神岸家の秘密2 投稿者:AE
「神岸家の秘密2」                        by AE
                            1998.10.30



   かこーん。

   死屍脅し・・・じゃなかった、「ししおどし」が鳴った。
   その響きが絶えたとき、すでに勝負は着いていた。
   脇をおさえながら片膝をつく、男。
   男の背後で腕を組む、和服姿の女。

「・・・腕を上げられましたな」

「師匠こそ・・・その歳でなかなか・・・」

   女の和服の袖が、はらり、と落ちる。同時に櫛が二つに割れ、弾け飛んだ。
   さして驚いた様子もなく、微笑みながら向かい合い、手を貸す女。
   男は突然、笑い出した。
   女はいぶかしげな表情を見せながらも、強靭な細腕で男を引っ張り上げた。
   男は笑いを我慢しながら、
「いや、綾香お嬢様のことを思い出しまして。
 まだまだですが、血は争えぬもの・・・」
「あの娘は素質はありますわね。 でも、優しすぎます。
 これからも導いて下さいませ」
   ははあっ、と執事姿の初老の男が礼をする。
   女も合わせて礼をする。
   美しい、格闘家だけが堪能できる達成感。
   ししおどしがもう一度、鳴り響いた。

   月の綺麗な、晩のことだった。




      ♪ 〜 The secret of kamikisi ke 〜 ♪ (←アイキャッチね)




   ここ来栖川邸”四面楚歌の間”は、和風庭園に面した大広間です。
   今宵は満月。
   澄みきった夜空に真っ白いお月様が浮んでいます。
   クレーターすら覗けるような澄んだ空気。
   ・・・ししおどしが鳴りました。
   笹の鳴る音が聞こえます。
   情緒、という単語が連想されました。
   駆動部の全てを半ロックして、このまま、たゆたっていたいような雰囲気。
   芹香様も、お付きのマルチさん(この方はHM−12です)と共に盆のような月を楽しんでおられます。
   源四郎様は体調を崩されたということで、二人と二体だけがこの広い間にくつろいでいます。
「ったく、いきなり月見の宴なんて、姉さんらしいわねー」
   言いながら綾香さまは月見団子を三つ、四面体構造に組み合わせてから口の中に放り込みました。
   もぐもぐ、と一噛みしてからキナ粉を後から呑み込み、むせた所で私が用意していたお茶をすすりました。
「さんきゅ、セリオ。
 でもねえ、なんでいきなり夕方に呼びつけるわけ?」
「・・・・・・・・・・」
「逃げられると困るから? なにそれ?」
「・・・・・・・」
   私ですら聞き取れない微小音声。
「えっ?!」
   そのつぶやくような芹香様の発言に、綾香さまは驚愕なさいました。
「ね、姉さん・・・いまなんと?」
「・・・・・・」
   二度目に聞いたとたん、綾香さまの顔から血の気が退きました。

「へへーっ!!」

   私は生まれて初めて拝見しました。
   綾香さまが上座に向かって低頭し、その額を地に擦りつけるのを。
「せ、セリオッ、ず、頭が高いわっ!」
   頭を擦りつけたまま、綾香さまが叫びます。
「え、あ、あの・・・」
「シャア・・・じゃなかった、母さんよ! 母さんが来るのよ!」
   あ、私のLDコレクション、見ましたね?
   見ると、芹香様も綾香さまほどではないにしろ、頭を下げていらっしゃいます。
   急いで私も主人に習いました。
   そういえば、大奥様にお会いするのは初めてです。


   でん、でん。 でんでんでんでんでんでんでん、でん。 でん。


   この音は・・・遠山左之門の上さまですね。
   時代劇は好きなのでわかってしまいます。
   低頭したままで、振動センサーを駆使し状況を把握しました。
   縁側とは反対側の障子が開き、足音が・・・
   いえ。
   気配がありません。
   まるで空を舞うような足取りだけが畳の上を渡って来ます。
   これは・・・熟練した忍びの技。

「二人とも仲良くやっているようですね」

   いつしか上座の方に人の気配が現れ、人の言葉を発しました。
   私たちは申し合わせたように頭を上げます。
   そして、一段高い上座におわす大奥様を見上げました。
   若い・・・。
   それが第一印象です。とても三十代後半には見えません。
   そして、冷淡とも温和ともとれる美しさ。
   この方が世界有数の大財閥、来栖川コンツェルンの頭首なのですか・・・。

「こちらがマルチさん、そしてそちらがセリオさん・・・だったかしら?」

   はい、と小さな声で答えてからマルチさんが初めに答えました。

「HM−12マルチと申します。芹香様に仕えさせて頂いております。
 末長くお引き立てのほどを、どうぞ宜しくお願い致します」

   うんうん、とまるで愛娘を見るような表情で、扇を優雅に遊ばせておいでです。
   その扇が上死点にさしかかった瞬間、タイミングを計って私も自己紹介しました。

「私はHMX−13セリオと申します。綾香様に仕えさせて頂いております。
 どうぞ宜しくお願いします」

「綾香がだいぶ世話になったと聞いています。
 愚娘ですが、これからもよろしくお願いしますね」

   はい、と私はもう一度、礼をしました。
   そのとき、おや、と大奥様がもう一度マルチさんを見つめました。

「そういえば・・・もう一人のマルチはどうしたのかしら?」

   きっと、HMX−12マルチさんの事でしょう。

「可愛い娘だったわね。たしか同じ高校に通っていた青年の元に嫁いだと聞きましたが・・・
 元気でやっているのかしら? 綾香、報告をお願い」

   ははあーっ、と大きく土下座した綾香さまが大奥様と視線を合わせました。

「しかし、お母様がお気になさるほどのことはないと・・・」

「聞こえなかったのですか、綾香?」

   びくっ。ぶるぶるぶるぶる・・・・・・
   おや? 綾香さま、震えているようです。

「あの一件を承認したのはこの私自身なのですから。
 あれだけの器量良し、人間の女性から嫉妬など受けねばよいのですが」

「藤田浩之という青年の元に嫁ぎ、神岸あかりという女性と仲良く暮らしているようでございます」

   ぴしっ!

   どうしたのでしょう?
   突然、障子紙が一枚、破れました。

「かみぎし・・・神岸あかり・・・”かみぎしあかり”ですって?!」

   ははあーっ、と綾香さまが再び頭を下げます。

「まさか、まさかそんな・・・
 しかし、神岸という姓にあかりという名・・・偶然とは思えないわ」

「ご、御存じなのですか、お母様?」

   綾香さまの問いに対し、大奥様は視線を上げて懐かしむ表情。

「神岸・・・神の岸と書きます。
 神の岸とは別名、カムイコタンと言い、ある民族が静かに暮らしていた大自然の里。
 彼らは古き良き理(ことわり)に習って暮らす平和の民でした・・・」

   あ、お母様の回想モードだ、こうなると長いんだよねー
   と、つぶやいた綾香さまの後頭部に奥義、いや、扇が直撃しました。

   ふるふるふる。

   ・・・耐えてます。とても痛いようです。
   あ、震えが止まりました。激痛のあまり、失神なさったのでしょう。

「そしてそこには、そんな民を守るために、超絶的な戦闘能力を有する家系が在ったのです。
 その噂を聞いた私は、全国行脚の最終地として北海道を選びました」

   大奥様はまぶたを閉じられました。

「・・・・そして闘ったのです。
 あの恐ろしい、神岸の継承者と・・・」

   そう言ってまぶたを閉じた大奥様。
   数分間、笹の鳴る音だけが部屋を満たしていました。
   ときどき痙攣する大奥様の筋肉にシンクロして、障子紙が一枚、また一枚と破れて行き、外の風景を映し出します。
   きっと、大奥様はその心の中で人知を越えた闘いを思い出し、シミュレートしているに違いありません。
   やがて、そのまぶたが開かれ、大奥様は立ち上がりました。

「・・・そうですか。この街に神岸の娘が・・・
 失礼の無いよう、挨拶に参らねばなりませんね」

   そのまま、気配の無い歩み方で”四面楚歌の間”を出ようとなされましたが、
   障子を開けた所で振り向かれました。

「最後に皆に教えておきましょう。
 神岸家の娘は、その名に一つの”読み”を刻まれるのです。
 どんな強敵に対しても、闘いに挑む際にその姿勢を忘れぬように・・・」

   ニコリと笑った大奥様の視線が、なぜか私の視線と合いました。

「・・・”狩り”の二文字を」

   ぴしゃん、と障子が閉められました。

   おや・・・?
   ・・・どうしたというのでしょう?
   私は自律駆動系の自己診断を行います。
   異常無し。
   それでも、芹香様とマルチさんに手を貸されるまで、私は動けませんでした。
   ・・・私は震えていました。
   すぐに基本アルゴリズムに新しい擬似感情が書き込まれました。

   よくわかりました、綾香さま。
   これが・・・これが恐怖というものなのですね。




      ♪ 〜 The secret of kamikisi ke 〜 ♪ (←ちなみにナデ○ア風。)




   大奥様御拝謁の儀の直後、私と綾香さまは街に急行しました。
   綾香さまが言うことには、
「神岸さんが危ないのよ!」
「挨拶だけで、まさか生命までは・・・」
「セリオ! あんたは母さんの恐しさを知らないんだわ!!
 母さんの恐ろしさを伝える、こういう逸話がある。あれは私が六才の頃・・・まだ一緒に暮らしていた姉さんと、
 強化合宿に連れ出された時のことだった・・・」

        ・

        ・

        ・

   りーん、りーん、りぃ〜ん
   ぱちぱちぱちぱちぱち

   虫の声に、薪の朽ちる音が重なる。
   真っ赤に燃える炎は、ここ恐山の大自然に挑むかのように舞い踊っている。
   その照り返しの中に、朱色に染まった三人の母子。

「芹香、綾香。 カゴの中から枝を一本取りなさい」

   静かな、とても静かで優しい母の声だった。
   言われるままに姉妹は一本の枝を薪カゴから選び出す。

「さ、折ってみるのよ」

   姉妹は、なんの事やらわからずに手にした枝を見つめていたが、

「え〜いっ!」   ぱきっ!
   綾香(六才)が手にした細い枝をへし折った。

「・・・・・・・」
   芹香(七才)は全力を振り絞ったが、折れなかった。

   綾香、御満悦。 誇らしげに無邪気な笑いを浮かべて母を見る。
   それに答えるかのように、さらに優しい声で母が言った。

「じゃあ、次は二本取るのよ」

   綾香と芹香は、今度は二本の枝を取った。

「二本たばねて、折ってみなさい」

「ええぇ〜い・・・・・あれぇ?」

   綾香は折れなかった。
   芹香も折れなかった。
   母はにっこりと笑いながら、綾香の持った二本の枝を手にした。

「この二本は言わば、貴方たち姉妹のようなもの・・・」

   そして、


「たりゃああぁぁぁーーっ!!!」   ばきぃっ!!


   ・・・折っちゃった。


「わかりましたね、二人とも?」

   振り向いた母は、いつもの優しい母だった。
   その変わらぬ笑顔に。
   綾香は生まれて初めて恐怖というものを感じたのだった。

「脆弱な人間が何人集まろうが、より強力な力にはネジ伏されてしまうのです。
 そうならないためには、母さんのように強靭な、この太い枝のように・・・」

   と母が手に取った太い薪を、芹香がくすねて炎にくべた。


   ぼおおぉぅっ、ぱちぱちぱちぱちぱち・・・・・・(この間 0.5秒)

   燃えてる。さかんに燃えてる。


「 ♪〜・・・、・・・、・・・・・・・、・・・・・・・・・・〜♪ 」
 (♪〜燃やせ、燃やせ、真っ赤に燃やせ、いたる所に火をつけろ〜♪)

   芹香は闘将ダイモスの再放送が大好きだった。


「・・・合格よ、芹香。次期頭首は貴方に決定ね」

「・・・・・・・・・・・・」

   火花を散らし、それでも穏やかに微笑み合う母と芹香(七才)。
   そんな二人を見ていた綾香(六才)は、「ここから逃げ出したい」と真剣に祈ったのだった。
   翌日、海外へ逃げ出した綾香は、すぐに捕まり根性を叩き直される事になる。

        ・

        ・

        ・

「・・・とても良いお話ですね」
   私が率直な感想を述べると、綾香さまは御自分のこめかみをワシ掴みしていました。
「”鉄の爪”の練習ですか?」
「と、とにかく! 神岸さんを守るのよ。
 あんたとあたし、二人で挑めば止められるかもしれない・・・」
   親指の爪を噛みながら、綾香さまは言いました。
   かなり追い詰められている御様子です。
「・・・それでも、どちらかは死んでしまうかもしれない。
 生き残った方がアテナ・・・じゃなかった、神岸さんを救うのよ!」
   私は海闘士編が好きです、綾香さま。
   と、そのとき、通りの向こうから、

「あ、神岸様がいらっしゃいました」




      ♪ 〜 The secret of kamikisi ke 〜 ♪





    今日のお夜食なんだろな〜♪

   ・・・浩之ちゃん。

   うふふふふふふふふふふふふふふ。
   抱きしめた買物カゴの中で、キャベツの体積が縮退しました。
   あ、缶ミカンも圧壊してる。
   まあ、いいや。どうせ今夜中に料理しちゃうんだし。
   「お夕飯でも作ってあげたら?」とは、さすがお母さん、わかってらっしゃる!
   お父さんは哀しそうに背を向けていたけど。
   ・・・・・・。
   ごめんね、お父さん。あかりは幸せになります。
   とりあえずは浩之ちゃんとマルチちゃんが部活から帰るまでに、下ごしらえをしてしまいましょう。
   マルチちゃん向けに「六甲のおいしい水」も買ったし。
   今日は久しぶりに三人で晩ごはんアーンド・・・・・・・・・

   うふふふふふふふふふふふふふふ。


   と、そのとき!!

   反射的にハネのいた地面に向けて、
   かかかかかっ、と何かが突き刺さった!
   避けなければ死んでいた?!
   思わず、心の中の”熊”を解放しそうになる、わたし。
   待って!
   落ち着いて! 落ち着くのよ、あかり!
   こんな公の場で正体がバレたりしたら、明日の朝食はライトパターソン基地で迎えることになる。
   ・・・ラージノーズグレイの隣で X-FILE されるのだけはイヤ。
   わたしは冷静になって状況を把握した。
   アスファルトに突き刺さった手裏剣。
   その表面には、大きく「来る」と描かれていました。
   来る? ナニが来るの??

「神岸さん、あーぶーな〜〜いっ!!」

   あ、綾香さんとセリオさんがこっちに向かって全力疾走してる。
   わたしが両手を大きく振って、挨拶を返そうとした瞬間。

   殺気!

   手裏剣とは違う方角から唸りが聞こえたかと思うと、しゃがんだわたしの位置を巨大な回転物体が通過した!
   その軌跡をホーミングしたわたしの視線の先に、一人の女性の姿がありました。

「飛来剣を避けるなんて・・・さすがは神岸家の娘。 やりますわね」

   巨大な卍手裏剣をビルの屋上で受け取った女性は・・・忍者のような和服を身に着けていました。
   
   と、そのとき!


   おーほっほっほっほほほほほ


   ど、どこかで聞いた高らかな笑い声っ?!

「ついに現れたわね、来栖川さん!」

   ばーーーんっ!
   電柱の上で逆光を背に立つ、侍娘紫バージョン!!
   ああっ! お母さん、またそんな格好でっ?!
   幕張(or TRC)に行けぇーーっ! と、わたしは心で叫びました。
   ごすっ!
   直後に短剣の柄の直撃を喰らいました。

   それはそうと、来栖川?
   まさか、アレが綾香さんや芹香先輩のお母様?
   忍び装束の女性は腕を組んで、私の母(三十九才)と対峙しました。

「やはり継承者は大切なようね。
 その言葉、そっくりそのままお返ししますわ、神岸さん!!
 貴女と闘ったあの日・・・忘れたくても思い出せない運命のバウト・・・」

   あ、ぜんぜん動じてません。
   どうやら、綾香さんのお母様もウチのと同類のようです。

「今日この日を夢見て、私は負け犬の汚名に甘んじて来たんですもの。
 思えば辛い試練の日々だったわ・・・・・・
 だのに・・・再戦に望んだ私を待っていたのは、貴女の書き置きだった!」

   キッ、と睨んだだけで、お母さんの電柱に繋がる電線が分断されました。
   パチパチと火花が散って、とっても綺麗。
   あ、剃刀のような視線、というわけですね。筆者の表現力の無さがうかがわれます。

「『結婚しました。幸せになります。遊びに来てね。−−−神岸さかり』
  ・・・ですってぇ?!
 ナメるんじゃありませんわ、この熊女!!
 貴女を倒すための苦しい修行の日々・・・私の青春を返してーっ!!」

   本音が出たようです。

   ・・・ふと、横を見ると。
   母の慟哭を聞き、綾香さんは呆けたように宙を見つめています。
   自分の青春の在り方を疑い始めたようです。

「来栖川さん・・・婿養子なんて取るから・・・」
「貴女だって婿じゃないのっ!」

   それを機に、ファイトが始まりました!
   そこで繰り広げられた闘いは、わたしごとき常人には描写できません。

   ビルの街に
「たりゃーっ」  ぽきん。

   夜のハイウェイに
「うりゃーっ」  ぱたん。

   どうも、闘い合うというよりは・・・
   互いの破壊力を誇示し合っているだけのように思えるのですが。
   古くは真空飛び膝蹴り、そしてイデオンソードに至るまでの様々な必殺技が、ここ東鳩町(仮名)に荒れ狂います。
   二人してガサラを舞い始めた時、私は地球平均水位の一メートル上昇を確信しました。

「さすがね、神岸さん」
「あなたこそ、来栖川さん」

   そのときです!
「綾香さま、たった今この上空を高々度偵察機が通過しました!」
   そのセリオちゃんの一言が、二人の母の闘いに”水入り”しました。
   超級覇王電影弾 となってぶつかり合う直前。
   同時に技を解いた二人は勢い余って地面に墜落、クレーターを形成します。

「今日はここまでのようね、神岸さん」
「そのようね、来栖川さん」

   二つのクレーターの底、腕を組んだ二人が激しい視線をカマし合いました。

「決着を着けましょう。そう・・・来週の金曜、阿蘇山のふもとで!」
「わかりました・・・また逢いましょう、来栖川さん!」

   さっ!
   綾香さんのお母様が合図をすると、黒服黒メガネな量産型マルチちゃん達がマンホールや電話ボックスから
   ワラワラと現れ、折れた電柱やビル、粉砕された看板や発電所を修復して行きます。
   てきぱきして、とても便利そうです。




   ・・・そして、自衛隊の皆さんが到着した頃には、全てがいつもの街に戻っていました。
   二人の姿はどこにも見えません。さすがです。


   ・・・いずれは私も誰かと、このような闘いを行わなければならないのでしょうか?
   そう思うと、胸が少しドキドキしてしまう神岸あかり二十一才の春でした、まる。



(追伸)

   次の週、阿蘇山が大噴火を起こした事はここだけの秘密です。



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(後日談)


「セリオ・・・」

「何でしょうか、綾香さま?」

「格闘技・・・やめようかな、あたし・・・」




以上。