−1番乗り。 っていうか、スフィーは全然活躍してませんが。 (今回はオゲレツ&ぶっちぎりバトルハッカーズなネタですみません。) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ふきふき大戦争」 by AE 2000.4.28 「ねぇ、スフィー姉さん」 久しぶりの休日。 骨董屋の窓の外にはスズメの声。 客がいない静かで平和な午後。 仮店主が煎れた香り高いダージリンを味わいながら、眼鏡をかけた妹が静かに問いかけた。 「ふきふき・・・って、知ってる?」 ちゃららららららぁ〜ん!! リアンがあらわれた! スフィーはふいをつかれた! リアンのせんせいこうげき! スフィーに9999ポイントのダメージ! スフィーはどくにおかされた。 スフィーのすばやさがおちた。 スフィーのぼうぎょがおちた。 スフィーはのろわれてしまった。 スフィーは詠唱が上がった。 スフィーはねむってしまった。 スフィーはぜんめつした。 「ちょっと! だいじょうぶ?!」 へんじがない。 ただのしかばねのようだ。 おお、スフィー。 しんでしまうとはなさけない。 とにかく起きてくれたまえ。 「ちがうわ! ちがうのよ! わたしはスフィーなんて名前じゃないわー!!」 と、自己の存在を否定する魔法少女十九才。 ちなみに第二形態に進化済みであるところが捨て置けない。 私的には第一形態のままEDまで行くのが健全な日本男児の姿かと思うのだが、 それはそれでまた幼しい目的が垣間見られて非常に危険な嗜好であると考えるが、どうか? 「わ、わわ、わたしそんなチェックのハンカチとか、ポケットティッシュとか、 果てはハチミツとか生クリームとか、盛られちゃったりなんかしてないわー!!」 人、それを自爆と言う。(当たってたら誰か何かくれ) 「ちょっと、落ち着いてよぉ!」 優しい妹は、姉の背をさすった。 「い、いやあーっ! 拭かないでぇぇぇーーっ!」 りろりろりろ。 スフィーはルーラをとなえた。 スフィーは因果地平に旅立っていった。 「・・・逝っちゃった・・・」 途方にくれるリアンだった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 一方、店の外では。 「──今日も手掛かりはなかったようですね」 「そうだねぇ」 今日も「謎」の散策に抜かりがない、赤毛の破壊神たち。 そこに謎がある限り、彼女たち求道者の旅は続くのである。 そのとき! 彼女達の耳に件のセリフが響きわたった! 『い、いやあーっ! 拭かないでぇぇぇーーっ!』 「セリオちゃん!」 「神岸さま!」 共にぶつかる視線と視線! 流れる二人のテーマソング! 今回は「恐竜大戦争アイゼンボーグ」の節でどうぞ! (←わかる人いるのか、おい!) 山が火を拭き 大地が割れて コウイチ ヒロユキ 攻めて来る 「ティーシュペーパー! ハンカチーフ! ポケットティッシュ! 濡れタオル! 」 スーパーパワーのふきふき軍団 岩をけちらし 木を倒し 指がうごめき 乙女をねらう 「アカセリボーグ!」 (← 耳カバー付き飛行ドリル戦車を操縦する神岸あかりの図) 急げ 濡れる火の山へ アカセリボーグ アカセリボーグ アカセリボーグ アカセリボーグ アカセリボーグ アカセリボーグ 恥丘をまーもーれーっ! うむ、とうなずいた二人は声の方向へダッシュ。 時代物ののれんをくぐり、店内へ飛び込んだ。 そして度肝を抜かれた眼鏡っ子に向かって、 「──いまここに」 「”ふきふき”がいませんでしたか?!」 「え、あ・・・?」 「わたしたちは”ふきふき”の謎を追い求める者」 「──魔境伝説アカリバンチとお呼び下さい」 「・・・それはそれとして。 いったいなにがあったんですか?」 「え? えーと、い、いらっしゃいませ!」 とりあえず接客する優しいリアン。 本編でも、こういう性格だと信じたい。 「あの、今日は古いおもちゃが安いんですよ」 五月雨堂はこういうお店じゃありません。 「このグランドバース初期生産バージョンなんて、他の店では十万の価値が・・・」 ちなみに身内で三隻購入したが、いずれも二期以降だった。 「あ、じゃあ、可変ガルビオンなんていかがでしょう? ロードアタッカーにはならないんですけど、ちゃんとTV通りに変型するんですよ」 浅草で五百円で買ったのが四万で売れた。 「──トレッドはありませんか?」 「え? ああ、モスピーダの! ・・・これですね?」 レジの奥から埃を被った戦闘機を取り出すリアン。 「──レギオスではありません。アーモブースター・トレッドを探しているのですが」 「お客さん、通ですねぇ」 「セリオちゃん、セリオちゃん」 マニアックフィールドに包まれ始めたセリオをつつく、神岸あかり。 と同時に、セリオと共にレザリオンの可変合戦を始めたリアンが我に帰る。 「あっ、そうだ! ね、姉さんが大変なんです!」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 泣きながら姉の様子を説明したリアンは、やっと落ち着いたようだった。 「──やはりここにも被害者が・・・」 「被害者・・・なんですか?」 「リアン様の姉上はきっと・・・」 「”ふきふき”に取り憑かれちゃったんだよ!」 「そ、それはいったい・・・?」 「──魔獣、妖怪、超常現象・・・その正体は全くわかりません」 超常現象の一種かもしれないが。 「──取り憑かれた者を宿主として広がっていく、ウィルスのような一面もあります」 ・・・そうだったのか。 「とにかく、わたし達はこれ以上犠牲者を出さないためにも力を合わせて・・・」 そのときである!! (なんかこのシリーズ、こういう展開が多いよな。) 「「ふはははははははははははははーっ!」」 店の外から愛らしいバカ笑いが響き渡った! 「──ま、まさか!」 「ついにヤツらが姿を?!」 ダッ、と店の外に踊り出た三人の目の前には! 「これ以上の詮索はおよしなさい」 「そうですー」 黒髪おかっぱ頭の膝小僧がまぶしいスレンダー系少女。胸に「1」。 緑色おかっぱ頭の耳カバーがまぶしいツルペタ系少女。胸に「12」(←1に×)。 二人とも、蝶のようなアイマスクにセーラーというお揃いの衣装。 「わたしたちは」 「さまよえる愛の使徒」 「「ふきふきシスターズです(ー)」」 (takatakaさん、ごめんなさい。) ・・・第三勢力が出現した。 「これ以上探るというならば・・・」 「あなたにも仲間になってもらいますー」 二号はCDラジカセを取り出した。 「これを聞くのですー」 ポチっ。 そして響き渡る To Heart トラックNo.32。(←あの曲ね) 「こ、このピアノロールの調べは・・・」 あかりの脳裏にアノ甘酸っぱい思い出がよみがえる! 「ど、どうしたのですか、神岸さま?!」 「か、身体が火照るよぅ・・・」 ギルの笛のごとく、あかりの良心回路がピンク色に染まっていく! 「え、えへへぇ・・・一度お家に帰ってシャワー浴びなきゃあ・・・」 「神岸さま、しっかり!」 「そんでもって、追い出されて玄関をドンドンだよぉ・・・楽しいなあ・・・」 かなり錯乱している模様。 「この曲に耐えられるリーフキャラは皆無です」 「おっきなクマさんがいっぱい・・・待ってぇ!」 「あああ、このままでは神岸さまが?! こんなとき、こんなとき、あの方が居てくれれば・・・」 出番だ。 「待ちなさい、このふとどき者めっ!」 「だ、誰ですかー?!」 どこだっ、どこだっ、と戦闘員のように辺りを見回す二号。 「純真な乙女に不埒な行為は許しません! 特にそっちの緑の方!! あたしの許可も無く、ぷにぷに人形やら、三度目のフルアクションフィギュア化やら、 果てはあたしとタメ張ってハーフボックスのイラストにまで・・・ ・・・とにかく絶対に許せないっ!!」 結構、根深い。 「とおおおぉーーっ!」 気合一閃!! ぐるぐるぐるーっとバク宙を決めながら、両者の中間に着地するその人は!! 「遊星仮面アヤカ、ここに惨状ーーっ!!」 ビシッ、とポージング。 ・・・だいぶ慣れたらしい。 というより、クセになってきたというか、なんというか。 一方、驚愕するおかっぱ頭 with 猫耳の一号は。 「・・・わたしなんか何の商品展開も無いのに・・・じゃあなくて、 なぜ、この曲が効かないの?」 遊星仮面は哀しい笑みをたたえながら、 「だってシナリオ無かったもん、あたし」 ひゅううううううぅぅぅ〜〜・・・ 光る涙。 PSで昇格したとはいえ、その心にはぬぐい切れぬ悔しさが刻み込まれていたのだった。 そしてうつむく、なでなでシスターズ。 「「ま、負けた・・・」」 なぜに? 「今日のところは完敗ですね」 「次こそはあなた方を勝利の美酒に酔わせて差し上げますー」 ・・・それ違う。 ふははははははーーっ、と猫とロボはなぜか去っていった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「ありがとうございました、遊星仮面さま」 まだラリっているあかりを羽交い締めながら、セリオが言う。 くるり、と踵を返して遊星仮面アヤカはセリオに近づいた。 「セリオとやら。 だから何度も言っているように『ふきふき』などに関ってはいけません。 汚れぬよう、清く正しく生きるのです。 ロンリーウェイ この僕の、ロンリーウェイ 思うまま、走れメロスのように」 今回は最初から遊星仮面は酔っていた。 「ロンリーウェイ 行き先は、ロンリーウェイ はるか彼方の、夢を探して。 それでは、また!!」 おほほほっほほほ、と遊星仮面は商店街のはるか彼方へ走り去った。メロスのように。 「遊星仮面アヤカ・・・あなたはいったい何(以下略)」 「そーれっ、ふっきふき大行進、っとくらあ!!」 で、仮面の人が去って行った反対方向から。 「おおーい!!」 片手を大きく振りながら、黒髪の美女が駆けてきた。 「あっ、郷さん! ・・・ではなくて、綾香さま!」 「どうしたのよ、こんなところで?」 「ふきふき一味が、ついに姿を現したのです。 いよいよ全面戦争ですね」 「・・・まだ続けるつもり?」 「私たちは戦い続けます。それが宿命なのです」 「こんなふうになっても?」 あかりを指差す、綾香。 「――私たちは大丈夫です」 「だーいじょーぶっ、浩之ちゃん! だいじょーぶなんだってば、今日はーっ!」 ・・・じつは拭かれてしまっているかもしれない神岸あかり二十二才だった。 ・・・で、スフィーとリアンはどこへ行った? 以上。