”too hard” chapter-1  投稿者:DEEPBLUE 投稿日:8月12日(土)10時22分



 あの日の雨の音を、覚えている。




 針のように尖った雨粒が、とげのように肌に刺さっていたことも。







     too hard




「ヒロユキ・フジタ…カウンターテロ専門の傭兵…日本人かね」
 灰色と銀色の入り交じった頭髪を奇麗に撫で付けた男性が、資料を手に言う。
「役にたつのかね?」
「任務達成率は93%。ポイントからすれば、登録名簿の中でも13番の腕。一流と言っ
ても良いでしょうな」
 男の前に立つ、こちらも男性であるが、口調からして部下にあたるようだ。
 だが、声や外見からすれば、直立する男性の方により老成したものがある。
「13、ね」
 上司であるらしい、若い方の男性の唇が皮肉げに歪む。
 それは順位を揶揄したものではない。キリスト教圏にとって13という数字がそれだけ
忌まれるものである、ということからに過ぎない。
 むしろ、戦闘的な国家でもなく徴兵制すらない日本の生まれの者がそこまで高い評価ポ
イントを得ていることに驚かされる。
 無論、この登録名簿に世界中すべての傭兵の名が連ねてあるわけではないが、それでも
自由圏で幾らかでも稼いだことのある傭兵ならほとんど網羅しているといって良いだろう。
「わかった。この男も救出メンバーに加えよう。連絡はとれるかね?」
「傭兵ネットに連絡を入れて、あとは返答待ちですな。多くのフリー達と同様、定住先を
持っていないようですので」
「傭兵ネット?」
「そんなものも最近はあるようですな。時代も変わってゆくものです。私たちの時代には、
まず仕事を得るツテを探すのがもっとも厄介な仕事でしたが」
「そこに、求人広告でも乗せるのかね?ニューヨーク・タイムズのように、日給を書いて?」
「似たようなものですな。管理者に仲介料を振り込み、入れ替わりに個人情報がメールさ
れてきます。現在の連絡先、個人の略歴に年齢、名前…」
「わかった。じゃあ、連絡を…」
「既に」
 応える部下の手には、携帯端末が握られていた。


                    *


「Hi!”ハジメマシテ”。…上手いでしょう、日本語?」
「…」
 不機嫌そうな、愛想のかけらもない視線を返されても、呼びかけた方は一向に気にしな
い様子で微笑を浮かべている。
「あなた、Mr.フジタでしょう?へえ。こんなところで有名人に会えるなんてね。いえ、
こんなところだから会えた、のか」
 青い瞳、ブロンドの髪、白い肌。アングロサクソンには間違いないが、声質に比べてど
ことなく幼げな顔つきである。
 だが、なによりの特徴と言えるのは、彼女が──そう、『彼女』が、女であることだ。
 正規の軍隊にはいまや女性も珍しくはない。共産圏や第三国家では女性の民兵やゲリラ
も多い。
 戦う女性自体が珍しいわけではない。だが、それでも、傭兵の、それも自由圏で活動す
る女性となると、さすがに数えるほどになる。
 戦場を選ぶ自由が無いとはいえ、最終的な生存率も実入りも結局は正規の兵のほうが上
だからだ。
 国連による条約は傭兵の人権を保障してはいない。
 一度戦った時の報酬は大きいが、仕事をしなければまったく収入は無い。
 その報酬も、西側でなんらかの組織に、──そう、まるで派遣会社のサラリーマンのよ
うに、だ──属していての話で、仕事の多い共産圏や第三国家で、だが幾ら仕事をしたと
して、それは傷が増えるばかりで貯金が増えることはない。そして、死んでしまえば、そ
れで終わり。自由圏からわざわざそんなところまで戦いにいくのは、既にキチガイのレベ
ルに達した戦争マニアの、命懸けのホビーである。
 それでも、そういう人間は確実にいる。
 同様に、数少ない例外である女性傭兵が目の前にいたとしても、彼、藤田浩之の興を得
るには至らなかったのだろう。
「ああ、失礼。わたしはレミィ…レミィ・ミヤウチ。日系よ──ああ、名前でわかるわね。
まあ、見ての通り父方の血の方が強いみたいだけど。短い間でしょうけど、チームメイト
ということで…よろしく」
「…ああ」
 初対面にしては人懐こいレミィに対し、浩之の方はあくまでそっけないままだった。三
白眼の、眠たそうにも怒っているようにも見える表情も動かない。
「…フゥ。ほんと、日本人ね…スケベなくせに無愛想」
 逢ったばかりの浩之に対して、どういう根拠なのか、断言するレミィ。
 その呆れたような表情は、しかしぐいっと浩之の顔を覗き込んだ時にはもう満面の笑み
に変わっていた。
「ヒロユキって呼ぶけど、いいわね?わたしもレミィ、でいいわ」
 浩之は答える代わりに、軽く肩をすくめた。
 了解の意と取ったのだろう。レミィは、笑顔のまま肯いた。
 周囲には、同じミッションのために雇われた、つまりは浩之たちと同じ傭兵たちが、そ
れぞれ適当に距離をとって思い思いの時間を過ごしている。武器の手入れをしている者が
多かった。──とはいえ、浩之とレミィを含め総勢10名ほどの数であったが。
 映画やコミックのように、「イエローに対してデモンストレーションを含めた苛烈なコ
ミュニケーションを求める」ような人間はここにはいなかった。
 金にならないことはしない。生きるために無駄な時間も体力も使わない。喧嘩してつま
らない怪我を負うくらいなら、寝ていたほうがマシだ。
 なにより、(個人の好き嫌いはともかくとして)”戦争”という一種の技術者集団であ
る彼らに、肌の黒いも白いも関係なかった。民族主義の闊歩しやすい正規の軍隊とは、事
情が異なる。
 戦場次第で黒人(ブラック)とも、アジア人(イエロー)とも、イスラム教徒(ムスリ
ム)や共産主義者(コミュニスト)と組むこともある。選り好みをしていては、自分の命
に関わる。
 レミィは浩之との会話に満足したのか、今度は別の傭兵のところへ駆けてゆくと、話し
掛けだした。さっきと同様、自己紹介しているらしい。
 その光景を見るともなしに視界の端にとめながら、浩之は自分の武器を取り出すと、調
整のためにバラしはじめる。
「M870、ブルドック。古い武器をお使いですね」
 硬質の声に振り向くと、声と同様硬い無表情の顔がこちらを覗きこんでいた。
「ショットガンは人質の救出、及び屋内の使用には向きません。今回のミッションには不
向きと思いますが」
 錆びたような色の長い髪、アジア系の顔のつくり、色白の肌。
「これだけが手持ちじゃねえよ」
 応えながら、また女傭兵なのか、と一瞬考えて、だがすぐにこれを改める。
 耳につけられた、鋭角のパーツを見たからだ。
「セリオタイプか」
「パーソナルネーム、セリオです。そうお呼び下さい」
 自己紹介で、クルスガワロボテクス社製HM云々などと始めないあたり、おそらくは情
動機能のついたタイプなのであろう。
 というより、情動機能をもっていないロボットが用もなく他人に話しかけることなどあ
るはずがない。
 ちなみに、クルスガワロボテクス社とは”メイドロボ”の開発で最大手であったクルス
ガワエレクトロニクスが、ロボット開発部門を独立させて創った企業である。
 ”メイドロボ”に代表されるアンドロイド(人型ロボット)も含めた、個人用・工業用
・軍事用といったあらゆるロボット開発に、この会社の名を聞かぬことはない。
 セリオタイプ、とは一般的な呼称で、クルスガワ製メイドロボのロングセラー商品であ
る”HM−13セリオ”を始めとする一連の”セリオシリーズ”を指す言葉だ。
 情動機能、とは感情を表現してみせる機能である、と一般的には言われている。心その
ものだ、と主張する人間も、たまにはいるのだが。
「ロボットが傭兵なの?ご主人様の代理?」
 いつのまに戻ってきていたのか、レミィが浩之の脇に陣取り好奇心旺盛な仔猫の如く目
を輝かせていた。
「現在、わたしの主人は存在しません」」
「は?」
「……?」
 セリオの奇妙な返答に、レミィも浩之も怪訝な顔をする。
「正確にもうしますと、個人としての私の所有者をあらわす”主人”は存在しておりませ
ん。現在のわたしの所有者は、傭兵派遣企業としての法人となります」
 そう言って、セリオは自分の属する社名をあげた。それは、浩之も名を知る、小人数だ
が確実な仕事で知られる組織であった。
「あ、そういうこと」
 レミィが、得心した顔で頷く。
 軍事用のアンドロイドも、存在はする。しかし、それは法外に高価なものだ。最新型の
スティルス戦闘機一機分とほぼ同じ値がかかる。
 ゆえに、一般的な民営の傭兵組織が使うのは、主に中古市場の個人用ロボットを改造し
たものである。
 レミィはその説明だけで納得してしまっていたが、浩之としてはまだ疑問が残っていた。
「でもお前、”ラフ”だろうが」
 ”ラフ”は情動機能を持つロボットを指す俗語である。”笑う”からだ。情動機能を持
つ理由としての、最も必要とされる機能が”愛想笑い”であることの揶揄でもある。”心”
をもつロボットに対するスラングのなかでは、一番マシな方の言葉だ。
「はい。わたしは情動機能を有しています」
「傭兵組織は、普通”ラフ”なんか使わねえ。高価いからな」
 情動機能をもつロボットは、これを持たない、同程度の機能のロボットと比較して少な
くとも二倍以上は高い。”愛想笑い”など必要としない傭兵会社が、なぜ彼女を使ってい
るのか。
「わたしの以前の主人は、788日と15時間前に死亡しています。わたしの所有権が移
されるべき、全ての係累の方々も一部を除いて同様です」
 浩之の疑問に対して、セリオはそう話し出した。
「わたしは、前主人の最後の命令を遂行するため、及びそれまでわたしの状態を維持する
必要を満たすためにはこの傭兵という仕事が最適と判断し、傭兵ネットを通じてわたしを
”売り”に出しました──情動機能を持たないロボットとして」
 つまり、もともと彼女は本来の意味で”メイド”ロボであったということになる。それ
ならば。
「軍事用でもないロボットが……命令遂行のために、人殺しを択ぶのか?」
 浩之の口から、疑問が滑り出る。
「一部の公的機関、そして国に許可を得た組織に限り、AIに殺人許可を与えるキーを所
有しています。また、わたしのいた国では犯罪発生率、及び国民の武器所有率が極めて高
いため、主人の許可がある場合に限り防衛権を行使することが可能になります」
「ロボット三原則なんてのは昔の話よ、ヒロユキ。」
 レミィが、軽くセリオの説明にフォローを加えた。
 要は、”銃の国”の理屈だ。人を殺せる道具はあっていい。使う人間に責任がある。
 セリオの言葉は、浩之の疑問に完全に答えているものではなかったが、レミィが間に入
ったことで浩之はその部分を問い詰めるタイミングを見失ってしまった。
 そこで、質問を切りかえる。
「一部、と言ったな」
「──」
 浩之の台詞の意図を図りかねた様子で、セリオは彼の目を見返す。
「お前の主人の家族の、生き残りのことだ。なぜ、そいつに仕えない?それとも、そいつ
がお前を傭兵として売りに出したのか」
「いいえ。わたしを”売った”のは、わたし自身の判断によるものです。ですがたしかに、
わたしが死亡を確認していない係累がおります。わたしの前主人の、長女にあたる人物で
す」
 回りくどいセリオの説明に──無論、彼女は極めて直接的に、かつ簡便に話しているつ
もりなのであろうが──浩之は、無言で続きを待つ。
「その人物は、788日前に前主人の邸宅を襲ったテロ組織に、同日攫われました。当時
14歳。現在生死不明。前主人の命令は、その人物を探し出し、救出することです」
 セリオの言葉を、浩之は、なんともいえない顔つきで聞いていた。なにか、非常に複雑
な想いを内に押し殺しているような、そんな表情で。
「それが、わたしが傭兵となった目的のひとつです」
「──ひとつ?」
 レミィが、セリオの微妙な言い回しを反復する。
「もうひとつは──それほど重要なことではありません」
 セリオは、まるで何かを物思うように、わずかに視線を落とした。まるで、ニンゲンの
ように。
「わたしの情動機能が命じます。前主人を殺した人間たちのデータを保持し続けること。
その人間たちを”殺す”こと」
 レミィも、そして浩之も、セリオの言葉に目を見開く。
「わたしの言語野は、この情動パターンを”復讐心”であると記憶しています。これは正
しいですか」
 セリオの質問に、二人は応えられなかった。
「ご主人様は」
 ”前主人”という言い方を、セリオは初めて捨てた。
「わたしを、”愛している”と言って下さったのです」


                    *


「…──だ。つまり君達は一時的に正規の部隊に編入される。作戦時間内はこちらの命令
に従ってもらう。以上だ」
 雇い主の指示に、無論笑顔を見せた者などはいなかったが、あからさまに反対意見を示
す者もいなかった。
 この国で起きた事件を、この国の軍隊が解決する。その建て前こそが、人質の命よりも
重要であるのだ。
 正規の部隊に編入、というが、実状は逆だ。傭兵ばかりの集団に、2、3人の正規兵が
入ってくるのである。
 恐らくは通信兵が一人、お目付け役の将校が一人。医療兵でも入っていればマシだろう。
「自由にやらせてくれればいいのに」
 軍の人間がいなくなったあと、アメリカ人らしいオーバーアクションで嘆いてみせたの
は、レミィである。
「規律とお題目の食べ過ぎでカロリーオーバーのアナタたちよりはうまくやってみせるわ
よ」
 たしかに先ほどの、恐らくは将官であろう男は、軍人にしてはやや太りぎみであった。
 レミィのジョークに、傭兵達の間に笑いが拡がった。
 浩之も、苦笑する。
 レミィはこういう殺伐としかねない場を上手くまとめる、特殊な才能を持っているよう
である。
 作戦開始は24時間後。正確には23時間と13分…27秒後だ。
 日本製のデジタル時計を見ながら、浩之は頭の中で作戦までのスケジュールを組み立て
る。
 睡眠を八時間取るとして、作戦開始前の最低3時間前には目覚めなくてはならない。
 現状確認。
 もはや事件としての意外性も薄れてきた、テロリストグループによる不法占拠が彼らが
駆り出された理由である。
 テログループは、さる企業が借り切りパーティ会場としていた豪華客船に侵入。これを
占領し、客と船員達を人質にしている。
 この企業というのが、困ったことにまたもや日本企業だ。国内が無職者であふれる現在
となっても、まだ日本という国は金の象徴と映るのか。それとも、それほど防犯意識がお
ざなりなのか。
(まあ、多分両方か……)
 日本の会社は儲けにつながらないところに金を掛けたがらない。それが結果的には、よ
り多額の損失を産み出すことになるというのに。
(……関係ねえか)
 柄にもないことに考えが及んでしまったことに苦笑して、浩之は状況整理を続けた。
 人質になっている、と思われるのは35人。うち現地人が5人、船員が9名である。そ
の他の人質は、つまり全員日本人ということだ。浩之や、日系であるレミィが呼び出され
たのも、ここに関係してのことだろう。人質と会話が出来るに越したことはない。あとは
メイドロボが何体かいるはずだが、これは”回収”の必要はない、そうだ。
 対するテログループの人数は、15人”ほど”だという。正確な人数が調べきれていな
い現状には、舌打ちしたくなる。だが逆にテロリストの側から考えれば、人数を知られる
のはかなり痛手である。その分細心の注意をもって行動しているのだろう。戦闘における
彼我の総戦力は、もっとも基本的にして大事な情報なのである。
 政府から渡された資料は、船内の内部構造図。人質たちの顔写真とデータ。遠距離撮影
されたテロリストたちの写真が数葉。
 これはすべて、作戦までに頭に叩き込んでおかねばならない。作戦中にいちいち地図を
広げて現在地を探している余裕など無いのだ。
 周囲を見回すと、皆黙って資料に目を通している。やることは皆同じだ。
 個性がないと言われればそれまでだが、生き残るにはそれだけ道が限られてくる。
 個性で生き残れるのなら、彼らはフリーマーケットで街頭パフォーマンスだってやって
みせるだろう。
「ヒロユキ。おでかけの準備はどう?」
 いや、ひとりいた。
 この一様に灰色の空間の中で、ひとり異彩を放つ人間が。
 レミィは戦争(政治関係者が何と言おうが、やらかすことには変わりはない)をする前
とは思えぬ無邪気な笑顔で、浩之の顔を覗き込んできた。
「記憶力は良くないんでね」
「それは良くないわね。生き残るには腕より何より、まず頭よ」
 レミィの言うことは、おおよそ間違ってはいない。技術も体力も二の次だ。勇気など論
外だ。馬鹿は生き残れない。
 タフガイだろうが虚弱であろうが、銃弾を受ければ等しく死ぬ。どんなに速く走れよう
とも、銃弾より速くは走れない。
 本当に危険な場面であるなら、臆病者の方が生き残るのだ。
「──そのことなら自信はあるさ」
「頭いいの、ヒロユキ?」
「いや、ちがう。……こっちの話だ」
「そう」
 深く詮索する気はないらしい。…と思いきや、レミィは浩之の隣、腰がくっつくような
位置に座り込んだ。
「おい」
「はい、それじゃあ聞きましょうか」
「なにをだよ」
「”こっちの話”」
 レミィの、日系の血を連想させる幼い輪郭の顔に、にんまりとしたいやらしい──それ
でいて何故だかいやみを感じさせないのが不思議である──笑みが浮く。
「別に変な意味じゃねえ」
「変な意味ってどういう意味?」
「なんでも無いっての」
「話してくれないの?遠慮なんかすることないのに」
「してない」
「…ま、いいわ。夜は長いんだし?」
「話すことなんてねえよ」
 言ったきり、本当に黙り込んで銃の手入れを始め出す浩之に、レミィは呆れたように溜
息をついてから、再び微笑を彼に向ける。
「セリオの話を聞いてから、顔が怖くなったわね、ヒロユキ?」
「……」
「メイドロボに、なにか嫌な思い出でもあるとか?」
「ねえよ、そんなものは」
 応えてから、いささか返答のタイミングが早すぎたか、と後悔する。感情的な返事と取
られても無理はない。──そして、事実その通りでもある。
「どうなのかしらね、セリオの話。いくら”こころ”があったって、ロボットって、人間
と愛し合えるのかしら?そういう趣味のマニアはいっぱいいるみたいだけど」
「……」
「わたしの家にも、マギー……クルスガワ・メイドロボがいて、お姉さんみたいには思っ
てたけどね」
 レミィの独り言のような呟き声を、突然の外からの囁くような音が、覆った。
「……雨か」
 よほど苦々しい顔をしたのだろうか。レミィが眉を寄せる。
「嫌いなの、雨?」
「いや……苦手なだけだ」
 それきり浩之は、興味を失ったように手元の銃に視線を戻した。

「雨も、ロボットもな」







 "too hard" chapter-1
         by DEEPBLUE





第2話は、AIAUSさんのところにあります。
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