
「それじゃあさ、今度、一緒に釣りにいかねえか。雅史が古い道具一式、俺にくれた
んだよ。新しいの買ったからって」
「アタシ、fishigよりもhuntingがしたいヨ」
「日本じゃな、狩猟は許可がいるの。嫌ならやめとくか?」
「嫌じゃないよ。うん、一緒にfishingしましょう」
「Ok! それじゃ決まったな」
ヒロユキはそういうと嬉しそうに笑った。でも、アタシにfishingなんてできるの
でしょうか?


その日はとってもfine day、気持ちいい日本晴れデシタ。
アタシはヒロユキのアドバイス通りにラフな格好で出かけマス。準備は全部、
ヒロユキがやってくれるそうデス。
待ち合わせ場所にいたヒロユキの格好はアタシと同じ、ラフなスタイル。こういう
ヒロユキもいいネ。
「よお。グッドモーニング、レミィ」
「Good morning! 今日はとってもfine dayネ!」
[おう。絶好の釣り日寄りだな。今日は無謀にもタイを狙うぞ!」
「タイ? ...外国の名前ですか?」
「お約束を。見たことあんだろ。こういう魚だ」
ヒロユキの見せてくれたポケット図鑑の中にpinkのとてもきれいな魚がいます。
「Sea brame?」
「なんだよ、そりゃ?」
「この魚の名前。でもこんなきれいな色じゃないヨ。もっと薄い黒の魚ネ」
「そりゃクロダイじゃねえの? 今日釣るのはこのマダイだ」
こんなにきれいな魚が日本の海にはいるのネ。なんだか、もっと日本のことを知り
たくなってきまシタ!
「それじゃもうすぐ船が来るから、乗せてもらうぞ」
「Yes!」


ponponponpon.......
面白い音を立てる船に乗って、アタシとヒロユキは小さな島にやってきまシタ。
なんでももう人の住んでいない島とかで、今、アタシとヒロユキは二人っきり!
なんだかドキドキしてしまいマス!
「おーい! それじゃ始めるぞー!」
ヒロユキはそう言いながらエサにつかうエビを針につけていマス。私の竿の針にも
エサをつけてくれていマス。何も言わないのに優しいよネ。
と、思いながらヒロユキを見ていると、その手に握られているのは.......。

「Worm!!!!!!!!」

びっくりした顔でアタシを見ているヒロユキ。
「どうしたんだよ、いきなりでかい声を上げて」
「ヒッ、ヒロユキっ! そっ、それ、そのworm!」
「うん? ああ、これはチロリって言ってな、キスがバンバンつれるんだよ、ほれ」
そう言ってヒロユキが見せてくれたのは、赤いウネウネと動くworm...。
「きっ、気持ち悪くないノ、ヒロユキ!」
「別に。エサだろ、こんなもん」
そう言うと、ヒロユキは自分の分の竿を手早く投げてしまいました。
ブン!
きれいなカーブを描いて飛んでいく釣り糸。見とれているアタシ。
「ほら、次はレミィの番だぜ」
「Oh...アタシ、wormのついていない方がいい。交換しない? ヒロユキ」
「駄目。タイのアタリなんてわかんないだろ、レミィには」
「What? クジですか?」
アタシのお願いは却下され、ヒロユキはそのまま自分の竿を使うように言った。
でも、投げ方を教えてくれる時に、少しヒロユキが抱っこしてくれる形になった
からいいカナ。

ヘロヘロヘロー、ポチャン!
頑張って投げたのですけど、あまり遠くまで飛びませんでした。
「残念デス。One more try!」
「遠投競争じゃねえんだからな。すぐに仕掛けを上げるんじゃねえの」
そうです。アタシ達はfishingに来ているのデシタ。
でも、何か忘れているような......。さっきのworm。とても気持ち悪かったあれが
何か嫌なことを思い出させるような気がシマス。

三十分後。
ピクピク。
ヒロユキとおしゃべりしていたアタシの手に、いきなり振動が伝わってきまシタ。
「Oh! I gatta fish!」
リールを巻き上げると、そこには銀色に輝く細長いfishが!
「ヒロユキ、やりまシタ! アタシ、タイを釣ったよぉ!」
横でボーとしていたヒロユキがアタシの方へ駆け寄って来ます。
ああ、あつい抱擁とkissが待っているのでショウカ。
今、この島にはアタシとヒロユキの二人っきり。
まっ、まさか、ヒロユキ! そんなことまで...。
「おお、いい型のキスだな」
ああ、やっぱりkissするんデスネ。アタシは目をつむり、ちょっと顔を上向き加減に
して、ヒロユキが来るのを待ちまシタ。

一分経過。
「なにやってんだ、レミィ」
「ええ! ヒロユキ、kissしてくれるんじゃないノ?」
「??? レミィが釣ったキスなら、クーラーボックスの中に入れといたぜ。ほら、
これがレミィの釣った魚だ」
そう言って嬉しそうにポケット図鑑を示すヒロユキ。その指先には.......。

魚名、キス。
日本全国で釣れる。初心者向けの魚。

Noooooo! なんでこんなまぎらわしい名前をつけマスカ!
「ほれ、エサつけ終わったぞ」
そう言ってヒロユキが渡してくれた竿の先にいるのは、やっぱりさっきのworm。
もう慣れたけど、なんかこの赤いウネウネと動くものを見ていると、嫌な予感が
頭の中をよぎりマス。
ヘロヘロヘロー、ポチャン!
どうして、ヒロユキのように遠くに飛ばないのでしょう?

二時間後。
アタシは八匹釣りました。
でも、ヒロユキの竿はピクリとも動きません。
「釣れないね、ヒロユキ」
「うん? まあ、タイだからな。こんな日もあるさ」
そう言うヒロユキの顔は寂しそうな、でもなにかを待っている顔デシタ。
「おっ、レミィ! また引いてるぞ!」
「Oh!」
アタシはすぐにリールを巻きました。でも、手応えはまるでなくて、ズルズルとなにか
を引きずるような感触デス?
「ヒロユキ! 何か変ナノ!」
ヒロユキはアタシのそばに走ってくると、とりあえず巻いてみれば、と言いました。
なるほど。虎穴に入らずんば虎児を得ず、デス。
ズルズル、ズルズル。
何か嫌な予感がしマス。
小さい頃、Dadとfishingに行った時に、こんな経験があったような...。
思い切って引っ張り上げると、アタシの顔の前に飛んできたのは真っ赤な....。
「Nooooo!!!!!! Devil fish!!!!」
「おっ! タコじゃねえか、やったな、レミィ!」
ヒロユキのはしゃぐ声が聞こえましたが、あの赤い悪魔を見た時にアタシは気を
失っていました...。


気がつくと、アタシは寝ていまシタ。
なんだか気持ちがいいデス。
「目、覚めたか」
気がつくと、アタシはヒロユキに膝枕をされていまシタ。
「アタシ、気を失っていたノ?」
「ああ。アメリカ人って本当にタコとか嫌いだったんだな。びっくりしたよ」
「昔ね、Dadとfishingに行ったときに、あいつに出会ったの。Dadは竿を放り出して
逃げちゃって、アタシは頭に張り付いたあいつに......」
「いいって。思い出さなくても。悪かったな、今日は」
そう言って、ヒロユキは頭をなでてくれマス。
「にゃははー」
「ほら、そろそろ船が迎えに来るから片づけるぞ」
ヒロユキは立ち上がると、あたしの手を取って起こしてくれまシタ。
「あの、結局、ヒロユキは釣れなかったの?」
「まあ、釣れないのも釣りの楽しみの一つだからな。しょうがねえよ」
「でも、あたしが気絶していなかったら.......」
「それはいいって。誘ったのは俺の方だから」
そう言ってヒロユキは、にっこりと微笑む。

ああ、神様。ヒロユキに釣らせて上げて下サイ!
ヒロユキはアタシに優しくしてくれたヨ!
いいことをしたら、いいことになって返ってくるものヨ!
アタシがそう願うと、ヒロユキの竿がピクっと動いた。



アタシの家の前。
袋の中にはキスが八匹と一匹の大きなSea brame。
「いいの。本当にアタシがもらっちゃって。せっかくヒロユキが釣ったのに.....」
「今日はレミィは頑張ったからな。いいってことよ」
照れくさそうに笑うヒロユキに、アタシは自分からキスをした。
「おっ、おい! 魚のお礼にしちゃもらいすぎだぜ」
「いいのヨ! 神様へのお礼も一緒だから」
いつかヒロユキの方から本気のキスをしてくれる。
アタシはそんなことを神様に願った。


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おまけ

「ヘレン...fishingに行ったのデスカ?」
「そうよ。あのDevil fish を釣り上げたりして大冒険だったんだカラ!」
「そのDevilはどうしたのデスカ?」
What? そう言えばヒロユキは重そうにクーラーボックスを抱えていたような気が。
「日本人はあのDevilを食べマス。あれだけはどうしても苦手で......」

国際結婚って難しそうです。

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うーむ。レミィ視点で書いてみたのですが、中途半端になってしまいました。
やっぱり短くならないし。
何か、コツみたいなものでもあるのでしょうか。