宮内さんのおはなし その壱 投稿者:AIAUS 投稿日:4月7日(金)02時27分
幼稚園の頃から、ずっと一緒だった。
みんな、意地悪だとか、こわそうだって言うけど、
本当はとっても優しくて、おせっかい。
浩之ちゃんのことはみんなわかっているつもりだった。
好きな食べ物、好きな色、好きな音楽......。

でも、一つだけわからないことがある。
はっきりしているのは、私は浩之ちゃんが好きだっていうこと。
浩之ちゃんは私のこと......。



場所は学校の廊下。
その時、藤田浩之は一つの選択を迫られていた。
手に握られているのは、布製の小さな袋。
「OH! それ、日本のお守りですカ?」
「ロボットにも、お守りって効果があるのでしょうか?」
目の前にいるのはレミィとマルチ。
そのどちらにお守りを渡すべきか?
ドジっぷりでは理緒ちゃんと同率一位のマルチ。
勘違いとハンターモード搭載の別の意味で危なっかしいレミィ。
悩み抜いている浩之の袖を後ろから引っ張るものがいた。
「あの......浩之ちゃん」
「んっ、あかり。ちょうどよかった。このお守りさ.......って、どうした」
いきなりボロボロと涙をこぼし始めたあかりを見て、浩之は驚く。
「どっちが好きなの?」
いきなりのあかりの質問に、浩之は言葉を失った。
「おっ、おい。こんなところでさ.......」
「どっちが好きなの!」
あかりの大声に廊下を歩いていた生徒達が一斉に振り向く。
気まずそうにあかりを見ている、レミィとマルチ。
「あっ、あの、これが修羅場っていうやつですか?」
マルチの質問にレミィは答えない。浩之の背中越しに自分を見ているあかりを
見つめ返す.......。

???

「あかり。どこを見ているノ?」
あかりの視線はレミィの青い瞳ではなく、その下の方にそそがれている。
「はっ、はうぅうう! にらまないでくださいぃぃ.......あかりさん?」
マルチも同じことを疑問に思ったようだ。
そんな二人の疑問に気づかず、浩之は覚悟を決めていた。
「あっ、あのな。俺はあかりのことが......」
あかりは浩之に最後まで言わせずに、大声で叫ぶ。

「一体、どっちの胸が好きなの!」

固まる空間。呆然とする浩之、レミィ、マルチと、聞き耳を立てていた生徒達。
あかりは生徒達をかきわけて、廊下の向こう側へと走っていく。
浩之は追いかけることもせずに、後ろで固まっている二人を振り返った。

「強いて言えば、どっちもかな」

「じゃ、ねえだろ!」
それほど大勢のつっこみが同時に決まったのは、本場神戸でもあまり例がない
ことだと、後に保科智子は語ったという。



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はじめて投稿させていただく、AIAUSというものです。
ps版のvsイベントから思いつきました。
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ではでは。